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しいていうならお前の横を歩いてるのが魔王  作者: たぴ岡
犯人はこの中にいる!……by子狸
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「子狸の事件簿」part8

一四五、王国在住の現実を生きる小人さん


 猫耳と聞いて



一四六、帝国在住の現実を生きる小人さん(出張中


 おれら、推参!



一四七、連合国在住の現実を生きる小人さん(出張中


 ポーズ! どしぃっ



一四八、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 どしぃっ……じゃねーよ!

 次から次へと……!

 帰れよぉ~も~



一四九、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん


 鬼のひとたち。鬼のひとたちじゃないか


 大陸統一トーナメントはいいのか?

 だいぶ盛り上がっていたようだが……



一五0、王国在住の現実を生きる小人さん


 ん、おれらはコピーだぞ

 ああ、さいきんはアナザーと呼ぶのか


 大会の本命がオリジナルたちのライバルチームなんだが

 なかなかキャラが立たないもんでな


 おれら、準決勝で本命チームをあっさりと下すダークホースっていう役どころなのね

 決勝まで相手がことごとく不戦敗する手筈になってるから、ひまなのさ


 

一五一、帝国在住の現実を生きる小人さん(出張中


 見ろよ、このスタイリッシュな黒衣

 その実力、未知数……! みたいな?


 まあ、ぜんぶおれなんですけどね



一五二、魔都在住の特筆すべき点もないライオンさん


 いま、ひどいネタバレを見た



一五三、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 おれ参上した三人の匠が、勇者さんを取り囲む

 もちろんステルスしているので、勇者さんは気付かない


 彼女の頭上でぴこぴこ動いている猫耳を、まじまじと見つめる匠たち


鬼ズ「…………」


 連合のひとが帝国のひとに、何やらぼそぼそと耳打ちする

 感じ入った様子で、厳かに頷く帝国


 王国のひとは、屈んだり身体をねじったりと忙しい

 あらゆる角度から猫耳勇者さんを検証しているようだ



一五四、連合国在住の現実を生きる小人さん(出張中


 ふむ、なるほど……

 帝国の、どうだ?



一五五、帝国在住の現実を生きる小人さん(出張中


 ああ。やはり青いひとたちはあなどれん

 これほどとは……


 王国の、きっちりと撮っておいてくれよ



一五六、王国在住の現実を生きる小人さん


 任せろ。抜かりはないさ

 念写ぁっ……



一五七、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 撮影は禁止ですっ!


 そこのつの付き、撮るな!

 ええいっ寄るんじゃない!



一五八、王国在住の現実を生きる小人さん


 ん? 撮って何が悪い? 資料にするんだよ

 資料は大事よ? もちろん永久保存な

 


一五九、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 可哀相だろ! 血も涙もないのか、お前らは!?



一六0、帝国在住の現実を生きる小人さん(出張中


 なに言ってるんだ

 勇者さんはアリア家の人間だぞ

 あの家の連中は、自らの感情を制御できる


 他の人間たちが十年以上かけて学ぶようなことを

 物心ついたときには習得しているようなもんだ


 きちんと理屈を説いて、これをするな、あれをするなと言われたら、ぴたりとしなくなる

 あれをやれ、これをやれ、と教わったら文句も言わずに続ける

 ある程度まで物事を理解したら、自分に必要なことを自分で見定めて、あとは一人で勝手に育っていく……

 そういう人種だぞ


 つまり人間としての基盤が違うんだよ

 感情制御のおそろしい点は、安定性だ

 教育環境さえ整えておけば、まずぶれることがない


 アリア家の人間に、うちがどれだけの煮え湯を飲まされたことか……

 間違いなくトップクラスの適応者だよ

 

 

一六一、連合国在住の現実を生きる小人さん(出張中


 自分自身の内面に働く能力だからな

 他の異能に見られる制限のたぐいが、ほとんど見当たらないのも特徴だ


 まあ、異能に関しては王都のひとか山腹のひとに聞いてくれ

 庭園のひとでも構わんがね


 あのひとの、というか火のひとの家な

 空中回廊……

 あれは、よく出来てる

 もしかしたら異能持ちを特定するための施設なのかもしれん



一六二、王国在住の現実を生きる小人さん


 ……笑ってる画も欲しいな


 子狸さん子狸さん。渾身のネタとか用意してません?

 名推理とかいいから、戻ってきてよ



一六三、管理人だよ


 おれは、子供たちの未来を守りたい



一六四、王国在住の現実を生きる小人さん


 あれ、男前モードだ……

 なんか、ごめん。おれら、調子に乗りすぎてたな……



一六五、管理人だよ


 なんだよ、急に。調子が狂うぜ

 いいんだ。気にするなよ。5ポイントでいい?



