#1 じゃあなを私は許さない
「じゃあな、リン」
数日前学校で言われたことだ
親友のアキラが失踪した
突然別れを告げられた真っ赤な空と教室が忘れられない
必ずアキラを見つけてみせる
東京都心部から離れたところにある学校。
人々のスマホにはNRと呼ばれるAIが入っていて便利なNRを通して依頼を受けることを皆、仕事としている世界
平和で争いや諍い、事件が限りなく少なくなった現代日本でこんな失踪事件が目の前で起きるなんて思っていなかった
アキラを探しに行こう。
決断したのはいいが⋯特に進展はなく数日が過ぎてしまった。
「ねぇ、NR。アキラの居場所知らない?」
「橋本アキラ様の所在地は現在確認できません。また後日お問い合わせください。」
「チッ!使えねーなー!」
ガコンッ!と指でスマホを叩き、機械音が流れて困っていると、
「よう、お嬢ちゃんお困りかな?」
スマホからNR以外の音が聞こえる
不思議がっていると猫耳の姿のNR以外のアバターがスマホに出てきたではないか。
「俺は名前はニャン。」
「アキラってやつ探してるんだろ?俺が手伝ってやろうか?」
「ただし、タダってわけにはいかねぇなぁ?」
急な出来事にびっくりしてスマホを落とす。
ガシャン!!!!
「うわぁ!おい!!!ちょっとは気をつけないか!!」
怒声が聞こえる
「で?どうすんだ?別に俺はどっちでもいいが?」
「⋯⋯ねぇ、スマホから聞こえるけどNR⋯?じゃないよね?フレンドでもないし、見た目と喋り方違いすぎない?」
「るっせぇ!いいからどうすんだよ!俺なら手伝ってやれるぜ?例えばそうさな⋯」
過去のアキラのGPSの動きが表示される
「これとかどうだ?これなら信用に値するだろ?」
「⋯⋯⋯」
途中で切れてる⋯やっぱりなんかあったんだ⋯。
背に腹は代えられない。NRですらつかめなかった情報を掴めるかもしれない。そう見せられてしまっては。
「分かった。で、タダじゃないらしいけど何を求めるの?」
「そりゃぁ⋯」
「キンキンのビールとつまみだろ!」
私学生なんだけど!?未成年飲酒だけど!?
そもそもこいつただのアバターなのに飲めるのか!?
まぁ⋯⋯、利用できるなら何でもいいか。
「⋯お父さんのでよければ」
「じゃあ決まりだな。よろしく」
手を差し伸べられた。
手を合わせるように受け入れた。