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冒険者?なるなる!…………えっ?ダメ?なんで?

続きモノ


今日のはいつもよりちょっと長いので…


とりあえずどうぞ?

「なーんだ、ランテル君のお嫁さんかと思ったのに…でもでもっ!エルフとドワーフの血を引いた子とか見てみたくない?メディナちゃん可愛いし、どうかな?ウチは結構繁盛店だから将来安泰だよ?ねねちゃんもどう?うちの子カッコいい方だと思うんだけど?」


店の外に臨時休業の札を出してきたロイテストの両腕に抱えられ、店の奥の住居スペースに強制的に連れてこられたメディナとねねは、男子禁制♪、と書かれた部屋に押し込まれると壁一面の色とりどりな服に囲まれ、ロイテストの早口言葉を聞かされていた。


「ゴラム君は私以外に興味無かったし…ランテル君は何故かモテないし…とにかくっ!女の子がウチに来たのは久しぶりなんだよ!さぁ!覚悟してもらおうか?」


「わ、私はそういう服は似合わないと思いますので……遠慮をさせて……いただけま……せんよね?……」


「………私はこういうの好きですのでよろしくお願いしますにゃん♪」


「おおっ♪猫獣人さんとはまた珍しい!むかーーしに虎君と一緒に旅してたんだけど男だったしなぁ……よーーし!やるよー!!」


両手にヒラヒラした服や薄いレースの服を何着も持ってせてニヤッと笑ったロイテストは、拒否するメディナを無視してノリノリで猫耳を見せてきたねねに更に気合を入れた。




「親父……あの部屋からメディナさんの悲鳴が聞こえるんだけど……」


「……お前……あの状態の母さん止められる自信があるなら行ってもいい……ただし、俺を巻き込むんじゃないぞ?俺はお前らと違って普通の人間だからな?巻き込まれたら軽く死ぬ……」


「あーーー……無理だね、久しぶりにお袋のハンマー投擲受けたけどバラストさんの全力の方がよっぽど楽だ………メディナさん…ごめんなさい………」


ロイテスト(悪魔)に生贄を捧げた男2人は、ロイテストとねねの喜声とメディナの悲鳴が聴こえてくる部屋の外で、ロイテスト(悪魔)に拐われたメディナ()に対して静かに祈った。




「………ほら、メディナちゃん!早くこっちおいでよ!」


メディナの悲鳴が聴こえなくなってから1時間ほどして、ロイテストが誰かの手を引いて部屋から出てきた。


「うぅ…………こんなヒラヒラの服…私には似合わないと言ったのに……」


「……………おぉ………」


「………女神か………」


純白のレースとフリルがふんだんに使用されたドレス姿のメディナが、顔を真っ赤にしながら両手で胸元を隠して現れると男達は同じ様に惚けた顔で感想を述べる


「ん……肯定……最高傑作…」


「ふっふっふ、ロイテストさんに掛かればこれだけの逸材を着飾る事など造作もないのだよ!……けどっ、ゴラム君は……ていっ!」


メディナの背後で満足そうにする猫娘と金髪少女

ロイテストは、顔をほんのり赤く染めていたゴラムに対して高速で近付き"ていっ!"と、可愛い掛け声とは裏腹に目潰しを敢行する


「……っ!危なっ!ローテ俺はランテルと違ってそこまで丈夫じゃないんだ!死ぬぞ!」


「大丈夫だよー、もしゴラム君が死んでも生きかえらしてあげるから♪」


ロイテストから向けられた殺気に気がついたゴラムは身体を捩ってなんとか回避し抗議するが、にゃはっ♪と笑いながら一蹴される。


「お袋も相変わらずだなぁ…親父も鈍ってないみたいで良かったよ……で!俺が帰ってきたのはバラストさんからお墨付きを貰ったので、冒険者になろうと思ったんだけど……いいんだよな、お袋?」


