やっと着いたけど……怖がられてない?
続くモノ
世の中どうなるのか……
今日も1日が終わる…
みんな早く帰りましょう…
暇潰しにこちらをどうぞ?
馬車に揺られて進むメディナ達
メディナとねねの話し合いの結果、ねねはコミュニケーションを円滑にする為に普段から"可愛いメイドさんモード"でいる事が決定された……「メディナ様……望み……御随意に……」と、言っていたのでメディナは、偶にイメチェンしてもらおう!とか考えていたが……
「おっ、懐かしき我が街が見えて来ましたよ、メディナさんねねちゃん、検問あるから準備しといて?」
「分かりました、でも…準備って何をすればいいのでしょうか?」
「私が準備しますので、メディナお嬢様はごゆっくりなさってください。」
メイドさんモードのねねがテキパキと書類や服装・髪の乱れを整える
ランテルが覗こうとするも「レディーの身嗜みを整える場を覗こうとは何事ですか!」と叩いて追い出すのを忘れない
検問の列に並ぶと、周囲の人が騒がしく感じる…窓の隙間とランテルの座る従者側から外が見えるが馬車も見える為馬車が珍しいということでは無いようだが……
「商人か?……ってランテルじゃないか!なんだあの要塞勤務になったから死んだんじゃないかってみんな噂していたが生きて帰って来たか!」
メディナ達の馬車が門の前に辿り着くと、ランテルの知り合いだったのか兵士が馬車のランテルを見て笑い出す。
それを聞いていた周りの兵士の何人かが顔を向けるが仕事が忙しいからか直ぐに自分の仕事に戻る。
「悪ガキが一丁前に馬車なんかに乗って、誰を運んでるんだ?仕事だから確認だけさせてもらうぞ?」
「あぁ、だけどアサゲさん…あんまり驚かないでくれよ?」
熊のような大きな中年が顎髭をさすりながらメディナ達の乗る馬車の中を確認しようとすると、ランテルがアサゲ、と言うらしい衛兵にそう警告する。
馬車の扉をゆっくりと開けたアサゲは、先ずメイドを見つける。
年は自分の娘と同じくらいかまだ幼い印象を受ける……これが嫁?……ランテルの坊主が幼女趣味?……
と、友人の息子の趣味に忌避感を覚えたが……
……いや、奥にもう1人いた…凄い美人の……長い耳………?……長い耳?……
長い耳はエルフの特徴である……そしてこの大陸でエルフとは恐怖の象徴…ならば答えは簡単だ……
「ん?嫁さんでも連れ帰って来たか?………メイドと…………別嬪さんだ…な……!?エ………エルフだとぉっ!!」
ベテランの衛兵であるアサゲですら大声で驚く
何故ならエルフとは高慢な絶対者という認識だ、検問にわざわざ並ぶエルフなど見た事がない。
エルフが来た時はすぐに分かる"俺はエルフだ!道を空けろ!"と言わんばかりに魔力を見えるように放出して恐怖を与え、強制的に道を開けさせるからだ、誰も好き好んでエルフと関わりたくないので人族はそれだけを見たら即座に道の端へよる。
…エルフ?
…嘘だろ!?まだ死にたくねぇ!
…お母さん、エルフって?
…エルフ様よ!間違えちゃダメ!
