「都市級が港町を襲撃するようです」part9
登場人物紹介
・子狸バスター
鬼のひとたちがお届けする世界の鎧シリーズ五作目。
前作まで継承されてきた操縦方式をダイナミックに改革。操縦席を全廃し、夢のような収納スペースを実現した今作は、青いひとたちの専用機である。
装甲は鉄製。厳選された良質の鉄素材をもとに、かつて人類が到達した最高の技術で製作されている。
鎧シリーズの大きな特徴として「正体はじつは人間だった」ルートに対応できるよう、姓名を完備。
第二回全部おれ定例会議において、さまざまな候補が挙がる(「グレート・ディン」「ポーラ・スペシャル」「ブラックナイト・ブルー」「五身合体おれたち」「おれと愉快なお前たち」「むしろおれ」等)も、黒妖精さんに「お前らの主張が激しすぎる」とお叱りを受け、「ジ・エルメノゥマリアン・ヨト」と命名される。
「ジ」は古代言語で「数字の5」。鎧シリーズの五作目であることから。
「ヨト」は旧古代言語で二人称の「あなた(お前)」を意味する。設定上、魔王は魔物たちの「最後の子」である。
「エルメノゥマリアン」は人間たちの称号名をリスペクトしたもの。
※「メノゥ(しいていうなら~している)」を原級とするなら、「エメノゥ=メノッド(まさしく~している)」は比較級、「エルメノゥ(すごく~している)」は最上級にあたる。
黒妖精さんのネーミングをいったんは絶賛した青いひとたちだが、ひそかに四人で集まり「じっさいどうよ……?」「一文字とか……」「さも閃いたふうを装ってたけど、絶対に前から決めてたよ……」「あのひとはそういうところがある……」とか相談した結果、自ら名乗ることはしないという消極的な案をとる。
そのことが悪い方向に転がり、港町で衝突した騎士たちに前作の見えるひと専用機と同一視され、意見がまとまらないうちに魔王軍元帥という設定を引き継ぐことになった。
つまり魔王軍「最高の魔法使い」という設定である。広範囲に及ぶ攻撃的な魔☆力は魔王軍でも一、二を争うほどで、これは前回の旅シリーズにはなかったもの。あるじを失った憎しみがそうさせるのか……? 要検証。
現在はレボリューションが不完全であるため、脚部の駆動を魔法で補っている。
巨大な魔物をねじ伏せるほどの腕力を持っているが、鎧にとり憑いているという設定上、俊敏性に欠ける。
部下に恵まれないのは仕様である。
火の宝剣の保持者として勇者一行の前に立ちふさがる。
二六五、住所不定の特筆すべき点もないてふてふさん
おい。お前ら
青いの。こら
なにがレボリューションだ……
サヤエンドウみたいな構造しやがって……
おい。なんで成功してんだ
そこは失敗して、いったん退却するっていう手筈だったろーが
二六六、空中庭園在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
勇者さんの驚く顔が見たくて、つい……
二六七、火口付近在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
許してあげて下さい!
こいつ、子狸さんの前だと張り切りすぎるところがあるんです!
な? ほら、謝っとけ
二六八、空中庭園在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
結果的に同じことじゃん?
むしろぉ……じっさいに奪ったほうが緊迫感があっていいでしょ?
二六九、かまくら在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
ばっ……口ごたえするな!
二七0、住所不定の特筆すべき点もないてふてふさん
しょせんレベル1か……(ため息
まあ……
ぬるま湯にひたって生きてきたお前らに
おれみたいな繊細な感覚を期待したのが間違ってたのかもな……
二七一、空中庭園在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
そうかもね
まあ……
お前にバウマフさんちのひとの世話は無理だろうな
ひとことで言えば、ワンパターンなんだよね
殴って終わりみたいな
可愛いから許されるだろー……みたいな甘え?