「むーーー…確かに、お母さんの愛の鉄槌を受けて直ぐに立ち直ってたし…………しょーがないから認めてあげましょう……ほんとは嫌だけど…ほんとーに嫌だけど。」


「まさかこんなに早いとはな、バラストの奴もローテが怖くて一生許可なんざださないかと思ったが…まぁ…こいつの実力なら冒険者になっても死にゃあしなかっただろうがな。」


ランテルが、目の前で繰り広げられた攻防をまるで気にせず用件を伝えると、ロイテストが頬を膨らませ心から嫌そうに冒険者になる事を認める

ゴラムはバラストの事を知っているのか、そう言って苦笑を浮かべながらランテルの肩を叩く


「まぁ、せっかく帰ってきたんだ、昼飯でも食べに行きがてら冒険者ギルドに顔出すか…納品もあるしな?」


「そうだね…むーー…しょうがないからお母さんもついて行くよ!責任者のリバーゼ君がランテル君の冒険者ランクをどれにするか気になるし!」


「リバーゼさんが冒険者ギルドの責任者リバーさんなの?……おれ昔よくあの人に扱かれてたから苦手なんだよなぁ……そうだ!メディナさんも冒険者ギルドに行きませんか?確か旅の途中でやって見たいって言ってませんでしたか?」