……何で大人しく並んでんだよ…
…デュフフ…エ、エロフ…
アサゲの大声が検問待ちの人々に届いた瞬間、騒ぎ出したほぼ全ての人族がそれぞれが道の端っこに寄り蹲り頭を抱え、恐る恐るメディナが乗る馬車の様子を確認する
「ちっ!エルフが大人しく並ぶかよ!おい!オッサン早くしてくれよ、こっちはモンスター討伐で疲れてんだよ。」
「エルフ様ですか…ふむ、珍しいですな?本当でしたら是非お近づきの印に……」
「デュフフ……グフ…グフフフフゥッ……」
冒険者風の4人組の1人がイラついた様に立ちはだかり、
恰幅の良い商人風の男性が興味津々の眼差しで、
…………アレは放っておこう。
とにかくその場にいるすべての人に注目されたメディナが馬車の外に出る。
サラサラと風にたなびく青みがかった銀色の髪…
海の様な…いや、湖の様な優しい光を宿した青い瞳…
エルフにはあまり見られないメリハリの効いた身体……
きめ細やかで透き通る様な白い肌……
「……女神だ……」
誰が言ったのかは分からなかったが、その場にいた全ての人が同意し、それ以外は一言も発さずに、地上に降臨した女神を見つめていた。
「……何か……スゴイ注目をされているみたいなのですが……何故でしょうか?」
自分の容姿に自覚の無いメディナが人差し指を顎に当てながら首を傾げると、
見慣れたランテルはそりゃそうだ、と苦笑して。
もともと興味のないねねは、「お嬢様の御姿に見惚れてるんですよ、きっと…」と、明るく言った。
「いやー本当にすまねぇ!ここ数年何度かエルフ様の相手してるが……こんなに綺麗で物腰の柔らかいエルフ様は見た事ねぇや!いや!本当にすまねぇ!」
呆然とする人々が再起動するまでに時間がかかってしまい奥に通されたメディナ達はアサゲをはじめとした検問所の偉い人達の謝罪を受けていた。
「気にしないでください、エルフがどういう扱いなのかお嬢様も再認識できたでしょうからから……」
人族に友好的なエルフの箱入り娘、というウソの設定を悪びれるそぶりもなくつらつらと語るランテルを見たメディナは、……こいつ絶対女癖悪い…、と決めつけて、何故か機嫌が悪くなったが、ここでそれを言ってしまうと元も子もないので少しぶすっとむくれながら大人しく待つ。
「いやー本当に申し訳ない!友好的なエルフも居るとは聞いていたが……本当にいるとは思わなかった!しかもこんなに別嬪さんだとは……」
「アサゲさん……鼻の下伸びてるよ、奥さんに言いつけておこうか?」
「やめろよ!俺の母ちゃんに喋ったら次の日の昼には町中に知れ渡っちまうじゃねぇかよ!」
元々の知り合いなのだろうランテルとアサゲは笑いながら、肩を叩き合いながら和気藹々と話し込んでいる。
「あっとすまねぇ!お嬢さんをお待たせしちまったな、後で俺がランテルのとこに確認に行くから入っていいぜ、ただ、出掛けるなら場所だけランテルの親父さんがお袋さんに言っといてくれると助かる。」
話し込んでいたアサゲがメディナが暇そうにむくれているのに気がつき、ランテルを除けてそう告げる。
「身分などは確認されなくても良いのですか?」
「ふふっ、面白いお嬢様だな、もともとエルフ達は検問無しで強引に入ってくるから…聞くのも名前くらいさ、偽名の時の方が多いけどな?」
メディナが確認しないの?と聞けばアサゲは髭だらけの顔を破顔させて、吹き出す様に笑いながらそう教えてくれて、
「第一に人族に友好的なエルフって国では少数派だろ?その態度を見れば充分さ…ようこそ商売と冒険者の街エームへ!この街の人間はメディナさんなら歓迎するさ。」
と、最初の様に引きつっていない笑顔で笑いかけてくれた。
「騒ぎになってしまったので先にウチヘ行きましょう、たぶん親父が工房に篭ってるか店にいるとは思うので…」
門から馬車で出ると行き交う人々の全てが指を刺し、見て、噂話をしているみたいだった。
ランテルがその様子を見て、実家なら落ち着けるはずですから宿探しする前に一度寄りましょう、と言うのでその通りにしてもらう。
「お嬢様?どこかお加減でも良くありませんか?先程からお顔が優れませんが……」
「いいえ、大丈夫よ?……そんなに悪いかしら?」
道中ねねが、顔色が悪いと言ってきたのでメディナは顔をペタペタ触りながら返事をする。
「もうすぐうちの実家に着きますので、お二人とも準備をお願いします、一度入り口で止まって下ろしてから馬を馬小屋に連れて行くので手荷物を忘れないでくださいね?」
ランテルの言葉に従って数少ない手荷物をサッと準備し、終わるか終わらないかくらいでちょうど馬車が停まる。
「着きましたよ、此処が俺の実家…エームの街一番の武器屋、オーランド鍛治店です。」
そうランテルに言われてメディナとねねが、馬車の扉から見た建物は…とても立派な…とても高級そうな…とても大きな建物だった。
……お金持ちのお坊ちゃんだったのね?
メディナは普通にしているランテルに対してそんな事を思っていた。
"はい"エルフシリーズ絶賛執筆中
……書けたとは言っていない…
ではまた次回に。