1.続く暮らし
かぐわしい春の花々は、後になって萌え出した新緑に取って代わられ、吹く風によってさわさわとささやく様な音を立てる。
太陽は次第に高く強くなり、夜は短くなり、その分だけ昼が長くなる。
体を動かせば当然汗ばむけれど、日が落ちればまだ油断はできない。昼間は柔らかく肌を撫でるだけだった涼風も、宵闇に乗じて来る頃には身震いさせる程度には冷たいのだ。
しかしそれも日が落ちればの話である。太陽が空で輝いていれば、暑い。暑いのだが、木漏れ日だけは不思議と涼し気な心持にさせてくれる。
昨日の夕方あたりから降り出した雨が夜遅くには止み、地面がどこもしっとりと濡れている。
朝食の片付けと洗濯を終えたトーリは、籠を持って近場の森に出向いていた。ユーフェミアの屋敷は周辺に人気がない。アズラクからどれくらい離れているのか、トーリは未だに知らないが、町から距離がある分自然が豊かで、野草は勿論、茸なども豊富に採れる。
茸は種類によって採れる時期が違う。トーリは緑の濃くなった森の中で目を皿の様にして歩いていた。
「……お、あった」
草の間から、網の様な形状の頭が覗いていた。アミガサタケである。見た目は不気味だが実にうまい茸で、炒めてもいいし米と一緒に炊いてもよい。
他にも様々な茸を集めて籠に放り込む。茸は干しておけば保存もきく。熱を入れてオイル漬けにしてもよい。前者はスープや煮込みにいい出汁となり、後者は料理の彩りや添え物に使える。
茸を見つける目になると、不思議な事にどんどん後を引く様に見つかる。籠をいっぱいにしたトーリはほくほく顔で家路に就いた。
庭先にぶら下げた洗濯物は、午前中の日の光で既に半乾き状態だ。夏が近づくと洗濯物も乾きが早い。朝の間は濡れていた庭先の地面ももう乾いて歩きやすくなっている。
昨晩からの雨で植物も勢いづいたらしく、森から原野、庭先までもうすっかり青々と生い茂った草で覆われている。水分と陽光があれば、植物はどこまで大きくなるかの様に思われた。
季節が移り変わって、畑の様相も変わった。
芋や玉葱は既に掘り上げられて、後には豆がまかれている。
野草や茸も採れるから、食卓は随分彩り豊かになって来た。
アズラクに行けば食材は豊富に手に入るものの、やはり自ら育てたり採取したりした食材は、何となく味わいが変わる様に思われる。それに新鮮さは自家製には及ばないだろう。
現在工事中の納屋の方からは槌の音がしている。セニノマが作業をしているのだろう。
トーリは庭先の井戸で水をくみ上げて、たらいに採って来た茸をあけて水を注いだ。茸はひだの所に汚れや虫が入り込んでいたりするから、水に浸けるのが一番手っ取り早い。
今日の食事で使うものと、加工して保存しておくものとを選り分けていると、家の中からユーフェミアが出て来た。寝間着の薄いネグリジェのままで、何となく寝ぼけた様な顔をしている。朝食を終えてから又寝をしていたらしい。
ユーフェミアはぽてぽて歩いて来ると、屈んで茸を洗っているトーリの背中にぽふんと抱き付いた。
「茸だ。採って来たの?」
「そうだよ。のしかかるなよ、重いだろ」
「重くないもん」
ユーフェミアはトーリの首に腕を回してむぎゅむぎゅと髪の毛に顔を埋めた。
「くすぐったいよ」
「いいの」
寝起きなのか受け答えがふにゃふにゃしている。トーリは諦めて、洗った茸を笊に放り込んだ。
ユーフェミアがふあと欠伸をして、もそもそと身じろぎした。
「お外、暑いね」
「もう春も終わりだもんなあ……というか暑いのはお前が引っ付くからだろうよ」
「これはいいの」
「ったく……」
やりづらいなりに茸を洗い終えて、トーリは立ち上がった。背中に引っ付いているユーフェミアが猫の様に伸びた。
