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しいていうならお前の横を歩いてるのが魔王  作者: たぴ岡
名探偵くん、やってくれたな……! by怪盗アル
124/240

「このお話は削除されました」

 注釈


・こきゅーとす


 魔物たちの相互ネットワーク。

 全世界で数十億にも及ぶ魔物たちが用途に応じて用いる「河」全体を指して言う。

 彼らの悲哀がたくさん詰まっていることから、「嘆きの河」とも称される。

 発言者を明確に表記する仕組みになっているため、ごく自然に管理人の目を欺くことができる。

 (表題は自己申告であり、自在に変更できる)


例)七、農村在住のとるにたらない不定形生物さん(主張中


 ふだんはこのように、その河における「発言順」のあとに「住所」「発言者」「家にいるか否か」と続く。

 しかし、これはあくまでも勉強が苦手な管理人のために整理されたテンプレートである。

 管理人が閲覧することはないと目される状況、加えて非常時である場合はテンプレートに従う必要がないため、最低限かつ最速の表記が用いられる。


例)五、P-01(


「五」の部分は、おもにカウントを意味する。不要な場合は省略される。

「P」は「ポーラ」の意。「01」の「0」はオリジナルコード。分身ではなくオリジナルであることを示し、「1」はオリジナルのうち誰かを表す。

 出張中か否かは丸かっこの有無で決まる。「出張中」とはわざわざ書かない。

 この場合は、発言者が「王都のひと」であり、「出張中」であること、そしてカウントは「5」ということだ。


 発言者の一覧は以下のようになる。


 P(ポーラ=青いひと)「01=王都のひと(イド)」「02=山腹のひと(トワ)」「03=庭園のひと(アリス)」「04=火口のひと(ウノ)」「05=かまくらのひと(ジ)」「06=海底のひと(ドライ)」

 D(ディン=鬼のひと)「01=王国のひと」「02=連合国のひと」「03=帝国のひと」

 B(ブル=骨のひと)「00」※オリジナルが単一である場合は「0」が二つ並ぶ。以下省略

 J(パル=見えるひと)※昔は「ジェステ(守護者)」という種族だった

 L(リリィ=歩くひと)

 X(イリス=牛のひと)

 W(ロコ=鱗のひと)

 C(シマ=跳ねるひと)

 S(シエルゥ=羽のひと)

 G(グラ・ウルー=魔人)※未登場

 Y(ヒュペス=空のひと)

 Z(ディ・リジル=蛇のひと)※正しくは「ズィ・リジル」

 E(エイラ=大きいひと)

 N(ニレゴル=火のひと)

 A(アイオ=緑のひと)

 F(フォビドゥン=海のひと)

、P-01(


 ちっ……。規定値を越えた

 かまくらの、頼む



、P-05(


 ああ。任せろ

 見えるひと、ともに戦おう



、J-235(


 お前……ゲストとか言っておいて……

 くそっ。いつからだ?

 緑の島からか?



、P-01(


 骨のひとと戦ったときからだよ

 ずっと兆候はあった


 大きいの、戻れ

 庭園の、お前が指揮をとれ



、E-00


 あいよ



五、P-03(


 あいあい


 おや、子狸さんのしっぽの様子が……?

 やはりレベル9か……

 肉弾戦がメインになるな


 空のひと、手伝ってくれ。前衛を頼む

 かまくらのは中衛。前に出過ぎるな

 見えるひとは後衛だ。詠唱に入れ

 海底のは転送の準備

 

 だいぶ派手になる……

 心理操作は、おれがやる

 剣士どもは除外するからな

 羽のひとは箱姫の部屋を外部から切り離してくれ


 5カウントでケリをつけるぞ

 7カウントでまとめて復元する

 


五、Y-00


 現地到着まで1カウントくれ


 ふええ……時空間がゆがんでるよぉ……



五、P-05(


 子狸さんのしっぽがひとりでに動いてるよぉ……


 おれ、おれ……みょっつさんを守るためにがんばったよ?

 でもね、おれの柔らかいところがどんどん削られていっちゃうの……

 特赦ちゃん、おれのこと嫌いなのかな……? ぐすん

 ステルスがもたないよぉ……


 

五、J-235(


 かまくらちゃん……。元気だして!

