表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MONSTER UNITED 〜モンスター・ユナイテッド〜  作者: 土竜児
第一章 未知との遭遇
8/66

UNITE ON! 後編

「……いったい何が起きているんだ?」


 俺は未だに状況を把握していなかった。


「んぅ……」


 今の状況が把握しきれていない中、神崎は目を覚ます。


「神崎、目が覚ましたか?」

「んぅ……えっ……誰?」

「俺だよ。陽太だ!」

「えっ、陽太君なの?」


 神崎が俺の顔を見て不思議そうにこちらを見ている。

 いつも学校で会って話すのにどうしたんだ?


「……陽太君、その姿は何?」

「えっ……」


 俺は神崎にそう言われて自分の体を見る。

 すると、体は金属のような赤い鎧に包まれていた。手の甲には短い鉤爪。背中には翼らしき物がついている。


「ちょっといい?」

「あっ、うん」


 神崎をその場で下し、俺は自分の顔を触ってみるとドラゴンみたいな兜に顔が包まれている事が分かった。


「何がどうなっているんだ……?」

『ヨウタ、どうやら俺たちは融合したみたいだ』


 俺の頭が混乱していく中でグレンの声が響いた。


「グレン!? 何処に居るんだ!?」


 俺がそう叫ぶと神崎は心配そうにこちらを見つめている。


『今、俺は君と一心同体になってるみたいだ。多分、あのアプリのせいだと思うが今はそんな事どうでもいい! 早いとこ、あいつの暴走を止めよう!』


 グレンが俺の頭の中で状況説明をしながら、こちらを見ている恐竜に戦いを挑む事を勧める。

 俺たちに襲い掛かってこないのはさっきの俺の行動を見て、警戒をしているようだ。

 確かに今の俺だったらあいつに勝てるかもしれない。


「神崎、状況は把握してないと思うけど今は安全な所に隠れてくれ」

「うん……」


 神崎は俺の言う通り家の隅に隠れ、こちらの様子を見ている。


「そう言えばグレン、体の方は大丈夫か?」

『俺は大丈夫だ。ヨウタこそ足の怪我は大丈夫か?』

「俺も大丈夫だ。むしろ調子が良すぎるくらいだ」

『なら……』

「行けるな」


 お互いに体の調子を聞いた俺たちは息を合わせていく。

 そして、俺は臨戦態勢を整えていく。


「グレン、行くぞ!」

『あぁ!』


 グレンとの意思確認をした後、俺は恐竜に突っ込んでいった。


「————!」


 恐竜も警戒態勢を解いたのか叫びながらこちらへと向かってくる。


「はあああぁぁぁ!」


 俺は恐竜の顔面目掛けて殴りかかった。

 すると、恐竜は俺の行動に先読みしたのか後ろを向き、尻尾で横殴りに殴る。


「かっはぁ!」


 恐竜の尻尾が直撃した俺は吹き飛ばれる。

 そして、さっき恐竜が放った鱗にぶち当たる。


『ヨウタ、大丈夫か!?』

「……あぁ、大丈夫だ。思ったより痛くない」


 どうやらこの体は結構丈夫に出来ているみたいだ。

 しかし、あいつのせいで辺りが鱗だらけだ。

 俺がそう考えていると恐竜が俺に向かってまた鱗を発射しようとしている。


『その技はもう……』

「見切っているんだよ!」


 恐竜が鱗を放った直後、俺は放った鱗を使いながら転々と飛んでいく。

 そして、あっという間に目の前までたどり着く。


『これでも……』

「喰らいやがれっ!」


 そう叫びながら恐竜の顔面を思いっきり殴った。

 俺が殴った勢いで今度は恐竜が吹っ飛ばされ、自分の放った鱗にぶち当たり地面に倒れる。


「凄い……これが俺の力なのか……」


 恐竜の顔面を殴った俺は地面に着地した後、殴った拳を見ながら自分の力に感激していた。


『ヨウタ、まだ気を緩めるな!』


 グレンの声を聞いた俺はすぐに恐竜の方を見る。

 すると、恐竜はまだやれるのかゆっくりと立ち上がろうとしていた。


「まだ立ち上がろうとしている……」

『だっだら、ヨウタ! 翼を広げて飛べ!』

「えっ、俺って飛べるのか?」

『多分だが今の君は俺の能力が使えるはず……。だったら、翼を広げて飛べるはずだ』

「分かった。やってみる!」


 俺はグレンに言われた通り、背中の翼を広げた。


『ヨウタ、今だ! 飛べ!』


 俺はグレンの掛け声ともに初めて空を飛ぶ。


「グゥゥゥレェェェンゥゥゥ! たぁぁぁすぅぅぅけぇぇぇてぇぇぇ!」


 だが、空を飛ぶのは結構難しくうまく制御が出来ずにいた。


『ヨウタ、落ち着け! 俺も全力で飛ぶサポートをする!』


 グレンのサポートがあったお陰か段々と空を飛ぶのが安定していく。


『ヨウタ、どうだ? これが空を飛ぶって事だ』

「……凄い……凄すぎる……」


 俺はこんな状況にも関わらず空を飛ぶという事に感激していた。

 普通に生活をしていたら自分で空を飛ぶっていう事はできないからな。


『さぁ、ヨウタ! 楽しい時間はここまでだ! 決めるぞ!』