ゴラムが、よっこいしょ、と立ち上がり作業台に置かれた剣の束を背負う

ロイテストがむくれた顔を元に戻して手を上げ冒険者ギルドについて行く事を決めて「着替えてくるねー!」と、先程の衣装部屋に走って行く


「…………あの……行くのは良いんですけど……服を……返してもらえませんか……さすがにコレは……恥ずかしいのですが……」


顔だけでなく全身を羞恥で赤く染めた銀髪の廃エルフは、頭のてっぺんから煙を出しながら残ったランテルとねねにお願いする


「申し訳ありませんがお嬢様はそちらの方がお似合いかと…先程までの無粋な分厚いローブは先程処分いたしましたので御座いません、そのまま行きましょう?」


「………はっ!そ、そうですよ!絶対そっちの方がいいです!はい!」


メイドモードのねねと頬を染めたランテルはそう言って、結局メディナの服はヒラヒラのフリフリで出掛けることになった。




「あ〜〜、美味かった!久しぶりに食べたけどあの店のピザは絶品だよな!此処以外じゃ食べられないから当然だけど!」


「……超絶美味……はんばあぐ……奇跡の味……」


「まさか此処でオムライスやスパゲティが食べられるなんて…あーー!美味しかった!」


お昼を昔馴染みの店で食べ終えメディナ達が外に出て、口々に感想を述べる。


「あぁそういや此処のメニューって他所じゃ見かけないもんな?」


「そうだね、此処のメニューはこの店の先々代の店主が考案したメニューだから他所には無いよね……()()()から味変わってないし美味しいよね〜♪」


続いて会計を終えたゴラムとロイテストがそう感想を言ってから先に歩き出す。


「ほら、夕方が近くなると冒険者ギルドが混んじゃうから早く行こうか?」


にこやかに手を出したロイテストの口の端にはハンバーグのソースが付いていてメディナはクスッと笑い、先程まで感じていた緊張が解れていくのを感じた。




「たのもー!」


冒険者ギルドに到着したロイテストはそう大声で言いながら両開きの扉を開けた。


「……あの娘可愛い〜、どこの娘かな?」


「あれ?あの娘鍛冶屋の店員さんじゃないか?」


「ほんとだ、依頼か納品かな?働き者だね〜。」


まだ若い冒険者達が友好的な反応をしていると、


「……おいっ、誰か姐さんのご機嫌損ねる様なことしたのか?」


「旦那の魔剣まで連れてるぞ?背後は息子の不死身じゃねぇか…とうとう本性を現したか?口元に血がついてるじゃねぇか……既に何人か殺してる?」


「お?さっきまで粋がってたエルフの兄ちゃん、手が震えて持ってる酒がバシャバシャ溢れてるぜ…いい気味だ。」


ある程度歳のいった冒険者が、恐れを含んだ目で間違っても目を合わせない様に細心の注意を払って眺める。


メディナとねねはゴラムの影に隠れていたので話題にはならなかったがどうやら今目の前に居る金髪少女は有名人な様だった……いい意味でも悪い意味でも……


「……何だ?デストロイのババアか…ウチに来るんじゃねぇってあれほドォゥっ!………………」


カウンターに着いたロイテストは、禿頭の強面の中年男性の前に迷わず立つと、禿頭はロイテストに悪態を吐く

悪態の途中でロイテストの右腕がブレた、と思った瞬間禿頭は丈夫そうな木製のカウンターに頭から崩れ落ちた。


「リバーくん……私のことを……ナンダッテ?……ホラホラ……モウイチドイッテゴランヨ?」


カウンターの残骸に座り大男の襟首を片手で持ったロイテストは、気を失っている男の頬を何度も往復ビンタさせた……

意識を取り戻すまで何度も何度も……



「ふぉいへふとふぁま、もうふぃあへはひふぁへんへひは。」(ロイテスト様、申し訳ございませんでした。)


両頬を3倍くらいに腫れさせた大男が五体投地で土下座をすると、「もう!いくら友人の息子でもこんな可愛いお姉さんにババアなんて!まぁしょうがないから許してあげるよ……聞き取りづらいから……えっと?……あった、ほら?」と言ってバックから薬の瓶を渡す。


「……ふぅ、それにしてもいきなり何の御用です?ゴラムに頼んだ剣の納品と……あぁランテルか、大きくなったが…………おぉっ!!遂に冒険者デビューか!よしよし!いいぞ!コレで王都の奴らにデカい顔されなくなるぜ!」


ロイテストが渡した薬を飲むと見る見る腫れが引いて行き素の厳つい禿頭の男性が復活し、復活した男性はランテルの姿を確認すると大喜びし始めた。


「バラスト君に許可証貰ってきちゃったからね?仕方なく…………ほんっとーーに仕方なくだけど認めてあげたよ……」


「はは、御世話になります。」


本当に嫌なのだろうロイテストが頬を膨らませる横で、ランテルが苦笑しながら頬をぽりぽりと掻く


「実力のある奴は大歓迎だ、ランク付の前から二つ名がついてるのはお前さんくらいだろうが……それとだ、お前らの一家の影に隠れていたがそこのお嬢さんと使用人は何だ?嫁さんでも連れてきっ!?……たわけじゃないの……か?」


大男の嫁さん発言に反応したメディナが、顔を真っ赤にさせながら雷撃を大男の顔の横に撃ち込む、場慣れしているのかすぐに取り直した大男は、


「開拓都市…ってももう結構な大都市だが、この街の冒険者ギルド統括のリバーゼ・アンドラスだ、リバーでいいぞ?……ようこそ新しい冒険者達よ、このギルドは君達を歓迎する。」


「ぷくくっ!リバーくんが、「君達を歓迎する(キリッ!)」だって〜〜おっかし〜〜……」


リバーと名乗った大男の発言にロイテストが笑い転げ

それを見たリバーゼは誰にも聴こえないような小声で、


「……だから嫌なんだよ…」


と、嫌そうに呟いた




「実力試験の前にこの水晶にて能力の数値化を行ってもらうんだが…何でゴラムと姐さんが居るんだ?」


「俺は見ての通り、コイツに抱えられて……」


「ほら?うちの子がどんだけ強くなったか知りたいじゃない?水晶使えるのエームだと此処と城だけだし?」


冒険者登録の前段階として案内された部屋で、アーサー監獄要塞で使ったのと同じ大きな水晶板があり説明を受ける。

そして検査する人だけただと言われて追い出されたねねを他所に、ロイテストとゴラムは関係無いと言わんばかりに堂々と入っていた。


「本当は駄目なんだが…姐さんは言ったら聞かないしなぁ…はぁ〜……」


リバーゼが肩を落として水晶を操作して行く

その作業を見ながらメディナは疑問に思っている事をロイテストに聞こうと顔を向けると、


「駄目駄目♪女の子には秘密が必要不可欠なんだよ?今メディナちゃんが思っている事の答えは後で教えてあげるから♪」


と、いつの間にかメディナの真横まで移動していたロイテストに遮られた。


「……出来たぞ、先ずはランテルからだ、やったことあるだろ?ほら。」


「大丈夫ですよ、じゃあメディナさんお先に失礼します。」


ランテルは水晶板に触れると魔力を流し込む、色は茶色っぽい感じに見えるが色は関係あるのだろうか?