「うにゃ」
「ほら、もう放せって。茸干して、昼飯の支度するから」
「ん」
満足いくまで抱き付いたのか、素直に離れた。
「午後は町に行くの?」
「おう。飯もそっちで食う予定だよ」
「わたしも行く」
「ああ、そう? じゃあお前も昼要らないか?」
「ううん、わたしはトーリのご飯がいい」
「そうか……」
トーリは平笊の上に茸を広げて、料理に使う分の茸を持って家に入った。
家の中では使い魔どもがだらけていた。シシリアは食卓で本を読んでおり、シノヅキとスバルは変な恰好でソファに寝転がっている。
「だらけ過ぎだぞ。外に出ろ、外に」
「なんじゃい、どこにいようがわしらの勝手じゃろ」
「そーだそーだ」
「あら、トーリちゃん、茸採って来たのぉ?」
「まあね。外で干してるのと、こっちはオイル漬けにして、これは今日の昼飯用」
「おう、昼飯か。何にするんじゃ?」
「リゾット食べたい」
トーリの後ろからついて来ていたユーフェミアが言った。
「ユーフェそれ好きだよねー。ボク、お米もいいけど麺が食べたいなー」
スバルは意外に麺類が好きらしい。どうやら本来のフェニックス姿のくちばしでは麺がすすれないから、人間姿で麺をすするのが楽しい様である。
「わしゃ肉がありゃええわ」
「お姉さんはリゾットでもパスタでも、どっちでもいいわよぉ」
「まあ、茸でソース作って……パスタとリゾットと両方作りゃいいわな」
となるとやっぱりクリーム系かなとぶつぶつ言いながらトーリは台所に入った。
○
昼下がりのアズラクの町はユーフェミアの屋敷周辺よりも気温が高い様に思われた。単純に人が多いせいでそういう気がするのもあるが、石造りの建物が多く、それが強い日差しを照り返す上に蓄熱するので、実際幾分か暑いのである。
そんな中を、トーリはユーフェミアと二人で歩いていた。トーリがいつもの一張羅なのに対し、ユーフェミアは余所行きの可愛らしい服を着て鍔広の帽子をかぶり、日傘なんか差している。見た目はまったく貴族の御令嬢といった風だ。荷物を担いだトーリはさしずめ付き添いの使用人といったところだろうか。
しかし見る者が首を傾げるのは、御令嬢が使用人の手を、恋人さながらにしっかと握っている事である。
「どこまで行くの?」
とユーフェミアが言った。
「あっちに行ってみたいレストランがあるんだよ」
「お勉強?」
「そう。まあ、食って、作り方を考察するだけだけど……」
ここ最近、トーリは外食に出る事が増えた。食事作りが面倒になったというよりも、料理の勉強の為である。
三度三度の飯づくりは楽しいけれど、次第にレパートリーが限界を迎えている。世間一般の人よりも料理上手であるトーリだが、あくまで元は冒険者であり料理人ではない。別に誰から言われたわけでもないけれど、味付けや料理法が単調になっている様に、トーリ自身は感じていた。
今日も昼食をしたためたものの、自分は味見程度にとどめて、片づけを済ましてから町に出て来たのである。
「でもトーリのごはん、今のままでも好きだよ。おいしいよ。さっきのリゾットもおいしかった」
とユーフェミアが言った。トーリは肩をすくめる。
「そりゃいいんだけど、俺が自分で納得いかねえんだよ」
家事というのは基本的に繰り返しである。その繰り返しの中に変化と発見、探求の要素を見出せば面白くなる。料理は特にそういった要素を見出しやすい。つまり、食べる者の為というのは建前で、トーリは自分の楽しみの為もあって、料理を研究したいわけだ。
やがて目当ての店が見つかったので、中に入った。
まだ昼食時を少し過ぎたくらいで、中はそれなりに賑わっていた。昼食を済まして、お茶で雑談に興じている者も多い。
