プロローグ3
高価ではあったが、手が出ないほどではなかった
デジタルダイバーを人々は思い思いに楽しんだ。
電脳体《アバター》と呼ばれる仮初めの体を使い
強敵と拳を交わしたり、
戦闘機に乗り大空を自由に飛びまわったり、
動物たちと親愛を深めたり、
そして、勇者となって魔王を倒したり、
様々である。
だが、人間は慣れる生き物であり、欲深い生き物である。
興奮を巻き起こしたデジタルダイバーだが、
慣れてしまえば何年も前に廃れてしまったものの焼き直しである。
その熱も数年も経てば冷めてくる。
そうなると困るのが企業だ。
少しでも多く長く甘い蜜を吸いたい、心理であり真理である。
この時、企業同士の売り上げ争いはほとんどないに等しかった
企業の売り上げよりも業界全体の存続を優先したのである
それぞれの企業の開発者たちが一同に集まり
業界の未来を憂い、連日連夜頭を抱え話し合っているのである。
どうすればいい?
その言葉だけが彼らの頭の中にあった。
その時誰かがつぶやいた、
「いっそ焼き直しだと開き直って歴史をなぞればいい」
その一言がきっかけとなり
仮想世界多人数同時参加型オンラインゲーム開発プロジェクト
仮称「ガイア」の開発が始まった。
そこからの各企業の行動は早かった、過去に流行ったゲームをまとめ、
研究し、現代に合うように改良を加える
そうして生まれたのが
デジタルダイバー対応型多人数同時参加型オンラインゲーム
「ガイアクエスト」
である。