あるよね、そういうところ
美少女(苦笑
二七二、住所不定の特筆すべき点もないてふてふさん
炒るぞ
二七三、空中庭園在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
ごめんなさい
おれが間違ってました
二七四、住所不定の特筆すべき点もないてふてふさん
仕方ねーな……
じゃあ、自分はそら豆みたいなものですって言え
二七五、火口付近在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
!? 司令、それだけは……!
二七六、かまくら在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
それはあまりにも……! ご慈悲を!
二七七、空中庭園在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
いいよ、お前ら。自分でまいた種だ。言うよ
二七八、火口付近在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
庭園の……だが!
二七九、かまくら在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
庭園の……!
二八0、住所不定の特筆すべき点もないてふてふさん
言えよ
二八一、空中庭園在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
くっ……!
おれは……そら豆みたいなものです……
言うほど……青くありません……
二八四、山腹巣穴在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
庭園の~!
二八三、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん
庭園の~!
二八四、管理人だよ
庭園の~!
二八五、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中
お前らの心がひとつになった一方その頃……
妖精「聖☆剣が……!」
リアクション担当の羽のひとを
コアラさんが憐れむような目で見た
コアラ「哀れね。光の精霊もあなたも、ひとを見る目がなかった……そういうこと」
そう言って、羽のひとの横を通り過ぎて
黒騎士の肩にとまる
そして彼女は、魔軍を総べる将の耳元で囁いた
コアラ「どう? わたしの言った通りでしょ? 同じ次元の存在なら、宝剣に干渉できる。精霊の宝剣は最高位の存在だから、より優秀な使い手を選ぶ。古いしきたりにはリスクを回避するための構造が多いのよ。わたしたち妖精がそう」
黒騎士の肩の上で、彼女は羽のひとを見つめて儚げに笑った
コアラ「光の精霊があなたを選んだ理由は、なんとなくわかる。誇っていいと思う。あなたのそういうところ、わたしは好きよ。でも……優しいだけじゃ競争には勝てない」
妖精「わたしはっ……」
反論しようとする羽のひとだが
現実に聖☆剣は勇者さんの手を離れて
魔軍☆元帥の手中におさまっている
宝剣のシステムを知らなかったから
勇者さんに警告をすることもできなかったのだ
子狸「…………」
事態の推移を見守っていた子狸が
黒騎士とコアラさんを何度か見比べて
なにかを期待するような眼差しで
滞空している羽のひとを見た
妖精「…………」
羽のひとが嫌そうな顔をしてから子狸の肩にとまる
子狸はひとつ頷いてから、黒騎士に懇願した
子狸「父さん。父さんなんだろ!? なんでそんなことするんだ? そんなふうに女の子と仲良くして……母さんに言いつけるよ?」
庭園「」
黒騎士が動揺した
本当の意味で急所だったからだ
若い女の子と浮気していたなど告げ口された日には
お屋形さまに明日はない
もちろん事態に関わったおれたちとて無事では済まないだろう
それでも一度は信じた道だ
犠牲を払ってでも進むしかない
おれは無実です
庭園「光の宝剣を手に入れた以上、お前は用済みだ。スペアは一人でいい……バウマフ家の歴史をここで閉ざしてやろう……」
