チェックメイト
クオリティ低いですが、読んでもらえると嬉しいです
「さぁ、白黒つけよう」
僕が君と出会ったのは、今にも雪が降りそうなほど寒い冬空の下…いつも通りの帰り道を歩いていた時に、ふと立ち寄った公園で、何故か黒猫とチェスをしていた君を見つけた。
腰まである長くて艶やかな亜麻色の髪、雪のような白い肌、紅玉のような美しい瞳をしていた。不思議な雰囲気を纏った君を見た時…異世界に迷い込んだのかと思った。そう表現してしまうほど、シーソーの真ん中に置かれた盤上を見つめながら、ムムっと考え込んでいる君は…美しかった。
当時の僕は、2週間後に第1志望の高校受験が控えていたため、家に帰って受験勉強をしなければならなかったが…君と話がしたい、気が付くとフラフラと君の元へと近付いていた。
黒猫が僕に威嚇してきたが、そんな事どうでも良くなる程君に見とれていた。ふと顔を上げた君が、黒猫の様子がおかしい事に気付き、こちらを振り向いた。
遠くから見てると気付かなかったが、近くで見ると、触れたら壊れそうな硝子細工のようだった。その様子に見とれていると、君が少し驚きながらも微笑んできた。
その顔を見た僕は慌てて訳のわからない事を言った…気がする。正直君に何を言ったのかは、覚えてはいない…けれど、とても可笑しそうにケラケラと笑っていた君の顔を今でも覚えている。
初対面だったにも関わらず、君は僕にある秘密を教えてくれた。その秘密を消す為に僕は―…。
時が経ち、高校受験に成功した僕は…死に物狂いで勉強をし、医者になった。何故かって?君にこっそり誓った約束を果たすためだ。
あの日から10数年…ようやく君の秘密を消す事が出来る。君は…大勢の人を殺した未知のウイルスを作ってしまった張本人だった。けれど、大丈夫。あの日、悲しげな微笑みを浮かべながら「もう誰も殺したくない」と言っていた君の手をこれ以上汚させない。僕が君を守るから。
少し時間がかかったけれど、ようやく特効薬を作り出すことに成功したから。
だから、あの日の僕の気持ちにもう迷子ではいられない。
この短編は、Twitterの診断メーカーで出てきたお題を元に書いてみました。
気に入って貰えると嬉しいです