ーステータスー

種族 クォータードワーフ

名前 ランテル・オーランド

Level 30

生命力 3200

魔力 300

攻撃力 1200(+2400)

防御力 100000

魔法攻撃力 250

魔法防御力 250

速力 350

運 7

スキル:

鉄壁

剛撃

破壊者の加護

(攻撃力に200%の+補正)


「おお……さすが姐さんの息子……こりゃあ……Cランク……いや、Bか?……まだレベル限界もいってねぇし…将来性込みでAでも……」


「うーん……私に比べればまだまだだけど……ま!コレくらいならいいでしょ!」


「いや、母さんと比べたらこの世の中の殆どがまだまだでしょ?バラストさんに鍛えられてからは防御力とかアホみたいに高いって城塞のみんなに言われてたんだけど?」


リバーゼが水晶から出てきた紙を見て悩み出すと、覗き込んだロイテストはまだまだだと言いながらもどこか嬉しそうな顔をしている。

それを見たランテルはわざとだと分かっているが一応反論する。


「おおっ、そうだった…君も冒険者登録だったかな?じゃあ早速……」


「あっ!そうだ、バラストさんから冒険者ギルドの人に渡してくれってお手紙を預かっていたのを思い出しました。」


メディナは急に思い出した手紙を、コレです。と渡してリバーゼが受け取って読み始める


「……どうかしたんですか?」


手紙を読み始めたリバーゼの顔から血の気が引いていき青を通り越して白くなり、ガタガタ震え始めた。

その豹変具合にメディナが心配して聞くと、リバーゼが恐ろしいものを見るような怯えた目つきで一言


「ば、ババアと同類だと……嘘だ!……こんな化け物が何人も居てたまるかぁっ!!」


と、叫び声とも悲鳴ともとれる大きな声で言う。


「きゃっ!?…あー、ビックリした…驚かさないでくださいよ。」


リバーゼの声に驚いたメディナが、よろけた拍子に水晶に

触れ、紙が出てくる。


「ん?落ちたぞ…………あぁ確かに……うちのカミさんのご同類だな……何だこの数値は……」


ちょうど足下に落ちた紙をゴラムが拾いそう言いながらメディナに渡す。


そこには……


ーステータスー

種族 ハイエルフ

名前 メディナ アールテイカー

Level 3

生命力 2060

魔力 5680000 *限界

攻撃力 35

防御力 38

魔法攻撃力 150(+5680000)

魔法防御力 250(+5680000)

速力 5000

運 10

スキル:

??の加護

(魔力δ??%の○△✖︎□凸)

雷魔法

炎魔法

氷魔法

召喚魔法

(ファイヤハウンド・アイスハウンド)


「あれ?いつの間にか成長してる?」


「あーー、メディナちゃん……言いにくいんだけど…メディナちゃんは冒険者登録出来ないね…コレは流石の私も予想外だったよ……」


レベルが3に上がっていてちょっとだけ嬉しかったメディナがポツリと呟くと、ババア呼ばわりしたリバーゼを沈めたロイテストがステータスを見てそう言った。


「えっ?冒険者登録出来ないんですか?えっ?何で駄目なんですか?」


冒険者になれないと言われたメディナは、楽しみにしていた冒険者生活が始まる前に終わってしまったことを嘆きひどく落ち込み、膝から崩れ落ちた。



因みに一般兵のステータスは、

一流と言われるレベルが平均値100位です


因みにロイテストさんの数値は……

ーグチャッ!!………ー


ロイテスト「ふふふ……」








また次回に……

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