一六六、帝国在住の現実を生きる小人さん(出張中


 いや、お前の手持ちのポイントはなくなった



一六七、管理人だよ


 !? そんなはずは……


 ……マフラーか?

 なるほどね。そういうことなら仕方ない

 ふっ、嫉妬もほどほどにな



一六八、連合国在住の現実を生きる小人さん(出張中


 納得してくれたようで何よりである


 じゃあ、おれら戻るわ

 ついでに山腹軍団の勇姿を撮ってくるよう頼まれてるんだ

 連弾とやらにも興味がある


 と言っても、もう使ってくれそうにねーけど……

 どうでもいいけど、レベル4のひとたちが撃たれたらどうなんの?

 レベルアップして王種になるのか?



一六九、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 さあ? 凶暴化して、世界が滅ぶんじゃないかな



一七0、管理人だよ


 おれが撃たれたらどうなるんだ?



一七一、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 言っとくけど、痛いよ。すんごく痛い



一七二、管理人だよ


 痛いのは……嫌だな



一七三、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 おれがついてて、撃たれるわけねーだろ


 レベル4のひとたちが撃たれた場合はだな……

 魔☆力が暴走することにしよう

 んで、魔☆力に絡めとられた下手人は、折り畳み式ヘルの刑に処される



一七四、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 じゃあ、スターズが撃たれた場合はどうなんの?



一七五、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 全人類が折り畳み式ヘルの刑に処される

 ただし、心臓の弱い方やご老人、女子供は除外されます



一七六、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん


 下手人が女子供だったらどうなるんだよ



一七七、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 お前らが折り畳み式ヘルの刑に処される



一七八、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 横暴だ!



一七九、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん


 魔王め!



一八0、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 言わなきゃわからんのか? 撃たせるな

 なにが連弾だ。あんなものは、この世には要らん


 山腹の、お前の功績は大きいぞ……

 10ポイントくれてやる



一八一、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 ! はっ、ありがたき幸せ……



一八二、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 八百長だ!



一八三、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん


 そうだそうだ!

 あんなもん、どこかで試射してたに決まってる!

 出来レースだ! やることが汚いぞ!



一八四、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 さて、無事に酒場へと到着したチーム子狸

 トトくんの話によると、非番の騎士たちがよく利用する店であるらしい


 家に居場所がないのだろう

 チェンジリング☆ハイパーを修めた騎士たちは

 いかなる状況においても特定のイメージを結べるよう訓練を施されている


 だから彼らの細君は、たまの休日に家でごろごろして過ごす宿六を

 愛をこめて、生ゴミと呼ぶのだ


 そんな法の番人たちを気遣ってか、店内は薄暗く

 外からでは客の人相を見分けられないよう配慮されていた


奇跡「……なんだか入りにくいお店ですね」


 ついでに報告しておくと、マヌ嬢の呼称を変更することにした

 昼前ということもあり、他の子供たちを見かけることが多くなったからだ


 人見知りする性質なのか、子狸への態度もぎこちない

 

子狸「おれが行く。お前たちは、外で待ってろ」


 年上の威厳を示そうとする子狸さん


 トトくんは……

 未来の中隊長ということ、そして子狸の意思を継ぐものとして

 ここはおれが代表して、とくべつな称号を贈るとしよう


中トロ「え、いきなり別行動? マヌがさらわれたらどうするんだ?」


 子供の浅知恵だな

 もちろん子狸さんには深い考えがあって言っているのだ


子狸「……なにが言いたい?」


 いささか深すぎたようである


奇跡「…………」


 マヌ嬢が、こころなしトトくん寄りに立ち位置を変えた


 世の中には、年上でも頼りにならない人間がいるのだと

 おれたちの子狸さんは我が身を以って説いたのだ


 それでいいのだと、子狸は微笑んだ……


子狸「ふっ。……行くぞ」


 颯爽と店内に踏み込むポンポコのあとに、子供たちが続く


奇跡「……ねえ、トトくん」


中トロ「だいじょうぶだよ」


奇跡「わたし、まだ何も言ってないけど……」


 トトくんは子狸に傾倒している。この子の将来が心配だ


 店内は閑散としていた

 客は三人で、全員がばらばらの席についている

 騎士らしき人影はない


中トロ「……?」

 

