16話 下級悪魔戦 観客
「ああ、戦う前にその装備では死にに行くような物です
いくつか装備をわたしておきましょう」
ニック君には二振りの短剣、軽鎧
ミアさんには杖、ローブ、腕輪
これらの詳細は
魔断ちのダガー
<魔断>、<鋭刃>
反魔力性の水晶でできた短剣
魔法だけでなく魔力自体を斬ることが可能
魔法でなくても切ることは可能。
スパークメタルの鎧
<思考加速>、<電気信号>、<能力向上>
装着者(人間)に限り電気信号を流し
装着者の能力を高める鎧
トレントロッド
<魔力増幅>
トレントの素材からできた杖
普通の木材製より強度、魔力伝達が優れている
ケイブスパイダーローブ
<火炎耐性>、
洞窟蜘蛛の糸で作られたローブ
糸には魔力が宿っており素材元の耐性を所持している。
ミスリルの腕輪
<魔力貯蔵>、<防壁展開>、
ミスリルでできた腕輪
装着者の魔法を強化する
魔力切れの際には腕輪から魔力をとりだすことが可能。
一度きりの防御もできる。魔力を込めれば再使用可。
スパークメタルはこの世界にはなさそうですが
返却してもらえばいいでしょう。
「さぁ、行ってきなさい
ここから眺めてますので」
「ああ」「はいっ」
武器の説明をした後
二人は結界の中へ。
二人が入った途端
悪魔の魔法が二人を襲う
しかしニックの武器により全て真っ二つに切られてしまう
悪魔が次の魔法を撃つため魔力を練っている間に
ミアが撃った光の弾幕が悪魔を襲った。
「ガァァァ!」
「レイブンさん、あなたミアさんに何を教えたので?」
「何って、神聖魔法ですぞ?
聖女の卵というスキルのおかげで
光属性魔法と回復魔法は簡単に習得でき、
熟練度もあがりやすかったようで各魔法が進化したり
神聖魔法も使えるようになりましたなぁ
賢者の卵があるかはわからないですが、
あれば四属性や無属性ももう少し強化できたやもしれません」
アンデッドなのに光系統も教えてしまうのはいいのだろうか。
「魔法はわかりました
ですが魔力の量はどうしました」
「マックスアップマナポーションを使いましたな。
千分の一に薄めたものですが」
「それで最後に見た時より5倍ぐらいに魔力最大値が増えていると」
「そのとおりですな
もちろん安全には配慮しましたとも
<成長限界無視>があるからこそこの手段を使ったまで」
「私も使えばよかったでしょうか」
「ニック殿に使うなら一万倍は薄めた方がよろしいでしょう
男性と女性では魔力の扱いに差がありますから」
「じゃ後で使うってことで」
「では用意しておきますので」
少々驚きましたが
現在の強さは戦闘終了後に確認すればいいでしょう。
その後も順調に悪魔にダメージを負わせ続けていた
ニックが詠唱中のミアを守り
ミアはニックの回復をしつつ魔法で攻撃
協力して戦いができていた。
悪魔は魔力で体を構成しているため
魔断のダガーで切断された部分は再生しにくい。
すでにここまでの戦闘で右腕と左角がなくなっており、
体中の至る所に光魔法のレーザーの跡もあり満身創痍。
悪魔の体力が二割、魔力が一割もないぐらいまで削ったと、
第二形態でもなければこのまま勝てそうですね。
「フム、下級悪魔ですとこんなものですかな
中級、あるいは上級以上に期待したいものですな」
「魔界ってところにいるんだろ?
そこの入り口を探さなけりゃいけねぇんじゃねえか?」
「その辺りはこの世界の文献や言い伝えを調べておきます
いつになるかはわからないデスガ」
「楽しみにしてるぜ。
面白そうな奴がいればスカウトもしてえしよ」
二人ともあの悪魔への興味は失せたようです。
「ところでよぉ、あの二人は今後どうするんだ?
鍛えてはい、さよならって訳にもいかんだろ」
「ん~?さよならはしませんよ?
最初に一緒に来ませんか、と言いましたし。
とりあえずこの世界基準でトップレベルまで強化しますよ
それからはまだ決まってませんし」
「そうかい、
もしスカウトするなら俺の部門にほしいんだが」
「気が早いですねぇ、説得はご自由にどうぞ」
「おう」
「ォォォォォ!!!」
悪魔の断末魔が聞こえてきましたね
話している内に決着がつきそうです。
弱点も突いてますし割と余裕だったかもしれません。
いい練習台にはなったでしょうが。
「なぁ、あいつなにしてんだ?」
「体が膨張してますな」
ええ~、第二形態あるやつですか~
それとも最後のあがきでしょうか。
どちらにせよ今の二人ではどうにもならなさそうだ。
仕方ない、介入するとしましょう。