二人掛けの席に座ってメニューを見た。
「えーと、シチューと、あとこの包み焼。それから……」
「わたしはこのケーキ。あとお茶」
外に出る時、多くの場合トーリは昼食を食べないか、少な目で済まして来る。使い魔たちにはたっぷりと昼食を作ってやり、それで出かけて来るわけだ。そうしてレストランの味を覚えるのである。
ユーフェミアはトーリの料理が好きだから、わざわざ外で食べたいとは思っていない様で、昼食は家で食べ、ここではお菓子で済ますらしい。
「マウカイラ料理か……ちゃんと意識して食べた事ないなあ」
「ガスパチョに教わったの?」
「ガスパールな。この前はマリウスに教わったポート・オトバル料理を食べたし……でもここらじゃ海の魚は乾物か塩漬けばっかりだから、新鮮な海の幸が欲しくなるよなあ」
とトーリがカトラリーを指先で弄っていると、入口の方が賑やかになって、十人ばかりの集団がどやどやと入って来た。冒険者のクランらしい。
「おや! 団長、トーリ君がいますよ!」
とやかましい声がした。見ると『破邪の光竜団』一党がいた。クリストフがおり、先頭には小さなロビンが立っている。オフ日らしく、冒険装束ではなく私服に身を包んでいた。
「ありゃ、どうも、お二人さん。お久しぶりっす」
「ロビンじゃねえか。昼飯か?」
「そうなんす。この前ガスパチョさんたちも一緒に料理談義で盛り上がったでしょ? マウカイラ料理が気になったもんで」
「俺もだよ。しかしクラン皆で来たんだな」
「どういう風の吹き回しか、このドケチ団長がご馳走するなんて言うからね! 明日は槍でも降るんじゃないかと思うよ、まったく!」
「やかましい」
とロビンは面倒くさそうに手をひらひらさせた。
トーリは感心して言った。
「へえ、酒の一杯も奢った事ないって聞いてたけど……」
「ま、人間いつ死ぬかわかんねーっすからね。この前の出来事でほとほと身に染みたっす。たまには部下を労ってやるのも悪くないと思ったっすよ」
「そういう事ね。いいじゃんか、俺はそういうの好きだぜ」
ロビンはちょっと照れた様に頬を掻いてユーフェミアの方を見た。
「ユーフェミアさん、お婆様はお元気っすか?」
「うん」
「よろしくお伝えくださいっす」
「うん」
「団長、デートの邪魔をしちゃ悪いですよ。それくらい気を利かせなさい、この間抜け!」
「黙れ。でもまあ、そうっすね。お二人とも、ごゆっくり」
「いや別にデートじゃ……」
「さあ、団長の財布を空にするぞ!」
とクリストフが拳を突き上げ、団員たちが歓声を上げた。
「おーっ!」
「飲むぞー!」
「ヒャッハー!」
それで『破邪の光竜団』の面々は大盛り上がりで向こうの席に行ってしまった。トーリは頭を掻いた。ユーフェミアは何となく嬉しそうである。
魔界から大型のコンゴウヨコバサミがやって来た事による、クラン同士の競争討伐戦から少し経っていた。
ユーフェミアの代理で、行方不明になった白金級クランの捜索に出たトーリは、危うく飢え死にしそうだった白金級クランを結果的に救う事になり、以来、なぜだかクランの団長たちから妙に懐かれてしまった。魔法薬の納品でギルドに顔を出す時などに何度も出くわし、その度に軽く雑談したり、時にはお茶を飲んだりして、各地の料理の事などを教えてもらっている。
共に死にかけたせいか、競争に参加した白金級クランも互いに仲良くなってしまい、現在アズラクの頂上決戦は鳴りを潜めている。団長や団員同士でオフの日に遊んでいるのをよく見かける様になった。
加えてユーフェミアの企てが功を奏し、“白の魔女”ガートルードと、トーリの恋人である孫娘ユーフェミアは、完全に別人として認識されている。