 トトくんが首を傾げた

 この時間帯なら、いつもは誰かしら顔見知りがいるのだろう


 子狸はカウンター席に座った


子狸「ミルクを」


客A「おれもミルクだ!」


客B「マスター! おれにもミルクをくれ!」


客C「マスター。そちらの小さなお嬢さんに……ミルクを」


店主「あいよ、ミルク五つね」


中トロ「え、おれは……」


店主「サービスさ(ウィンク)」


 子狸さんが持ち前の明晰な頭脳で聞き込み調査を行ったところ


子狸「ミルク! ミルク!」


客A&B「ミルク! ミルク!」


奇跡「あの、人を捜してるんです」


客C「ふむ。どんな人かな?」


中トロ「こういう感じです。パル!」


客C「……抽象的だね。元気があってよろしい」


奇跡「あの、わたしは発光魔法が得意なので……ええと、こんな感じかな。パル」


客C「……なるほど。服装は? 通りすがりの人間を記憶するのは難しい。遠目からでもわかる、具体的な特徴が知りたい」


子狸「ミルクぁーっ!」


客A&B「ミルクぁーっ!」


中トロ「うるさいよ、あんたら!」


子狸「あ? ん~……? こら、ここは子供の来るところひゃねーろ……」


中トロ「顔、赤っ! えっ、酔ってるの!? なんで!?」


子狸「アルコールなめんな。きはつ性の……なんだっけ。いや、酔ってねーよ」


奇跡「酔ってるでしょ! あなた年上なんだからしゃんとして下さい!」


子狸「はい。……あ、似顔絵ですか? 絵心ないっすね、お前ら」


 聞き込み調査を行ったところ、客Cが快く対応してくれた


 記憶力が問われる画像処理は、子供には難しい


 トトくんの絵は、元気があってよろしい

 ただし線が荒すぎるし、人捜しには向かないかもしれない


 マヌさんの絵は、丁寧にイメージできているが、少しデフォルメが効きすぎている

 目はそんなに大きくなかったし、いささか瞳が輝きすぎではないか


子狸「見てろ」


 ふらふらと歩み寄った子狸が、前足に力をこめて振り下ろす


子狸「アルダぁッ……」


客C「なぜ闇魔法? しかし……うん。すばらしい。見事な写実性だ」


 ポンポコ画伯の画像処理は、専門家に勝るとも劣らない

 あるいは開放レベル3よりも、よほど戦闘に役立つからだ


 ナイスポーズを決めた精悍な男の静止画像だった

 豪奢な服を着ている


中トロ&奇跡「……だれ?」


 かの有名な、みょっつ一世である



一八五、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 !?



一八五、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 みょっつ一世だと? あの伝説のか……?



一八六、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん


 ……! まさか、あの男……みょっつの血を引いているのか?

 子狸さんは、それに気が付いていた……?



一八七、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 !?



一八八、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 画伯の作品をじっくりと眺めてから、客Cは首を横に振った


