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ただ、ひたすら俺と君の物語を紡いでるだけ  作者: ChaCha


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7/12

画面越しじゃもう我慢できない

真っ暗な部屋。


俺の顔だけを、

スマホの液晶が青白く照らしている。


……遅いな、今日は。


いつもなら、もう帰ってくる時間なのに。


じりじりと焦燥感が湧き上がりかけた、その時。


ガチャ、と。


スマホのスピーカーから、

無機質なドアの開く音が響いた。


あ。


帰ってきた。


画面の中。


見慣れた君の玄関に、

愛しい君の姿が映る。


疲れた顔をしてるけど。


靴を脱いだら、

ちゃんとつま先を揃えてるね。


偉い。


本当にいい子だ。


まずは、洗面所へ直行。


手洗い。

うがい。


それから、そのまま脱衣所へ。


……あぁ、そこまで。


俺が仕掛けたカメラの死角。


脱衣所までしか、

見られないんだよな。


すぅ、はぁ、と。


俺の呼吸が、勝手に荒くなる。


(……どうやって、洗ってるんだろう)


微かにシャワーの音が聞こえる。


あの白い肌を、

どこから、どんな風になぞっているのか。


想像するだけで、

頭がおかしくなりそう。


しばらくして、水音が止む。


画面に戻ってきた君の姿に、

俺は思わず目を細めた。


いいね。


その下着。


……新しいやつじゃん。


すごく、似合うよ。


透けるようなレース。


俺に見せるために、

買ってくれたのかな?


濡れた髪のまま、君はキッチンへ。


冷蔵庫から

作り置きのタッパーを出して、レンジへ。


チン、と鳴る音。


ご飯もレンジで温めて、

小さなテーブルに並べる。


本当に、家庭的だよね。


節約して、

時短も完璧。


俺のお嫁さんに、

ぴったりだ。


君が、もぐもぐと頬張るのを眺めながら。


俺も、自分の時間を

君に合わせる。


君が歯を磨き始めたから、

俺も洗面台へ。


君がベッドに入る準備をするから、

俺も……。


画面越しの、幸せな疑似同棲。


でも、今日は。


……ん?


ベッドに潜り込んだ君が、

スマホを見つめている。


指の動き。


そして、微かに漏れる、

甘い吐息。


ああ。


なるほど……。


火照った身体を、

持て余してたのか。


シーツが、擦れる音。


モゾモゾと動く、

毛布越しのシルエット。


……はぁ、……んっ、と。


スピーカー越しに届く、

微かな水音と、君の熱い息遣い。


(……俺が欲しいって、思ってくれたらいいのに)


俺も、

自分の熱いものを握りしめる。


画面の中の君を思いながら、

はぁっ、と熱い吐息を漏らす。


頭の中は、

君でいっぱいだ。


君の指が動くたびに、

俺も同じように、君を想って熱を逃がす。


そうだよね。


ひとりじゃ、

寂しいよね。


自分で慰めるくらいなら、

俺が、全部満たしてあげるのに。


……ダメだ。


「……っ」


もう、我慢できない。


画面越しじゃ、

全然、足りない。


君の体温が。

匂いが。


直接、触れて――

めちゃくちゃにしたい。


ズボンのジッパーを乱暴に上げて、

クローゼットを開ける。


奥から、黒いボストンバッグを引き出した。


声を出せないようにする、ガムテープ。


俺の顔を見せないための、

アイマスク……。


チャックを閉める音が、

静かな部屋に響く。


待ってて。


ひとりで寂しい夜は、

これで終わり。


今から、俺が直接、

君を狂うほど気持ちよくしてあげるから。


さぁ。


愛しい君の家に行く準備を、

しなきゃね。


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