明日は不要とばかりに歩を進める黒騎士の前に
勇者さんが立ちふさがった
子狸「お嬢っ……!」
勇者「下がってなさい」
子狸を片手で制した勇者さんが
怜悧な眼差しで黒騎士を見つめる
黒騎士はゆっくりと首を傾げた
庭園「……ああ、ご苦労だったな。人間の娘よ、もうお前に用はない。どこへなりとも行くがいい」
勇者「聞き捨てならないわね。予備というのはわたしのこと?」
庭園「そうだ」
黒騎士は認めた
庭園「単なる偶然だとでも思っていたのか? やましいところがあるから嘘をつくことになる。だから中途半端になるのだ……光の精霊よ。だが、その憂いも、もはや……」
真相を打ち明ける必要がないから
黒騎士の答えは端的になる
その言葉には歴史の重みがある
火の剣を散らせて
勇者さんを押しのけようと
緩慢な動作で片腕を伸ばそうとする黒騎士に
パートナーの黒妖精が声をかけた
コアラ「ジェル。その子でもいいんじゃないの? その子の退魔性は相当なものだわ」
スペアはバウマフ家の人間でもいいのではないかということだ
さしもの黒騎士も宝剣の導き手をおざなりにはできない
庭園「お前は知らないからな。バウマフ家とわれわれの因縁を……。実力はどうあれ、生かしておくことはできない」
勇者「……物心ついたときには」
勇者さんが唐突に言った
庭園「……?」
勇者「感情を抑える癖ができていた。嬉しいという気持ち、楽しいこと……むかしはあったのかもしれないけど、いまでは区別もできない」
彼女の話を
黒騎士は聞く義理がない
庭園「どけ」
勇者さんの肩に触れた黒騎士の手が
かすかに震えた
退魔力ではない
地上で魔物は不完全な状態をしいられる
活動時間に関しても同様だ
タイムリミットが近い
黒騎士は繰り返した
庭園「どけ。生かしておいてやると言っているのだ。おれの言うことが信じられんか? 魔王軍とて一枚岩ではない。同胞に寝首をかかれないという保証はない」
かつて邪神教徒に裏切られた魔軍☆元帥が言うと
悲しいほど説得力があった
庭園「万が一のことを考えるなら、スペアは必要だ。勇者とは、われわれにとって聖☆剣の道しるべなのだ。死んでもらうわけにはいかん……」
黒騎士の説得に
勇者さんは応じない
勇者「わたしが、どんな気持ちで生きているか……あなたたちには絶対にわからない。観客のいない舞台で一人ずっと踊っているようなものよ」
でも、と彼女は言った
勇者「だから、この舞台を降りるわけにはいかない」
振り上げた手で
勇者さんが黒騎士の厚い胸板を叩いた
黒騎士はびくともしない
勇者さんを押しのけて、子狸の前に出る
庭園「長かった……。どうりで見つからないはずだ。貴様らが聖☆剣の運び手だったとはな……! 勇者の末裔よ!」
子狸の胸ぐらを掴んで宙吊りにした黒騎士が
聖☆剣の切っ先を向ける
黒騎士の豪腕に押されて
よろめいた勇者さんが叫んだ
勇者「リン! 剣!」
妖精「! でも!」
勇者「早く!」
妖精「……っ!」
融解して地面に落ちた剣の残骸を
羽のひとが念動力で勇者さんに投げ渡した
柄と刀身は分離していた
空気に触れて冷却が進んでいた鉄は
かろうじて棒状を維持していたが
とても剣とは呼べない惨状だった
包丁ほどの長さしかないそれを握ると
まだ冷え切っていないらしく
肉が焼ける音がした
庭園「ちっ……」
苛立たしげに舌打ちした黒騎士が肩越しに振り返る
勇者さんに低レベルの魔法が通用しないことは実証済みだ
面倒でも自ら対応するしかない
勇者「足を狙いなさい!」
突然の出来事だ
勇者さんの指示に応えたのは
子狸でもなければ
羽のひとでもない
復活した騎士の狙撃だった
港町の住人を退魔力で解放しておいたのか?
だが、それにしては手際が良すぎる……
二八六、山腹巣穴在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
子狸が途中で出撃したからな
最後までは聞けなかったけど
勇者さんにとって聖☆剣が奪われたのは想定内のことだったんだろう
裏で糸を引いていた都市級の魔物が出てきたんだから
何らかの手段を講じてる可能性もあると思ったんじゃないか?
勇者さんがやったことは単純だよ
となりの部屋の住人を退魔力で解放したんだ
わかるか?