客C「……見覚えはないな。あんたらはどうだ?」


 そう言って、客AとBに声をかける


客A「ん~……?」


客B「お~……いやぁ……とくに。騎士ですかぁ?」


奇跡「はい。たぶん」


客A「騎士ぃ? 騎士なら、あ~……なんだっけ。この街で、いちばん大きな館にいると思う……」


客B「ん? ああ……さっきの? なんか、慌てて出て行ったなぁ」


 ……不測の事態が起きるかもしれないというなら

 実働騎士たちを頼るのも悪くないな


 特装は、しょせん個人戦のエキスパートだ

 チェンジリング☆ハイパーの前では無力に等しい


 マヌさんが不安そうに尋ねたのは、トトくんだ


奇跡「どうしよう……?」


中トロ「……行ってみよう。お姉さんが言ってたことと関係があるかもしれない」


 トトくんは、勇者さんのことをお姉さんと呼ぶ


 勇者さんが言うには、マヌさんには利用価値があるらしい

 つまり、奇跡の子を手元に置きたいと考える権力者がいても不思議ではない、ということだ


 マヌさんは頷いた


 子狸さんはおねむになってきたらしい

 前足でまぶたをこすっている


奇跡「寝ないの! しゃんとして!」


子狸「んー……」


 マフラーの端を引っ張られて覚醒した


子狸「! ぬぅ……子供だから許すが……」


 勇者さん以外には、さわられたくないらしい


 一瞬、険しい目をした子狸が、表情をゆるめて二人の頭をなでる


子狸「安心しろ。お前らの未来は、このおれが守る」


中トロ「にーちゃん……」


子狸「ふっ」


 トトくんは感動したようだが…… 


奇跡「じゃあ、ちゃんとして下さいね」


子狸「はい」


 マヌさんは子狸の手腕に疑問があるようです


 が、その認識はすぐに改められることになる……


 マフラーの端を引っ張るマヌさんを、酒場から出るなり子狸が押しのけた


子狸「下がれ!」


 飛来してきた紙片状の光体を、子狸が盾魔法で防ぎきる

 とっさの出来事だ。二人の子供たちは反応できない


子狸「走るぞ……! 先に行けっ。おれがカバーする」


 射角を割り出した子狸が、二人をかばいながら移動する

 通りを走りながら、トトくんが言った


中トロ「おとりかもっ、しれない!」


子狸「敵はひとりだ! 動きでわかる」


 さいきんは勇者さんに頼りがちになっているが

 基本的にシナリオ遂行時のポンポコさんは一対多の状況であることが多い


 そして、そもそも襲撃者が敵ではないケースも経験している

 違和感を覚えた子狸が立ち止まった


子狸「んっ? 止まれ! 妙だ……狙いが逸れてる」


 街中で魔法の応酬などしていれば、必然的に衆目を集めることになる

 何事かと遠巻きに眺める通行人たちに、はっとしたマヌさんがフードをかぶってトトくんの後ろに隠れた


 盾魔法を解除した子狸が、地面に突き刺さった光体を胡散臭そうに見つめる


子狸「さわるな。一度、手元を離れた投射魔法は遠隔操作できる」


 自分自身がよくやる手口なので、警戒を怠ることはない


子狸「……文字? おい、鑑識に回してくれ」


中トロ「いないよ、そんなの」


 鑑識の不在に子狸が毒づいた


子狸「ちっ、必要なときに限っていないな」


 むしろ、必要なときにピンポイントで配置されてるようなら、そいつは限りなく怪しいだろ


子狸「静止画像を撮る。おれから離れるな」


 そう言って、前足を構える子狸さん

 子連れのカルガモみたいに、メッセージカードらしきものの周囲をぐるぐると回る


子狸「……よし、いいだろう。下がれ。消去する」


 油断したときがいちばん危ないのだ

 巫女さんの爆破術を何度も目の当たりにしてきた子狸が

 メッセージカードに圧縮弾をぶつけて相殺する


奇跡「なんて書いてあったの? もしかして……」


 撮影した画像を見つめている子狸に、マヌさんが尋ねた

 きっと彼女は、くだんの騎士に敵であって欲しくないのだ


 しかし現実は……そう甘くない


子狸「ビンゴだ」


 そこには、こう書いてあった


『領主の館にて待つ。子羊たちが訪れる頃』



一八九、海底都市在住のごく平凡な人魚さん


 コマーシャル入りま~す



一九0、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 お前らに朗報だ!


 つの付きシミュレーターに、いよいよ5番機が参戦するぜ!


 鬼のひとたちの監修のもと、最新のモデルを完全に再現した今作は

 新たに瘴気ゲインを実装している


 今度のつの付きは魔☆剣士だ

 専用コントローラー(等身大)を装着し、数々のミッションに挑め


 もちろん従来の1~4号機も自由に選択できる

 愛機とともに戦場を駆け抜けろ


 ※ イド、トワ、アリス、ウノ各機の瘴気ゲインは湿度計です


 ※ 子狸さんは機体を選択できません。あらかじめご了承ください


 

一九一、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん


 いよいよ広告室が動き出したか

 討伐戦争の風物詩だな



一九二、管理人だよ


 おれの2号機が火を吹くぜ



一九三、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 いや、お前の機体選択画面は飾りだからね

 どれを選んでもポンポコスーツになるでしょ?



一九四、管理人だよ


 え? なんで?



一九五、海底都市在住のごく平凡な人魚さん


 技術的な問題です



一九六、管理人だよ


 おう、技術的な問題なら仕方ないな……



一九七、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 むしろ、お前は優遇されてるんだぞ

 専用機まで用意してもらって、なにが不満なんだよ



一九八、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん


 ポンポコスーツの性能は飛び抜けてるよね



一九九、古代遺跡在住のごく平凡な巨人兵さん(出張中


 もともとはデバック用の機体だからな


 子狸はともかく、お前らが使うとバランスが崩壊する



二00、魔都在住の特筆すべき点もないライオンさん(出張中


 子狸さんはよしとしても

 お屋形さまのポンポコスーツ使用は禁止にしてくれないか?

 あのひとに接待プレイされると、心が折れそうになるんだ……



二0一、火山在住のごく平凡な火トカゲさん


 レジェンドの存在は想定してなかったからなぁ……

 かと言って、つの付きの操作は人間には無理だし

 ……要望は受け取っておく


 他に何かある?



二0二、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 湿度計は外しておいてくれ



 注釈


・広告室


 魔物たちのエリートで構成される広報部隊。

 その正体は謎に包まれているが、噂によると深海を拠点にしているらしい。

 活動時期が討伐戦争と重なる傾向が見られ、河に出没しては話の流れをぶったぎる。

 目的は不明。なんらかの暗号であるという説から、たんなる嫌がらせであるという説まで、さまざまな憶測がなされている。


 話は変わるが、ドライ(数字の「6」)とか呼ばれることもある海底洞窟在住の不定形生物さんは「プラントオペレーター」と呼ばれる特殊な任務についている。

 作業内容は、「魔改造の実を世界各地へと転送すること」である。

 そして彼らの仕事は、各国の騎士団が警察機構として機能しなくなったとき、もっとも多忙を極める。

 忙しいとイライラしてくるので、注意が必要だ。

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