大胆に重ねる逢瀬①
「いい? ご主人さま。⋯⋯貴女なら大丈夫だと思うけど、男性に簡単に身体を許してはダメだよ!!」
「っ!? そっ⋯⋯そんなこと絶対にしないわ!!」
「それなら良かった。男って生き物はね、手に入らないものほど欲しくなってしまうんだ。⋯⋯だから、限界まで焦らして焦らして⋯⋯それから⋯⋯⋯⋯」
「もうっ⋯⋯! いくら2人を誘惑すると言ってもそんなことまではしないわ⋯⋯!」
改めてセオとノアの攻略法をアドバイスすると得意げに説明を始めたアスモデウスの言葉に、マリアンヌは顔を真っ赤にして答えた。
「え~! しないのっ!? せっかく僕が手取り足取り⋯⋯それはもうっ、みっちりと教えてあげようと思ってたのになぁ~⋯⋯」
態とらしく眉を落とし心底残念そうな顔をするアスモデウスの頭に、深くため息を吐いたサタンが手加減無しに打撃を与える。
「っ!? ⋯⋯い、いったーい!! 何するの、サタンさまっ」
「⋯⋯誰もがお前のような色狂いだと思うなよ」
「色欲を司る悪魔なんだから仕方ないでしょっ! サタンさまだっていっつも怒ってるじゃん! 悪魔の本能は簡単には抑えられないモノなんだよっ」
「それとこれとは別だ」
「サタン様とアスモデウスったら、またケンカして⋯⋯! アスモデウス、そろそろ行かないと遅れてしまうわ」
マリアンヌは、相変わらず反りが合わない2人を諦めの眼差しで見ながらもアスモデウスに声をかけた。
街での一件以降、マリアンヌとノアは度々お忍びで遊ぶ仲になっていた。
そして時々だが、なんとなく良い雰囲気にもなり、計画は順調に進んでいると言っても過言では無いだろう。
本日もセオと書庫で会った後、ノアと街へ繰り出す予定だ。
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