港町に限った話じゃない
商人に身をやつしたファミリーの連中が
勇者一行の前後を固めてたんだ
港町に潜入していた連中が
騎士たちを回復したんだ
奇しくも黒騎士の魔☆力は
勇者さんの切り札をつぶしていた
だから彼女が本当に求めていたのは
ファミリーの連中が騎士たちを回復させるだけの時間だった
足を光槍で縫いつけられた黒騎士が
屈辱に吠えた
庭園「アレイシアン……!」
勇者「気安く名前を呼ばないで」
体勢を崩した黒騎士の肩口に
すっかり短くなった剣が深々と突き刺さる
役割を終えた剣が
根元から折れた
ありったけの退魔力を注ぎ込んだはずだった
それでも黒騎士は倒れなかった
庭園「この程度で、このおれを倒せると思ったか!」
どれだけ理想的な条件を揃えても
人間の力が通用するのはレベル3までだ
人間の限界が開放レベル3だから
おそらく勇者さんはレベル4以上の魔法に退魔性を試したことはない
光槍が乱れ飛ぶ中、身の危険を感じた子狸は黒騎士の腕にしがみついた
子狸「イズ!」
お前らがしびれる
庭園「ぐっ……! 邪魔だ!」
発電魔法は
鎧を伝って内部のお前らにダメージを与えることができる
コアラさんに電流が行かないように配慮するところが
いかにも子狸であった
放り投げられた子狸が
空中で猫みたいに身をよじって
四つ足で着地した
子狸「ふーっ!」
野生化しとる
子狸「チク・タク・エラルド……!」
勇者さんから離れた子狸は
魔☆力の餌食だ
子狸「あふっ」
子狸は硬直しても
騎士たちの砲火は止まらない
隠し玉のファミリーに関しても
勇者さんの指示で動いているなら
常時展開の盾魔法で魔☆力を弾いた可能性がある
黒妖精が黒騎士の肩の上で
愉快そうに身体を小刻みに揺すっていた
コアラ「手を貸してあげようか?」
庭園「いらん。同じことだ……イズ・ロッド・ブラウド・ディグ・メイガス!」
ふたたび紫電が閃いた
開放レベル4の広域殲滅魔法に人間が抵抗するのは無理だ
勇者さんが傷つけたのは
黒騎士本体ではなく
魔軍☆元帥としてのプライドだった
庭園「やってくれたな、小娘……」
もう子狸は眼中になかった
黒騎士の標的は勇者さんに移っていた
羽のひとが勇者さんの手のひらの治療に当たっている
勇者さんが真っ直ぐに黒騎士を見据えた
勇者「宝剣に固執しすぎよ。そんなものがなくても人間は戦える」
庭園「お前は宝剣の価値を知らん。人間だと? 残っているのはお前だけではないか。無駄な足掻きだ」
両者の会話が、はじめて成立した
勇者「そうかもしれないわね」
勇者さんは認めた
勇者「でも、他に打てる手がなかった。精いっぱい足掻いて、それでもだめなら諦めるしかないわね。だから、これが最後の手段になる……」
そう言って彼女は片手を差し伸べた
勇者「戻って来なさい」
庭園「無駄だ」
黒騎士が一歩、踏み出した
勇者「戻って来なさい」
庭園「無駄だと言っている」
さらに一歩
その足がひざから折れた
庭園「!? ちっ……騎士どもめ……見事だ」
片ひざを屈した黒騎士が
敵と認めた騎士たちを賞賛した
庭園「影ども……出てこい」
黒騎士の影が本体と剥離して伸び上がる
影に身をやつした火口のとかまくらのが
分裂しながら勇者さんに迫る
勇者さんの治療を終えた羽のひとが身構えた
庭園「命乞いしろ。いまなら、まだ間に合う」
勇者「戻って来なさい」
庭園「無駄だと……!」
一心に念じる勇者さんに応えたかのように
黒騎士の手から伸びている聖☆剣が
激しく明滅しはじめた
あってはならない現象だった
暴れる右手を、黒騎士が左手で押さえつけようとした
庭園「なぜだ!? なぜお前は、われわれではなく人間を選ぶ!? あのひとが見たものとは……いったい何だったのだ?」
二八七、空中庭園在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
子狸ライトオン!
二八八、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中
よしきた、子狸ライトオン!
