コレで解決……なわけないですよね?……そうですよね?
続くモノ
基本はファンタジー?なのでヤツが動くのは当面先の出来事です
ではどうぞ?
起動したこの遺跡……というか要塞の説明文が日本語だった為、古代エルフ語ということにして誤魔化したメディナがコンソールに表示される文字をひたすら読み上げる。
「でも…あんたがそんなに年寄りだとは思わなかったわ、私のクソオヤジだって年相応の顔立ちになるっていうのに……あんた……見ようによっては私より若そうじゃない?」
「姉さん!先達の方に失礼ですよ!……申し訳ございませんメディナ様、うちの姉のご無礼をお許しください!…………ほら、姉さんも謝って…」
メディナは記憶喪失だが、古代語が理解出来るとして相当な年齢のエルフということになり、会った時から然程対応の変わらないエリザベートを真面目なアイリスが叱っている。
「メディナさんは相当な御高齢でしたか…あっ、メディナ様の方が宜しいですかね?」
「さんでいいです…というか…さんの方がいいです。」
起動した、ということで開閉が楽になった扉から何処に居たかも分からない数のエルフが中枢部の一部屋に集まり、神様仏様と、拝まれたメディナはそれだけはやめて下さい!と、懇願する。
「コレで書かれてあることは全てですかね?…後は同じ項目の繰り返しですので……」
「そうですか…ありがとうございます!コレでここで生きていく目処が立ちました!メディナ様のおかげです、本当にありがとうございました。」
「……ふん、少しは感謝してやるわよ……………………ぁりがとぅ……」
全力で拝みながら感謝するアイリスと、そっぽを向きながら小声で感謝する素直じゃないエリザベート
それを聞いて戦闘系は教えてない……というかこの文化レベルじゃオーバーキルどころか世界が滅びかねないから教えられない……と、考えたメディナは少し後ろめたさを感じながら感謝を受け取る。
盛大なお祭りが開催され、合計で10日程拘束されたメディナとランテルは、盛大な送別の品と感謝を受けてから宿泊していた宿に戻った。
「あんた達には感謝してるわ!なんせコレであのクソ野郎どもに復讐する目処が付いたからね!」
「確かに…戦力に乏しい私達には追い風になります…メディナ様、誠にありがとうございます。」
案内された最上階のVIPルームで、さらに数日一緒に過ごすうちに打ち解けたエリザベートと神格化され神様の様に扱う様になったアイリスに感謝される
「偶々ですからそんなに感謝されなくても……あと、アイリスさん……私如きにそこまでの敬意なんて入りませんよ?」
「いいえ!メディナ様、貴方様は我等に降り立った神の御使様!そんな恐れ多い事を仰らないで下さいませ!」
椅子に座って話していたアイリスが後方に飛び上がると、土下座をしてから顔を上げ懇願する。
ここ数日よく見られる光景にメディナは、またか…と思ったが顔に出さない様に椅子に戻る様に促す
説得の末なんとか席についたアイリス、そして空気と化していたランテルが口を開く
「それにしても……こんなに色々な品を貰っていいんですか?……この魔法の剣とか…弓とか売ったら一財産築けますよ?というか……コレは流石に戴けませんよ……」
「それは気にしないで下さい、というよりは、そのような物しか渡せなく心苦しいのですが……現状では最大限の贈り物になりますので……どうかお納め下さい。」
アイリスが恐縮しながらランテルが摘むバックを受け取ってくれと意思表示する。
ランテルは、エルフの要塞を出るときに剣と弓、それに収納魔法の掛かったマジックバックを貰っていた。
剣は魔法の剣で、魔力を込めなくても飛ぶ斬撃が放てる特殊な両刃剣で今はランテルの腰の鞘に収まっている。
弓は風の魔力が込められていて威力と飛距離が大幅に伸びる逸品だった。
極め付けはマジックバック……なんとコレは、大国の貴族でも持っていない…と、言われる程の容量の珍品で、売れば小国が買えるだろう金額の代物だった。
「……あーー、アイリスさん?私は入りませんよ?だって魔法幾つか教えて頂きましたからね?」
「そんなメディナ様!私如きに、さんなど付けず、どうか呼び捨てにしてくださいませ!あと、僅かばかりのもので申し訳ございませんが!どうぞ!どうぞお納め下さいませーー!」
メディナがどさくさに紛れて高い物だと知った報酬を突き返そうとすると、アイリスがまた後方に飛び、土下座をしながら懇願する。
断ったら自殺するんじゃないか?た、思ったメディナが渋々受け取っていると、メイドが馬車が来た、と呼びに来た。
「あんた達には国を取り戻したらもっと凄い褒美をやるから覚悟してなさい!」
