赤い世界
「小説家になろう」にて初めての投稿です。
今まで何回か一次二次共に創作を書いてきた事はありますが、シリーズものを完結させられたことがありません。
今作はとにかく自分の書きたいものを書こうと考え作成したものなので、暫くは続けられると思います。
完成するかどうかも分かりませんが、もし宜しければ応援よろしくお願いします。
私が思い出せる世界の始まりは、真っ赤だった。
その日もいつものように起きて、親と会話してたんだと思う。
唐突にそんな日は終わってしまった。
全部、ぜーんぶ。
後戻りもできないほど、ズタズタに壊されてしまったのだ。
少女は、ただ熱かった。熱さと恐怖に巻かれて、必死にその場を離れることしか出来なかった。
親が叫んだ言葉は「助けて」か、「逃げろ」か。それすらももう思い出せなかった。思い出したら胸が潰れてしまいそうだった。
灰になりそうな自分の村を離れても、まだ熱かった。もう辺りは静かな森なのに、涼しい風がそよいでいるはずなのに。
まだ轟々と地面が揺れている気がした。
まだ髪が燃えている気がした。
まだ誰かが叫んでいる気がした。
一歩間違えれば、あの大きな何かに潰されていた人間は自分だったかもしれない、なんて。
そんな考えが頭を過ってしまって。
「ぁ……う、あ……っ、熱い、あついあついあついいたいいたい……!!」
その少女は、ただただ疑問だった。
「ケガ、してないのに、痛い……いたいよぉ……どうして、あつい……?」
分からない、分からない!
少女は、泣きじゃくりながら潤んだ視界で自分の姿を見る。
数秒で合点がいった。
ああ、そうか。こんな邪魔なものを着ているから熱いのか。
こんな邪魔なものを頭に着けているから熱いのか。
全部、全部捨てちゃえば良いんだ。
まずはと服に手をかけて、そこでふと思いとどまった。
それは怖いな、と。
だって、服を脱ぐときに一瞬だけ。視界が真っ暗になってしまう。その瞬間に何かが襲って来たらどうしよう。
それに、流石に何も着ないというのは危ないんじゃないだろうか。
突然非日常に放り込まれて、だから常識的な考えを捨てろというのが無理がある。
少女は錯乱しつつも、全てを捨てるのは思いとどまった。
「……」
でも熱い、熱い、痛い!
原因は捨てなきゃ、でも……ああ、熱い! どうしよう、熱い、燃えてしまう、痛い、熱い熱い痛い!!
啜り泣きながらも顔を上げ、少女は歩き出した。
少しでも熱いあそこから遠ざかりたかった。
熱いからあれを見たくなかった。痛いからあれを見たくなかった。
さっきまであんなに安心できる好きな場所だったのに、今は自分に苦痛を与える存在でしかないことに少女は絶望した。
もう私には何もない、このまま燃え尽きて一人で死んでしまうに違いない。
ああ、こんな事ならあそこでみんなと一緒に死んで仕舞えば良かった……。
涼しくなりたい、ただ、あの熱さから逃れられるところに。
あの痛さから守り、優しく包んでくれるところに。
ふらふらと彷徨い続けた少女は、やっとそれを見つけることができた。
ばちゃん。
静かに響いて、それきり。
誰もこれを見ていた者はいないし、聞いていた者もいない。
辺境の村が燃えたことも、きっと誰も知らないに違いない。
主人公視点になるのはだいぶ後です。
それまで長いとは思いますが、ギャグを混ぜつつ読みやすく書いて行くつもりですので、それまででもお付き合い下さい!