だからユーフェミアも堂々とトーリと一緒にアズラクをうろつくし、周囲の連中はそれを自然な事として受け入れていた。
トーリとしては、次第に見えない包囲網が狭まって来る様で何となく片付かない気分である。
ユーフェミアの事が嫌いというわけではない、というよりむしろ好きなのに間違いはないのだが、自分自身の準備が整っていないのを急かされている様な気もして、それが落ち着かない。尤も、準備というのがいつ整うのかはトーリ自身にもさっぱりわからないのだが。
やがて料理が来た。
シチューには山羊の肉が使われていた。
山羊肉の臭み消しの為か香草の、特にオレガノとローズマリーが強くかおった。普通のものと品種が違うのか、香りも野性味が溢れている。
山岳地帯の乾燥気味でごつごつした地質にはこれらの香草がよく繁茂するのだと、ガスパールが力説していたのを思い出す。
包み焼はパイ生地で肉を包んだものだった。
パイ生地ではあるが、パイ皿に入っているわけではない。中身は鳥肉で、どうやら山キジらしい。
マウカイラ周辺の山には沢山のキジがいるそうである。肉質はやや硬めではあったが、パイ生地がしっかりと肉汁を逃がさずに蒸し焼きにしている為、むしろ噛むほどに旨味が増す様で、大変うまい。パイ生地も外側はさくさくしているのに、内側は肉汁を吸って旨味が濃かった。
「包んであるのに皮がパリッとして焦げ目があるのは……? そうか、一度肉は別で焼いてある程度熱を通して、それから包んで低温で蒸し焼き状態にするのか? むう、焼き過ぎにならない様に加減するのが難しそうだなあ……この辛みは胡椒かな? 潰す前に炒ってある様な香ばしさが……」
トーリはぶつぶつ言いながら、手帳にあれこれとメモを取っていた。その様子をユーフェミアが面白そうな顔をして見ている。
「ひと口ちょうだい」
「ん? ああ……ほれ」
トーリは一瞬ためらったが、肉をひと切れフォークに刺して差し出した。ユーフェミアはちょっと身を乗り出してそれをぱくりと頬張る。
「おいしい」
「だろ」
「もうひと口」
「……ほらよ」
トーリはまたユーフェミアに食べさせてやった。ユーフェミアは満足そうに口をもぐもぐさせている。こういう時に素知らぬ顔をして皿だけ押しやってもユーフェミアは承知しない、とこれまでの経験からトーリはすっかり悟っていた。
一応公衆の面前なのだが、こういう事をやってのけられる様になった辺り、自分もだいぶ慣れて来たなとトーリは思った。
包囲網が狭まるにつれ、彼自身も体勢を整えねばならぬ様だ。トーリ自身が思い立ってやったのか、周囲の状況を感じて無意識にそうなって来たのか、それは定かではないが。
食事を終えて店を出る頃には、もう日が傾いていた。『破邪の光竜団』の連中はロビンの財布を当てにして大いに飲んでいるらしく、すっかり酒宴の様な雰囲気になっていて、まだ腰を上げそうもなかった。トーリたちも誘われたが、夕飯の支度もあるからと辞退して帰路に就く。
家に帰ると、丁度セニノマが歩いて来る真ん前に転移したらしく、驚いたセニノマが「ひょわあっ!」と声を上げて跳ね上がった。その拍子に抱えていた道具箱の中身が盛大にぶちまけられ、金槌がセニノマの足をしたたかに打った。
「あぎゃーっ!」
「ちょ、大丈夫?」
「へっ、平気だぁ……おおお、お帰りなさいだよ。おらの方も今しがた終わりにしたところだあ」
とセニノマは大具道具を拾い集めながら、取り繕う様に笑った。
トーリはやれやれと肩をすくめて、今日も工事をしていたのであろう納屋の方に目をやった。
「また結構進んだなあ。もうほとんど完成じゃないの?」
