つめたい
昔の私は思っていた。距離を「詰めたい」
今の私は思っている。「冷たい」
彼は私の憧れだった。
ずっと遠い存在だった。
その彼が今、近くにいる。
でも、私の話なんて一言も聞いていない。
昔も今も、私が彼に思っていることは同じ。
「つめたい」
令和最初の夏になった。「暑い」
令和最初の夏に怒鳴った。「あ、つい」
夏はとても暑い。
それなのに日中でも扇風機で過ごせと彼は言う。
その言葉につい、カッとなった。
昔の憧れなんて吹き飛んだ。
冷たい彼に熱くなっている私がいた。
昔も今も変わらず、私は熱くて彼は冷たい。