 おれたちね、いま光速を越えてるからステルスとか関係ないと思うの……


 光たちを追いぬいて、いま行くから……それまでがんばって!

 メノゥパルとか言われてるのにヘンだよね……

 でも、ともだちだから……ともだちのためにがんばったの


 手応えあり、だよ……

 地下数十メートル、ううん、数百メートルくらいかな、一気に掘り進んだと思う……

 でもね、逃がしちゃった……ごめんね



五、S-00


 過去へ逃げたか


 ……お前ら、もうちょっとまじめにやれんのか?

 言っとくけど、かなりシリアスだぞ


 減衰特赦は、おれたちと激しく反応する性質を持ってる

 それなのに、あの男を狙ったということは

 子狸の無念が、本来の性質を捻じ曲げるくらい影響を与えてるってことだ


 こうしている間にも、お屋形さまが四次元空間で戦っているというのに

 お前らときたら……


 

五、P-06(


 てっふぃー……

 てっふぃーは、いつもまじめだね……


 昔はね、おれたちもそうだったの……

 でも王都ちゃんが……王都ちゃんが叫ぶの無意味だからやめよう、って……

 


五、P-01(


 その通りだろ。“!”とか付けても字数の無駄だよ

 どうせ、あとで山腹のにカットしてもらうし

 子狸が見てないところで緊迫感を出して何になるよ?

 

 情報伝達は簡潔に

 無駄なく

 最速で


 最初はいい感じだったのに……どうしてこうなった……



四、P-05(


 王都ちゃんは……! 王都ちゃんは自分が戦わないからそんなこと言えるんだよ……!

 まじめに戦うのって、すごく恥ずかしいんだから……!

 一回でも意識しちゃうとだめなんだから……


 あ、トトくんが歩いたよ……!

 見えるひとがお屋敷の階段に大きな穴を空けちゃったけど

 庭園ちゃんが心理操作してくれたからだいじょうぶ……

 気にしてないみたい



四、P-03(


 そろそろかな……?

 海底ちゃん、転送して!



四、P-06(


 うん、わかった!

 いっくよぉ~



四、P-01(


 転送された無数の魔どんぐりが、ごろごろと床に転がる

 人間たちがまばたきをするよりも早く、それらは弾け飛んだ

 未来からの攻撃だ

 いや、未来への攻撃と言うべきなのか


 四次元空間での攻防を、おれたちが知るすべはない

 しかし推測はできる


 いったん過去に後退したしっぽは

 お屋形さまの手で撃退され

 今度は未来へと避難したのだろう


 特赦は魔物と激しく反応する性質を持っている

 あれは五十世代にも及ぶ呪詛だ


 そして魔改造の実に対して

 もっとも強い反応を示すことがわかっている


 かまくらのんが身をひるがえした

 わずかなタイムラグから、攻撃パターンを割り出したのだ 

 未来への攻撃は、予知でしか対抗できない


 出るぞ


 過去がだめなら未来

 未来がだめなら現在

 子狸ならそう考えるだろう


 本人に意識はないだろうが……

 宿主だからな

 どうあっても影響はまぬがれない



四、Y-00(


 遅れちゃった……

 ごめんね、待った?



四、P-05(


 ううん。いま来たところだから……

 ぜんぜん気にしてないよ!


 あ、痛……


 ちょっとミスっちゃった……

 でも、こうでもしないと、避けられなかったから

 仕方ないよね……



三、J-235(


 かまくらちゃん……


 がんばるよ……

 しっぽなんかに絶対に負けないんだから!


 駆けつけてくれた空のひとが、しっぽに体当たりしたの……

 すごいパワー

 壁をぶち破って外に出たよ


 その衝撃で、領主さまのお屋敷は半壊したけど

 羽のひとがいるからだいじょうぶだよね……?



三、Y-00(


 外は、どしゃぶり……

 冷たい雨が、おれを叩いたよ

 水滴とか、止まって見えたけど……

 おれ、身体が大きいから……ちょっと気にしてる


 しっぽは耐えてる

 我慢できる子なんだ……


 ホント言うとね、こんなことしたくない

 でも、子狸さんは、そんなこと望んでないってわかるから

 だから、勝たなくちゃ……


 かまくらちゃんは休んでて!

 負けるもんか……

 負けるもんか!

