閑話;とある囚人のお話 2
一人称と三人称ってどうしたら良いんだろう?
「あぁ………ゴクン!ん、そこまでだった。」
「そんな事言われても我は知らん。」
我はそんな肉食べようとは思わないが。
「………食べ終わった………から、行こう。」
「あぁ、行くか。」
我としても一人で行くよりは二人の方がいいので共に行く。
「………賭、しない?」
十分程度歩いたのだろうか?急にこの様な事を聞いてくる。
まぁ、我としても面白そうだから賛成しても良いがな。
「賭とは?しても良いが何を賭ける?我はこの服と杖ぐらいしか持っていないぞ。」
「………じゃあ……何も賭けなくて良い。」
体と言われ無くて良かった。何も賭けなくて良いって事は遊びか。
「………賭は、これから来る新入りが最初に何で驚くかで。」
なるほどな。我は何で驚いたんだったかな?あぁ……
「ほぼほぼの囚人がお出迎え。……これでどうか?我はこれで驚いたんだが。」
ほんとに驚いた物だ。
囚人服を着ずにいる時点で驚いたが牢にも入っていないとは思わなかった。
「………え?……驚く?………それ?」
おや?此奴は驚かなかったのだろうか?
「ん?驚かなかったのか?」
「………違う。……驚いたけど私は……色んな服装、種族……に驚いた。……まるで牢獄じゃないみたい。」
なるほど。牢獄じゃないみたい……か。
まぁ、確かにそうだ。
我だって赤いドレスを着ているし此奴も白のワンピースだしな。
種族はそこまで驚かなかったな。
だって様々な国の大罪人が収容されているのは知っていたからな。
今思うと此処には種族が違うだけで差別するような奴はいないな。此奴も人間だし。
そしたら皮肉にも此処が一番平等と言う事だな。
種族も肩書きも此処では一切意味がないしな。
「んで何にするのだ?」
「……看守。」
なるほど。
確かにそうかもな。我はそこまで驚かなかったけどな。
「………もう……つく。」
小さな手の人差し指が我の横を指す。
指された方を向くと暗闇の中に光が見える。
「そう言えばお主は此処に入るまで何をしてたのだ?」
光の方向に進んでいる途中我は割と暇だったのでそう尋ねた。
………前にも聞いたような気もするが。
「……………ギルマス。」
あぁ!思い出した。と言うか我はこんな事も覚えてなかったのか。ヤバイな。
……だんだんと思い出してきた。って言うか大丈夫なんだろうか?大丈夫だよな?我。
「あぁ、思い出したぞ。確か今の冒険者ギルドの大元を作ったのだろう?………名を何て言ったかは知らないが。」
「…………《ごちそう》って言う名前。」
初耳ッ!?って言うかそんなんで良いのか!?
てっきり我はもっと凄い名前だと思っていたんだが。
だから何処の本にも此奴の事は書いてあってもギルドの名前とか大事な事が載ってなかったのだな。
………ごちそうなんて名前は恥ずかしいからな。
「………そんなに………驚く?」
「驚くわッ!?」
此奴ぅ。こちらの身も知らずに首を小さく傾けてぇ……!