「あぁ!」


 俺は急降下をして恐竜に突っ込もうとする。

 恐竜はこちらに気付いたのか早く立ち上がろうとする。

 だが、さっきの攻撃のダメージのせいか立ち上がれずに居る。


「こぉぉぉれぇぇぇでぇぇぇ!」


 急降下しながら俺は鉤爪で殴ろうとして振りかぶっている。

 そして、


「おぉぉぉわぁぁぁりぃぃぃだぁぁぁ!」


 思いっきり恐竜の顔面を殴り突っ込んでいった。

 突っ込んだ衝撃で地面は割れ、辺りが砂の煙に包まれていく。

 辺りが段々と見えるようになっていくと地面はまるで小さい隕石が落ちたようにクレーターできていた。

その中心で俺と恐竜が倒れていた。


「やったのか……?」


 俺は立ち上がり、恐る恐る恐竜を見る。

 すると、


「————!」


 目が開き、恐竜も立ち上がる。


「こいつ!」


 恐竜を見た俺は急いで臨戦態勢をとる。


『ヨウタ、待て!』


 グレンが俺の事を止めると恐竜の目が白目になりその場に倒れていった。


『もう大丈夫だ』


 俺はグレンの言葉で安心し、臨戦態勢を解いていく。

 安心した直後、恐竜の体が光の塊へと変わっていた。


「これは……」

『分からない……が危険は無さそうだ』


 俺は光の塊をとりあえず触ってみる。

 すると、光の塊は俺の体に吸収されていく。

 その光景を俺は見ているしか無かった。


『ロック・ティラノのデータをDOWNLORD中、ロック・ティラノのデータをDOWNLOAD中……』


 スマホの電子音声が俺の頭に響いてくる。

 そして、ゲームで宝を手に入れたような音楽が聞こえてきて、


『ロック・ティラノのデータがDOWNLOADされました』


 とスマホの電子音声が聞こえてきた。


「な、なにが起きたんだ?」

『どうやらこのアプリの中に恐竜のデータがダウンロードされたみたいだ』


 状況を把握しきない俺にグレンが補足説明を言う。


『それよりヨウタ。元の体に戻らなくていいのか?』

「戻りたいんだがどうしたらいいんだ……?」


 戻りたいと思いながら体のあっちこっちを見る。

 すると、


『UNITE OFF』


 とスマホの電子音声が聞こえ、俺の体が光りだした。

 そして、徐々に元の体へと戻っていった。


「あっ、戻った」

『どうやら戻りたいと思えば戻れるみたいだ』


 いつの間にか右手に持たれていたスマホからグレンの説明が聞こえてきた。


「陽太君、大丈夫!?」


 俺は自分に近づいて来る神崎に気付き、そちらを向く。


「俺は大丈夫だ。神崎、お前は大丈夫か?」

「私は大丈夫。それより……」


 神崎が口ごもると俺は彼女の体が震えている事に気付く。

 当たり前だ。あんな怖い体験をしたんだから、言葉では大丈夫と言っていても大抵の人間は震えが止まらないはずだ。

 こんな時に気が利いた事を言えればいいのんだが何も思いない。


「神崎……」

「噂は本当だったんだね!」

「……えっ?」


 神崎はキラキラした目で俺を見てきた。


「今回の噂は正直、信じられなかったんだよね。しかし、噂好きの私としては気になった事は調べないとなんか腑に落ちなかったんだよね。今回、陽太君を巻き込んでおいて何も無かったら物凄く落ち込んでいたのは確実なんだけど、それ以上に気になる事を調べないのは本当に嫌だったんだ。だけど、噂の恐竜に会えてよかったよ。陽太君が家の中に入っていった後に私も入ろうか悩んでいったけど、外で待っていて正解だった。もし外で待っていなかったら噂の恐竜にも会えなかったしね。正直、怖かったけどあれはあれでスリルがあって良かったしやっぱり噂を調べるのは楽しい!」


 神崎が楽しそうに俺に話しているが正直、呆れていた。

 俺はあんなに怖かったのに楽しかったって……。


「あっ、そうだ。正直、陽太君のあの姿にも興味があるんだ。あの家で陽太君の身に何が起きたの? 後、グレンって叫んでいたけど何かの暗号? それと空を飛んでいたけどどんな感じだった? あの姿って私にもなれるの? 噂の恐竜が陽太君の体に吸い込まれていったけど何か関係があるの? それから……」

「ちょ、ちょっと待て!」


 恐竜より神崎の方が怖いと感じながら俺は神崎の対応していくのであった。


※※※


 二人より離れた森の中、一人の人影が二人の様子を見ていた。


『これでいいのか?』

「今はこれだけでいい。いずれ嫌でも鉢合わせする」

『……そうか。なら、私もいい。その時が来たら会って話そう』


 二人に背を向けて人影は森の奥へと消えていった。


※※※


 流星群が見えたあの日、俺たちの日常はまだ平凡だった。

 だが、この未知の生物と出会いを切っ掛けに俺たちの日常は大きく変わっていく。

 この物語は俺たちの絆の物語――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