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10話 少年と少女

 少年を追いかけていった先には今にも崩れそうな家があった。

 そこに入っていったようだ。

 窓からのぞいて中の様子をうかがう

 人様の家を覗くのはよろしくありませんが非常事態ということで

「ミア、薬を買ってきたぞ」

 おや、ちょっと目を離した隙にどこかで薬を買ってきていたようですね。

 妹さんのためにスリまでして薬代を稼いでいるようですね。

 妹さんの病状は・・・おや?病気ではない?

 あ、呪いですか。そうですか。

「二人とも、ちょっと作戦か~いぎ

「なにかありましたか」

「病気の妹さんのために薬を買っている少年ですが、どうやら病気ではなく呪いのようでして」

「それを解呪したらいいの?」

「そうしたいところなのですがねさすがに不法侵入をするわけにもいきませんからねぇ」

「ここからこっそり解呪するという手段は?」

 ノアさんのいうとおりそうしてもいいのですが・・・

「その手段はありますよ、ですがせっかくですからあの兄妹を直接助けてみません?我々と友好的な人物も増やしたいですし」

「そんなにうまくいくとは思えませんが」

「助けるにしたってどうやって?」

「事情を聞いてそのあとに考えます」

 早速、 

「お邪魔しますよ~」

 お~、少年は驚いているようですね。

 撒いたと思った相手が現れたのだからそれもそうですが

「お前っ、どうやってここに」

「どうやってもなにも、あなたを追いかけてきただけですが」

 よほど自身があったようですね。この街の路地裏は逃げるのに適しているので、慣れれば盗まれたことに気づいても追いかけるのは苦労するでしょう。

「まぁ、今回は相手が悪かったということで諦めてください」

「金ならないぞ」

「お金はいいです、というかその薬は無駄ですよ」

「はっ?」

「薬の事はいいとして、妹さんがこの状態になったのはいつからですか?」

「そんなこと聞いてどうする」

「妹さんを助ける方法があるといったらどうします?大切なんでしょう?」

「・・・本当に助けられるのか」

「約束しましょう」

 ・・・真剣に悩んでいるようだ。よほど妹思いでよろしいことで

 警戒心があるのもいいことだ。

「わかった、ミアになにかしたらただじゃおかないぞっ」

「えぇ、12歳ぐらいの女の子に手を出すほど落ちぶれちゃいませんのでそこは安心してください」

 余計な疑いはかけられたくないものです。

「ミアはこっちだ」

 奥の部屋に案内される。

 そこには白髪の少女が眠っていた。

 茶髪の少年の妹とは思えませんが。

「おや、彼女は実の妹ですか?」

「違う、このスラムに捨てられていたのを拾っただけだ」

「そうですか、じゃノアさん、メリアさん、あとはお願いします」

「あんたがやるんじゃないのか?」

「いや、女の子の相手は女性の方が適任ですしその方があなたも安心するでしょう?私はあなたから事情を聞くことにするのですべて話してくださいね?」

 

 少年、いや名前をニックという。

 このスラムの住人の一人でもある。

 スラムで生き残るためによく盗みを働いているらしい。

 だがそれは、義理の妹であるミアさんの病を治すためだった。

 医者から病気と診断され薬を処方されたが実際には病気ではなく呪いだったわけです。

 スラムの住人だということで軽く見られていたのでしょう。

 適当に金を搾り取って用がすんだらポイと。

 薬については医者は何もいっていなかったそうだ。

 弱い毒薬でしたが皮肉にも呪いの効果で毒は打ち消されていました。

 そのことを話すと大変憤っていました。

「旦那様、解毒及び解呪、完了しました」

「呪い返しは?」

「もちろん、実行いたしましたミアさんも快復に向かうでしょう」

「ニック君、行って来たらどうですか?」

「ああ!」

 慌ててミアさんの部屋に駆け込んでいった。

「ふぅ、おわったおわった」

「お疲れ様でした、メリアさん」

「ミアちゃんの呪いについての報告をするわよ」

「お願いします」

 さて、弱い毒薬とはいえ毒を無効化するほどの呪いとはなんだったのでしょうかね。




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