「姉さんはメディナ様に対して少し不敬だと思います………………申し訳ございませんが……お二人にお願いをしても宜しいでしょうか?」
それじゃあ出ようか、とメディナとランテルが立ち上がるとエリザベートとアイリスも立ち上がり握手を交わしてからもう一度感謝を述べる。
アイリスが言い終わる直前考える素振りを見せるとお願いをしてもいいか尋ねてきた。
「?ええ、私達で助けになれるなら。」
「どうぞ言ってください、コレだけの物をもらっておいて何もしてないので心苦しかったんですよ!」
快諾したメディナ達に安堵の表情を浮かべたアイリスが、
「行方不明の私達の妹……ローネの情報をどこかで聞いたら教えて頂いても宜しいでしょうか?あの子は古代遺跡の存在は知っていますが、場所は知らないので……」
「敵の本陣乗り込んでったけど、あの子…予知かっ!て思う程先の事考えてるから多分捕まってないとは思うんだけど…いまだに情報一つ入って来ないのよ……こっちでも探してはいるんだけど……」
アイリスに続いてエリザベートが心配そうな顔をする。
「俺の実家エームの街でも屈指の鍛冶屋だから色んな冒険者達に聞いてみますよ!街中に知り合いが居るのでそちらにも!」
「私も、力になれるかは分かりませんが……お手伝いしますよ?」
それを聞いたランテルが自分の胸をドンっと、叩きながら快諾して、メディナもコレからどうなるかわからないが協力する事を約束する。
「そう言ってくれると思ったわ、それじゃねね?よろしくね?」
「…御意……」
エリザベートがそう言いながら横のメイドに声を掛けると、メイドから聴き慣れた声が聞こえる。
「えっ?まさか……ねねさん?」
「……肯定……護衛……連絡役……」
見慣れない"きゃぴっ!"とした可愛いメイドさんからここ数日で聴き慣れた最低限の言葉しか発しない声が聞こえる。
「ローネの事もそうだけど、あんた達、一応私達の秘密を知る重要人物なんだから護衛兼連絡役としてねねを付けてあげるわ!感謝しなさいよね!ねねは完璧な変装術とどんな性格や声にも変えられて戦闘も出来る万能メイドなんだから!」
「エリザベート様……照れる……」
エリザベートが自慢すると頬を染めて照れるねねを見たメディナの感想は、
それ……私が好きなメイドじゃないです……
……忍者か……スパイ……ですよね?
じゃれ合う主従を見て、……以前からメイド好きなメディナが……ウソだろ?とでも言わんばかりの顔で固まった、それをランテルが運んで馬車に放り込むと、ねねも続いて乗り込む
「行ったわね、それにしても…あんなでっかいバカ魔力…言い伝えの魔神かと思ってヒヤヒヤしたわ、初めて会った時は毒で殺そうとしたけど死ななかったしね。」
メディナ達を見送ったエリザベートがしれっと殺すつもりだったと語ると、アイリスが驚愕の表情で何事も無かったかのような顔で横に居る姉に振り向く
「だってそうでしょ?あのクラスの魔法使いに攻められたら私達全滅してたわ…あの毒で死なないなら直接…と思って、ねねと仕掛けたけど、肝心の封印の首輪が効かなかった時はマジで殺そうかと思ったのよ?……でも……何故か出来なかった……だからアイリスが来なかったら、ワームの餌にして忘れようと思ったの……」
「それは…確かにメディナ様には何処か懐かしい雰囲気がしましたが……ワームの餌は……」
エリザベートの独白に、アイリスはメディナが辿るかも知れなかった運命に恐怖で体が震えた。
ワームの餌にしたら死にはしないがヒトとしては終わりだ……精神が完全に崩壊してしまっていただろう、いくらあのワームが対主戦派の戦力になるとしてもそれはやり過ぎだった。
「姉さん……」
「…………大丈夫よ、あそこに放り込んでるのはねね達が調べてあるリストに載ってる宿に来た犯罪者か、捕まえた主戦派のエルフだけだから……」
淡々と語るエリザベートの横顔は、まさに一国の責任を背負った国主のそれだった、それを見たアイリスはそれ以上何も言わず……
「……さぁて!今日も忙しくなるわよー!アイリス、早く厨房で仕込みして!私達が稼がないとみんなが飢えちゃうわ!」
と、いつもの調子に戻った姉について行った。
「恐ろしい魔力を感じたと思えば……まさかあの実験体が生きていたとは……急いであの方に報告しなくては……」
エリザベートとアイリスが立ち去った後、ブレるように空間が歪み、フードを目深に被った人物が現れてそう呟く。
もう一度空間が歪み始めてその人物が消える間際に強い風が吹く……フードが外れて見えたその顔は……髪が金色だということを除けば……メディナと全く同じだった
本編と別ルートを辿った場合……此方には"出せないよ!"
な、モノになってしまうので一応書いてはありますが……お蔵入りかなぁ…
ではまた次回