二八九、山腹巣穴在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中
輝く子狸さん
突如として発光しはじめた子狸を
黒騎士が振り返る
驚きの声を上げたのは黒妖精さんだ
コアラ「まさか……宿主!?」
庭園「そこにいるのか……? 教えてくれ。なぜ人間なんだ? お前は自然界の守護者ではないのか? 王は……最後に何と言っていた?」
ひょっこりと立ち上がった子狸が
ゆっくりと首を傾げた
子狸「え? あ、動く」
しょせん子狸か……
庭園「そうか……。言葉で伝えるものではないのだな……」
黒騎士は強引に納得した
諦めたように左手を右手から離すと
光の粒子と化した聖☆剣が
勇者さんの手に溶け込むように消えた
コアラ「ジェル、何を……」
庭園「構わん。時期ではなかったということだろう……」
そう言って、黒騎士は勇者さんを見る
庭園「おれもまだ完全ではない。残る宝剣を手に入れたあかつきには、光の精霊とて従わざるを得ないだろう。それ以外にも……心当たりはある」
勇者「鍵……と言っていたわね」
庭園「教えると思っているのか? 自分の目で見て、耳で聞いて判断しろ」
黒騎士は片足を引きずって立ち上がる
庭園「騎士たちに免じて、ここは退こう。だが、これだけは言っておく。先ほどはああ言ったが……勇者とは結果的に魔王を倒したもののことだ。お前が何者かは……お前自身が決めるといい」
見つめ合う両者の肩の上で
妖精たちもあるじに習った
コアラ「そういうことみたいだから……また会える日を楽しみにしてるわ、リンカー。あなたは、もう少し魔法の勉強をしなさい」
妖精「ユーリカ……」
少し離れたところで、子狸がうんうんと小刻みに頷いている
猛虎の構えをとっていた影たちが「え? おれは?」という感じで硬直していた
そのとき、中央広場に大きな影が落ちた
港町の上空を、ひよこが飛んでいた
ゆるやかに滑空して中央広場に舞い降りると
ひよこはちまい翼を折りたたんで黒騎士を見下ろした
すごく……大きいです
ひよこ「戯れもほどほどになされ……元帥殿」
首回りを立派なたてがみが覆っていた
二九0、魔都在住の特筆すべき点もないライオンさん(出張中
ひよこじゃねーよ
おれだよ。おれ
二九一、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん
いや、前々から思ってたんだけど……
お前の主成分はひよこだと思う
二九二、管理人だよ
空のひと。空のひとじゃないか
二九三、魔都在住の特筆すべき点もないライオンさん(出張中
ちわ。管理人さん
だから、ひよこじゃねーって
せめてヒナ鳥と言え。ひよこだとニワトリさんのヒナだろ
おれのベースになってるのは鷲さんとライオンさんだから
二九四、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん
ベースってお前……
たてがみだけじゃねーか……
なんで出てきた?
お前が出てくると
いろいろとぶち壊しになるんだよ
見ろ、緊迫感を醸し出してる勇者さんが哀れなんだよ……
勇者「下位都市級……」
かくして、一同に会した子狸とコアラとひよこ
どこのアニマル界ですかこんにゃろー
登場人物紹介
・ライオンさん
魔獣種の一角を担う巨大なひよこ。空のひとと呼ばれる。
本人は鷲のヒナであると主張している。自慢のたてがみを百獣の王に見立てて獅子を自称する。
本人をベースにした変化魔法は開放レベル3であるため、多種族の特徴を兼ね備えるタイプの魔物は幼体のほうが何かと都合が良い。
開放レベルは羽のひとと同等の「4」。人間たちの区分では下位都市級にあたり、魔王の騎獣を務めてきた由緒正しき魔物である。
もちろん魔☆力も使える。ただし広範囲に及ぶものではなく、その用途も詠唱を問答無用で封じるというような攻撃的なものではない。
魔王軍の本拠地である魔都に居を構えている。
さいきんの悩みは、魔都に通じる大迷宮(通称ラストダンジョン)が、つのが生えたひとたちに目をつけられていること。
同じ飛行タイプということで、羽のひとと仲良し。表に出てこない火のひとのことも気にしている。