と言いながらトーリは納屋に近づいてまじまじと眺めた。
材料などが積んだままになっているのは工事現場という感じがするけれど、納屋自体は既に形ができあがり、もう使えそうだというくらい仕上がっている様に見える。
だがセニノマは首を横に振った。
「外装は済んだけんど、内装が終わってねえだよ。こういう大きな工事は一人だと進みが遅くて申し訳ねえだよ」
「いやいや、そんな事ねえよ。大体シノさんとかスバルが手伝えばさ」
「まあ、屋根上げとかは手伝ってもらっただが、あいつらに細かい作業はさせらんねえだよ。下手すると壊しちゃうべさ」
それは確かにそうだろう、とトーリは頷いた。人間の姿で過ごす時間が増えている筈なのに、あの二匹は未だに不器用である。
ユーフェミアが納屋の中を覗き込んで、きょろきょろと見回している。
「もうちょっとだね」
「んだ。あと四日もありゃ片付けまで終わるだが……終わっちまったら地上に来る用事もなくなっちまうで、寂しいだよ」
「用事もねえのに居座ってる奴らばっかだけどな、うちは」
とトーリが言うとセニノマはにへっと笑った。
「おらは仕事が好きだでよ。なんもせんでいる方が落ち着かねえだ」
「はは、うちの怠け者どもに聞かせてやりてえな」
『誰が怠けもんじゃい』
不意に後ろから声がして、大きな獣の前足がトーリの頭にぽふんと置かれた。ざらざらした肉球に髪の毛が引っかかった。
「うわっ、シノさんか!?」
『トーリ、おぬし言いたい放題言いよって。わしを怒らせるとどうなるか教えてやるぞ』
と言うが早いか、シノヅキはトーリの首根っこを咥えてぽんと空中に放り上げた。視界が回転した。
「うおおっ! やめろやめろ!」
『フェンリル族を馬鹿にするとこうなるのじゃ。ほれほれ』
鼻先で受け止められ、再び放り上げられる。そんな事を何回もされた結果、トーリは三半規管に甚大なる被害を被って、立って歩くのがやっとという有様であった。
「うげぇ……く、食ったもんが出て来そうだ」
「これに懲りたら今後は口を慎む事じゃな、わははは」
人間姿になったシノヅキが呵々と笑った。トーリは渋面でシノヅキを睨む。
「覚えてろよシノさん、コノヤロー……」
「ぬははは、仕返しでもするつもりか? トーリの分際で生意気なのじゃ」
「そうだぞー! ボクたちだって今日はちゃんと仕事して来たんだからなー!」
どこにいたのか、スバルが急に現れてトーリの背中に飛びついた。
「うわっ、今はやめろ! 倒れる倒れる!」
「人を怠け者呼ばわりした罰だー! うりゃうりゃ、参ったか!」
「参った! 参ったからやめろ!」
トーリは這う這うの体で逃げ出して、家の中に駆け込んだ。家の中にはシシリアがいて、ソファに座って本を広げていた。
「あら、トーリちゃん。どうしたのぉ?」
「何でもない……飯の支度せにゃ……」
ふらふらしているトーリを、後ろからやって来たユーフェミアが抱きしめる様に支えた。
「大丈夫?」
「ああ、まあ……シノさんたちもどっか行ってたのか?」
「薬の材料探しに行ってもらってたよ」
「そうか……」
この前の魔界産コンゴウヨコバサミの騒動で魔界に赴いて以来、使い魔たちは再び地上に入り浸っていて、しかも魔界から呼び出しを受けない様に通信すら遮断しているという。そこまでするからには単に怠けて遊んでいるばかりではなく、それなりに素材集めなどの仕事をしている様だ。
午前中のだらけ具合からして一日中そうだと思っていたが、トーリが出かけるのと同時に素材集めに行っていたらしい。
自分も少し軽口が過ぎたかな、とトーリは頭を掻いた。
しかしやられっぱなしは癪に障るので、シノヅキとスバルの夕飯には辛い物を多めに入れてやろう、と思った。