 


二、P-05(


 一人になんてしておけないよ!

 致命傷だったけど、あとを追う……


 空のひとが、しっぽを抱えこんだまま、住宅街を踏破してた

 のどが裂けちゃうんじゃないか、っていうくらいの、叫び声……

 足元の人間たちを避ける余裕はなかった……

 人間たちをかばってたのは、しっぽだった……


 なんのために戦ってるのか、わからなくなる光景

 でも、やらなくちゃ……



一、P-03(


 かまくらちゃんの触手が伸びる

 どんどん枝分かれしていって、数えきれないくらい……

 街の上空を覆った……


 光がさえぎられて、影が落ちるよりも早く

 触手は街に降りそそいだ


 人間たちが、ときどき冗談で、雨じゃなくて槍が降るって言うけど

 まさしくそんな感じ……


 耐えきれる家なんてなかった

 しっぽが人間をかばえばかばうほど、おれたちは有利になる……

 そうすることがわかってたから、かまくらちゃんは撃った

 つらい選択だった……


 見えるひとは、二人を追いかけながら高速で詠唱してる

 やろうと思えば、一瞬でスペルは言えるけど

 詠唱には最低限の発音速度が決まってる……


 限界レベルもそうだけど

 たぶん術者となる種族を保護するための仕組みだ……

 

 減衰特赦を使えるのはバウマフ家の人間だけだから

 おれたちは、きちんと詠唱しなくちゃ開放レベル9まで持っていけない


 しっぽは暴れ狂ってる……

 そんなに子供たちの力になりたいの……?


 バウマフ家の人間との融合が進んでる

 もともと、どうしようもなかったけど

 もう絶対に切り離せないところまで来てる……


 でも、だめだよ

 力尽くで心をねじ伏せるようなことは、しちゃいけない

 そんな資格は、だれも持ってないんだから……

 

 街の景観はがらりと変わったけど、住民たちは気にしてない

 誤魔化しきれそう……

 ついでに、この大規模破壊に関して羞恥心を覚えるよう設定しておいたよ

 これで話題になることもないと思う……


 記憶を消すのは最終手段なんだ。一部の変態に適用されるよう仕込んでおく……


 

0、Y-00(


 見えるひとっ



0、J-235(


 ぬぅぅぅうりゃッ!


 全身全霊をこめた全力投球だ

 障害物(家)をことごとく貫通して飛翔した光弾は

 おれのとっておきの封印術である


 避ければ世界が消し飛ぶ

 受けざるを得まい……


 舌なめずりをして、成果を待ったの……


 しょせん子狸さんだよね。反吐が出るほど甘いよ

 地面に縫いつけられたしっぽがじたばたしてる

 まったくもう、往生際が悪いんだから……


 無数に分裂した光弾が、しっぽを雁字搦めに拘束する

 ぐったりしたしっぽが、最後に吐き出したのは

 きっと子狸さんの夢だった


 勇者ごっこする子供たち。子狸さんは魔王役

 夕暮れ

 影法師

 家族……


 渾然一体となったイメージだ

 深層心理というやつなのか……?


 顔のない人間たち

 小さい頃に連れて行ってもらった劇場

 砂時計

 塔


 王都のんの怒鳴り声

 なだめているのはお屋形さまだ

 扉

 ポンポコ母の優しい声……

 

 剣を掲げる騎士たち

 絵本……?

 小さなお馬さん……

 雨雲

 

 ごますり鉢

 薬草を投下

 雑草も投下

 きのこ

 調味料

 きのこ

 

 場面が飛ぶ

 見上げた先に立っているのは、みょっつさんだ


 ここで会ったが三年目……と言ったのは子狸だろう

 迷わず踏み出そうとする子狸を、小さな手が引っぱる

 弱々しい力だったから、心配になって振り返る

 視線を落とすと、うつむいているマヌさんが視界に入った


 少し待ってほしいと彼女は言った

 視界が上下する。頷いたのだろう。約束の時間までは間がある……意味不明の思考

 

 そして……

 この先の展開を見るためには、料金を支払う必要があるらしい

 どこまでも世俗にまみれたポンポコである

 だぶる? の選択肢を、空のひとが否決を連打

 夢が終わる……


 だぶる? しつこい



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