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夢の転生


「あなたには幻術士となっていただきます。いやそれしかありません。」

「え?マジですか?」


俺は妄想が大好きだ。いきなりこんなことを言われても困るだろう。だが聞いてくれ。

異世界転生系の小説が大好きで転生したら魔法をバンバン打ちまくるとか。剣術が最強クラスで誰も相手にならないとか。チート級の魔法で魔物とかを一掃したりとか。そんな妄想が大好きで現実でもこんな風になりたいとか考えていた。

だが現実は違う。そんな甘くない。妄想のように剣術出来たらと考えて剣道をやってみるも思うように体は動かず。ルールもあるため小説のような動きなんて認められず。魔法はないから科学で同じようなことができないかと考えるもそれを理解する頭もなし。

そう何度も言うが現実なんてこんなものだ。甘くなんてない。

「そうだよな。あんな風にできたらすごすぎるよな。」

俺こと神谷勇人(かみやゆうと)は現実に参っていた。妄想と現実は一緒になるはずがない。

人間としての限界があり。存在しないものは存在しないのだ。

「当たり前だけど。物語の主人公みたいになってみたかったな。」

ため息をつきながら横断歩道で信号待ちをしているとボールが転がってくる。そしてトラックがくる。

(あ、こういうのってお決まりの展開だよな。実際にはないけど…)

ボールは横断歩道まで転がっていくが追う子供はいない。

(そうだよな。そんなも・・・ん・・・)

子供はいない…。だがトラックはこちらの方に突っ込んできた。

(あ。そっちのパターンね。)

トラックにはねられる自分。空高く舞い、視界に移るのは高校生4人組と地面に描かれている魔法陣

(巻き込まれ系ですね。なっ…と・・・く・・・)

そのまま意識を失った。


「もしもーし。聞こえますか?」

「??・・・は・・・い?」

真っ暗のなか声だけが聞こえる

「あぁ。聞こえましたか。よかったですです。」

「死んだんですか?」

「死にましたよ~。トラックにどーんとぶつかってですです。」

「なんでしゃべれるんですか?」

「念話みたいなものですです。だって今のあなたは魂だけですからです」

「そのしゃべり方は個性ですか?わざとですか?」

「あ。気づきました。わざとだってこと。そろそろ形を作りましょうか」

その言葉と同時に真っ暗だった世界は真っ白な世界へと変わる

「どうもー。女神様ですよー。初めまして勇人くん。」

目の前には超絶美女でスタイル抜群な女神と名乗る女性がいた

「これは異世界転生のテンプレ的な奴ですか?」

「うーん。そうですねー。ありきたりで申し訳ないですがそんなところです。」

つまらなそうにしている女神。

「でも一般的なテンプレと違うのはあなたが魂だけで話しているあたりでしょうか?」

「え?」

自分の身体を、手をみようとするも何の感覚もない。動かすことができない。

「たいていのテンプレだと姿形はそのままでとかですが~。魂だけなのでギャルゲーの主人公やFPSのような目の前の視点だけという感じですね~。」

女神の言うように視点だけ動かせる感じだ。VRみたいだ。目もないというのに。

「さて大体の予想はできているとおもいますが、これからあなたを転生させます。」

「転生先ってどんなところなんですか女神様。」

そこから女神は転生先の話をしてくれた

転生先は剣と魔法のある世界メグリット。人族や魔族、獣人族等様々な種族がいる世界ということだった。転生したものを何度か送ったことがあるようで、事情を説明すればメグリットの民も納得してくれるそう。

なぜこのようなことが起きてしまったのかも説明してくれた。簡単に言うと魔王の復活。そのために勇者を召喚しようとしたということだ。

女神は勇者召喚を行う手順で車線上にいた俺を殺してしまう。勇者一同はそのまま能力を与えて転生させるのだが予定外の俺は魂のままここに来てしまったということだ。

(つまり予定外の俺は特別な力を分け与えてくれる可能性が高い。)

よし。これならチートで最強。勇者より強い。夢にまで願っていた異世界生活が送れる。と思っていたのだが…。

「まぁこういうケースもいままでもあったので、例外なくそれなりの能力をつけますね。」

と予想外の言葉が返ってきた。

「え!?今までもそういうケースあったんですか?」

「そりゃあ誰にだってミスすることがありますから~。そんなわけで余っている能力を授けま~す。」

しかもあまりものかよ?!

「ほい!!」

女神が指を俺の方に向けると淡く光り、しばらくすると光は消えた。

「あなたには幻術士となっていただきます。いやそれしかありません。」

「え?マジですか?」

そんな感じで冒頭に戻る。

「は~い。姿もこちらで適当に作成しましたよ~。ほら手も動くでしょ~?」

「お。おぉ。」

がっちりした手。これが俺の手?

「鏡で自分の姿を見てくださ~い。以前とは別人でしょ~?」

昔のギャルゲーの主人公のような姿かたちはなく、それなりのイケメンになっていた。

「なんか。ありがとうございます。」

「もし勇者にあったときに目の前で吹っ飛んだ人がいたら怖いでしょ~?だから姿を全く違う人にしただけで~す。」

「そうですね。」

俺だって目の前でそんな風になった人が現れたらビビりますもん。

「さて。ではそろそろお時間ですね~。いってらっしゃ~い。」

「え?」

驚く間に床がなくなり、俺は落っこちた。


女神だけになった空間

「さ~て彼はどんな物語を作るのかしら~。勇者じゃない。巻き込まれた幻術士勇人くんは。」

「しつれいします」

空間が割けて執事のような恰好をした女性が現れる

「女神様。彼には何を授けたのですか?」

「ブレイン。貴女は幻をみたことはあるかしら?」

ブレインと呼ばれた女性は少し悩むも「ありません。」と答える。

「そう。いずれ貴女も見ることになるわ。幻とは何か理解しておきなさい。ふふふっ。」

「?。わかりました。理解しておきます。」

そして女神とブレインと呼ばれる女性は空間から消えた・・・



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