真夜中の鬼ごっこ
真夜中。
冷たい風が、肺を焼く。
荒い息を吐きながら、暗い夜道をひたすらに走っている。
愛しい、君を、追いかけて。
どこへ逃げた?
どこに隠れているんだ?
早く、帰ってこい。
俺の傍へ。俺の腕の中へ。
あんなに、甘く笑っていたのに。
俺の胸にすり寄って、
「愛してる」って、そう言ったのに。
あれは、全部。
俺を油断させるための、嘘だったのか?
俺の腕から抜け出すための、演技だったのか?
なぜ、逃げた。
なぜ、逃げた。
なぜ、逃げた。
ギリッ、と奥歯が鳴る。
暗闇の底で、怒りと、どうしようもない渇望が渦を巻く。
俺から、逃げられるとでも思ったのか。
狂おしいほど、愛してる。
あんなに、信じていたんだ。
君の心も身体も、全部俺のものだって。
狂おしいほど、愛してる。
だから。
絶対に、逃がさない。
死んでも、離さない。
ポケットから、スマートフォンを取り出す。
青白い画面の光が、汗ばんだ俺の顔を照らした。
画面の中央。
赤い点が、チカチカと点滅している。
君の、居場所。
君の持ち物の奥底、君自身も気づいていない場所に忍ばせた
GPSが、正確に君の行き先を示している。
あぁ、そこか。
逃げても無駄なのに。
馬鹿だな、君は。
それとも、わざと俺を煽っているの?
真夜中の、鬼ごっこがしたかったの?
俺から逃げた、哀れで可愛い君。
なぜ、逃げた。
なぜ、逃げた。
なぜ、逃げた。
俺から、逃げ切れるとでも、思ったのか。
狂おしいほど、愛してる。
信じていたんだ、君を。
誰よりも、何よりも。
狂おしいほど、愛してる。
逃がさない。
離さない。
赤い点と、俺の現在地が、完全に重なる。
路地裏の、暗がり。
行き止まりの壁に背を向けて、蹲る小さな影。
すぅ、はぁ、と、ひどく怯えた荒い呼吸音が聞こえる。
ゆっくりと。
足音を消して、その影に近づく。
「――みつけた」
「……っ、ひ……!」
声のした方へ振り向いた君の顔は、涙と恐怖でぐしゃぐしゃになっていた。
ガタガタと震える唇。
俺を見て、絶望に見開かれた瞳。
あぁ、可哀想に。
「そんな顔を、しないで?」
逃げ惑う小動物のようなその頬を、冷え切った指先でそっと撫でる。
ビクッ、と君の細い肩が大きく跳ねた。
そのまま、逃げ場のない壁へと君を押し付ける。
俺の体温と、君の震えが、直接重なり合う。
「さぁ、鬼ごっこは終わりだ」
君の耳元に唇を寄せて。
とびきり甘く、優しく、囁いてあげる。
「愛してるよ」
そして、君の抗議の悲鳴ごと、
その震える唇を深く、深く塞いだ。
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