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【狂愛】ただ、ひたすら俺と君の物語を紡いでるだけ…  作者: ChaCha


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13/13

同級生の君と。

俺はクズ男だ。


それは自覚しているし、隠すつもりもない。


抱かせてくれない女に、割く時間はない。


顔はそれなりに整っている自負があるし、身体も鍛えている。


少し甘い顔をして隙を見せれば、女なんてジャンル問わずに向こうから寄ってくる。


適当に遊んで、味がしなくなったら、わざとわかりやすい場所に女の影を残す。


香水、長い髪の毛、スマホの通知。


クズ男のムーブをかませば、女たちは勝手に絶望して、俺を振ってくれる。


泣かれたり、縋られたりする後腐れがないから、これが一番楽なんだよ。


だから、次に目星をつけた女への常套句は決まっている。


「……また俺、振られちゃった。ねぇ、慰めてくれる?」


少し伏し目がちに、自嘲するように笑う。


これだけで、女の母性本能は簡単にバグる。


今夜も、そうするつもりだった。


ツレに誘われた、ただの数合わせの合コン。


アルコールの匂いと、安っぽい香水。


調子に乗って騒ぐツレと、それに愛想笑いを浮かべる女の子たち。


……おっ。


一人、妙に目を引く可愛い子がいる。


いつも通り。


計算し尽くした角度で隣に座り、可哀想な俺を演じて警戒心を解く。


グラスを合わせ、視線を絡め――


……あれ?


この子、どこかで。


名前も、声のトーンも、どこか記憶の底を掠める。


不思議そうに俺を見つめ返した君の、その綺麗な唇が動いた。


「……もしかして、〇〇くんだよね?」


あー!!


「同級生じゃん!! え、嘘、地味子!?」


思わず、素の声が出た。


分厚い眼鏡をかけて、いつも教室の隅で本を読んでいた、あの地味な同級生。


「ふふっ、ひどいな。……でも、あかぬけてたから、わからなかったでしょ?」


悪戯っぽく、けれど柔らかく笑う君。


その瞬間だった。


――ドクンッ。


胸の奥に、グッと。


今まで感じたことのない、鋭くて熱い杭のようなものが、深く刺さった。


それから、俺たちはごく自然に連絡先を交換した。


昔話に花を咲かせ、毎日のようにやり取りが続く。


計算通りのペースだ。


そろそろ、二人きりで会って、ヤリたい。


俺のベッドで、あのあかぬけた身体がどう泣くのか、見てみたい。


そう思いながら、俺は暇つぶしで呼んだ『違う女』をベッドに組み敷いていた。


退屈なピロートーク。女の嬌声。


……ブーッ。


サイドテーブルに投げ出していたスマホが、短く震える。


画面に光る、君の名前。


俺は、女の身体から無造作に離れ、スマホを手に取った。


『きいて~! 彼が、プロポーズしてくれたの!』


……は?


画面の文字が、脳で処理できない。


プロポーズ? 彼?


俺という人間が、今、君の一番近くにいるはずなのに?


すぅっ、と。


血の気が引く音がした。


ベッドで俺を呼ぶ女の声が、ひどく耳障りなノイズに変わる。


「……帰れ」


「え……?」


「今すぐ服着て、帰れって言ってんだよ!!」


震え上がる女を追い出し、一人になった部屋で、俺はスマホを握り潰さんばかりに見つめた。


……ダメだろ。


そんなの、絶対にダメだ。


俺の獲物を、横から掠め取られたような、腹の底から湧き上がる黒い殺意。


誰かのものになる? この俺を差し置いて?


なら、その前に、俺がぐちゃぐちゃに汚してやらなきゃいけない。


それから、俺は必死にアピールした。


今まで培ってきた「女を落とす技術」のすべてを懸けて、君を誘い、甘い言葉を囁き、俺の価値を叩き込もうとした。


でも、なぜか今回は、何一つ上手くいかない。


俺がどれだけ熱を込めても、君は「昔なじみの気の置けない友人」という壁を絶対に崩さない。


困ったように笑って、ひらりとすり抜けていく。


そして、とどめの一撃。


『彼に着いていくから、来月、引っ越すの』


――ブチッ。


俺の中で、最後に残っていた「理性」という細い糸が、あっけなく千切れた。


引っ越す?


俺の手が届かない場所へ行く?


……ふざけるな。


そんなこと、俺が許すわけないだろう。


「最後に、サシ飲みしようよ。お祝い、させて」


俺の誘いに、君は少しだけ躊躇って、それでも「友人として」疑わずにやってきた。


薄暗い、隠れ家のようなバー。


「さぁ、これ。お店のおすすめだって」


君の前に、琥珀色の液体を差し出す。


果実の香りがする、甘くて、とても呑みやすいカクテル。


そう。


アルコール度数が、君の致死量を超えていることだけは、あえて言わない。


「……んっ、美味しい」


警戒心なくグラスを傾ける君の喉元を、俺は瞬きもせずに見つめていた。


一杯、また一杯。


君の白い頬が、ゆっくりと熱を帯びていく。


「……あー、なんか……」


君の焦点が、とろりと崩れる。


「……わぁ~、世界が、まわる~……」


力が抜け、テーブルに伏せそうになる君の肩を、俺はしっかりと、逃がさないように抱き寄せた。


「大丈夫だよ」


耳元で、甘く、深く囁く。


「君のことは、全部……俺に任せて」


そう。


荷造りも、新しい家も、プロポーズの返事も。


もう全部、君の代わりに俺が「終わらせて」あげるから。


……さぁ、すべて俺に任せて。


目を覚ましたら、君の「彼」が絶対に手の届かない場所で、


俺がたっぷり愛してあげる。



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