「………顔………怖い。」
「そう言うんだったらちょっとは怖がる真似をしたらどうなのだ?」
「………無理。」
こんなので良くギルドが成り立ったな。
いや成り立っていないからこんな所に入れられたのだろう。
此奴は寿命で死んだとされているしな。此奴に《初代冒険者ギルド・マスター 》何て言う子どもたちの憧れがいるとは思わなかった。
………そしたら何をして此処に入ったのだ?最初から疑問だったがますます分からないな。
此処には絶対に何かの大罪を犯さなければ入れないのだしな。
此奴は本当にギルマスなんだろうか?ま、ギルマスなのは疑っていないがな。
証拠を見せて貰ったしな。
一番ヤバいのは我がそこまでされているのに忘れていたと言う事か。
………壊れるのは嫌だ。
「……………あなたは何………してたの?」
我かぁ………我はなぁ………
「魔王の娘だったな。」
「………知ってる。」
「そうか。」
……我の真紅の髪に真っ黒の二本の角と言ったら魔王の家系だしな。
そんな話をしているともう光が見えている所に着く。
我達は光の中に入って行く。
中には広い広場のような空間であり真ん中にでかい魔方陣が書かれている。
そしてその上の天井には場違いなどデカいシャンデリアが光をランランと放ちぶら下がっている。
その魔方陣を取り囲むように色々な服装、種族の大罪人が約60人程いる。60人もいるからガヤガヤとうるさい。60人か、減ったのう。前はどんくらいだったか?忘れた。はぁ、もう終わりかのう。横の此奴は壊れなさそうじゃ。
我達は邪魔にならないように気をつけて真ん中の魔方陣が見える所に行く。
「此処らへんで良いんじゃないか?」
「………分かった。」
我達が黙って真ん中の魔方陣を見ていると横からおぼつかない足音が近ずいて来る。
「お、お久しぶりぶりです。ぼ、僕のことお、覚えていますか?」
我は話しかけて来た奴の方を向く。
そこにいたのは
ーーーー血だらけのまだ少年と言った方が正しい男がいた。
その少年は血だらけの白衣を着、頭には目隠しの代わりに包帯がグルグルと巻かれている。
そしてその包帯だけ綺麗であり白い髪、顔、壊れた手錠が付いた手は血の掠れた赤色で汚れていた。
こんな奴の事を忘れるわけがない。
前に会った時もこんな感じだったしな。
しかし包帯で周りが見えてなさそうなのに見えているのが一番の不思議だな。
「おぉ、久しぶりだなシャルフィア。」
「………さっきはありがとう。」
ん?此奴はさっき会ったのだろか?と言うか挨拶をしなさい。
「ど、どういたしまして。に、肉は美味しかった?ア、アルバーニーに貰ったんだけどぼ、僕は食べないから。」
「………まぁまぁ。」
「そこはお世辞でも『美味しかった』と言っておけ。」
「な、なんだって良いよ。ぼ、僕は調理前の物が欲しかったんだけど。」
ま、そうであろう。
何て言ったって『イかれた外科医』だしな。
こんなオドオドしてるのがあんな事をするのだから人は見かけによらないな。
………姉がアレだとこうなるのだろうか?そう言えば姉は何処にいるのだ?
「なぁ、お主の姉は何処に?」
「あ、姉ですか?」
ピカァッ!!
ーーーー我は咄嗟に目を閉じる。
シュウゥゥーーーーーーッ
砂埃が上がる音がする。
我はゆっくりと目を開ける。そして真ん中の魔方陣を見る。
そこにいたのは禍々しい紫の角を右から一本だけ生やし肌は日に焼けたぐらいの褐色で髪は白と言うよりは銀。
真っ赤な瞳を持ち真っ黒い天使の羽を角と同じ右に片翼だけ生やし真っ黒のマントを羽織っている魔族?な美少女がいた。
そしてもう一人いたようでそちらを見ると
ーーーーーーーーはっ!?と息を忘れた。
同性である女のはずであるのに見惚れてしまった。それ程にも美しいメイド服を着た美女がいた。
………そして新たな囚人を連れてくるはずの看守は何処にも見えない。おかしい。何処じゃ?何処にいるんじゃ?
すると急にその美少女が我の前に来る。
「うん、うん!良いねぇ。コレに会うためにわざわざと来たってもんだよ。そうだよね?」
我を指差してそう言う。
「ご主人様。ローザもそう思います。でもご主人様の一番はローザですよ。」
「もちろんだよ!私は唯、テンプレをしようとしてるだけ。」
そして鈴の音のような声で話しながらメイドまで我の前に来る。
話しの内容が入って来ない。
何故か声が出ない。体も石のように動かない上に冷や汗をかいてくる。
その美しさからだろうか。
もしくは
ーーーーー二人の目があまりにも我の事を生き物として見ていない事が分かってしまったからか。
我には分からなかった。
唯、分かるのはこの二人はイかれている。それもどうしようもないぐらいに。
………シャルフィアの姉に何処か似ている。我はそう思った。
「じゃあ、一つ聞こう。コレ以外の人達は私達の駒になる気はない?」
コレと我の方に人差し指を刺して、まるで無知な子供のような満面の笑みを浮かべてそう言った。
おかしい点などあったら教えてください。上手く文を書けている気がしません。
設定は後々神薙視点で書きます。
疲れた。次からは神薙視点です。この閑話1、2って1話の前に置いてもいいなぁと思ってみたりもする。