こころの色
こころの色を見つめれば 嘘と見栄とで塗りかため
朽ちた土蔵の漆喰の ように、汚れていることの
哀しくなって、このいのち いかほどもなく思われて
いっそ、儚いしゃぼん玉 弾けるように消えようか
早春の空、呟けば 春告鳥の「ほー」と鳴く
こころのうちを覗きみて
あまりの縺れ、絡まりに 解く糸口もみつからず
想いにこころ探すよう 紡ぐ言葉は屑ばかり
調にならず、散り惑う
いっそ、集めて、火にくべて
冷えたこころを暖めて みようとしても、哀しみの
湿りを帯びて、燃えもせず
こころのかたち探しても
形をなさず、ゆらゆらと 揺蕩う様は陽炎に
似て、触れさえもできぬまま
悔いの欠片をひとつずつ 溶かして、いまをみつめても
いっそ、濁ってゆくだけの 甲斐なきことの繰り返し
寒さが、萌える若草に 追われることに似て、哀し
春告鳥は、一種類ではありませんが、ここでは「鶯」です。最近、庭に来て鳴くことが増えてきましたが、歌が下手な鶯も少なくありません。なんとなく、上手く伝えられない自分に似ているような気がして「ほー」だけで終わる下手な鶯を描いてみました。
こころの色としましたが、色なんて実際には曖昧です。汚れた漆喰くらいがちょうどよい気がしました。