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MONSTER UNITED 〜モンスター・ユナイテッド〜  作者: 土竜児
第七章 合宿、開始!
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霧の中の戦い 後編

「いっつつつ……」


 いきなり飛んできた陽太君に払いのけられた僕は地面に倒れこんでいた。


『勇正、大丈夫か!?』

「はい……何とか」


 アルジャの質問に答えながら僕は埃を掃いながらその場に立つ。

 すると……。


『ヨウタ!』


 僕の背後からグレンが陽太君を呼ぶ声が聞こえてきた。

 何が起きたのか未だに理解出来ない自分はすぐに背後を見る。

 するとそこで見た光景は……。


「嘘……」


 無数の触手が体に巻き付かれていて、宙に浮いていた陽太君の姿だった。

 それを見た僕はすぐに彼が自分を庇った事に気付いた。

 けれど、何故彼が自分なんかを庇ったのか理解出来ずに居た。


「くそっ……! 離しやがれ……!」


 陽太君はそう言いながら必死に逃れようとする。

 けれど、無数の触手は彼の体に絡み合い動けない状態だ。


「何で……」


 理解出来ない僕はそう言いながら陽太君の方へと歩き出す。


「何でですか……」


 疑問を持ちながらゆっくりゆっくり陽太君の方を歩いていく。


「何故、役立たずの僕なんかを庇ったんですか! 陽太君!」


 僕は目的地へとたどり着くと思っている事を陽太君へと思いっきり叫んだ。

 その叫び声はこの海岸中に響いた。


「……そんなの決まっているだろ」

「えっ?」


 陽太君がそう言った後、無理矢理僕の方へと顔を向ける。

 そして……。


「友達だからだ……! 友達を助ける事にそれ以上の理由は何て必要ないだろ……!」


 陽太君は僕に向かってそう言った。

 友達……?

 こんな役立たずの僕をまだ君はそう言ってくれるのですか……。


「それにお前は自分が思っているほど出来ない奴じゃない……!」

「えっ?」

「さっきだってそうだ……俺とあんな事があったのに冷静に作戦を考えて行動した……! それは誰だって出来る訳じゃない……!」

「陽太君……」


 陽太君は僕がさっき、失敗した作戦の事をそう評価しながら敵の触手を解こうとしていた。

 その姿を自分はじっと見つめている事しか出来なかった。


「勇正、お前はもっと自分自身を信じろ……! お前は……!」


 陽太君は必死に触手に抗いながらも僕の方を見続けた。

 そして……。


「俺が認めた奴なんだからよ……!」

「……!」


 陽太君は僕に向かってそう言い放った。

 自分が彼に認められていた……?


『ヨウタ、このままじゃ駄目だ! 炎を吐いて脱出するぞ!』

「分かった……!」


 身動きが取れなくなっていく陽太君は正面を向きグレンの指示通り、口から炎を吐こうと息を吸い込んだ。

 そして、炎を吐こうとした瞬間……。


「えっ……? うわぁ……!?」


 陽太君の行動に危機を感じたのか複数の触手が纏まる。

 そして、一本の太い触手になり彼の体ごと呑み込まれた。


『ヨウタ!』「陽太君!」


 僕とグレンが名前を叫んだ後、触手の中に呑み込まれた陽太君は苦しそうにしていた。

 恐らくあの中は彼の様子から察するに息が出来ない状態……。

 早く助けなければ……。

 けれど、自分に出来るんでしょうか……。

 さっきの作戦だって例え彼が褒めてくれたとしても結果的に失敗に終わったんです……。

 もし今度も失敗したら彼は……。


『いい加減にしろぉお!』

「!?」


 僕が悩んでいるとアルジャがそう叫んだ。

 それに聞いた自分は驚きを隠せなかった。


『勇正、貴殿はうじうじと考え過ぎだ! 陽太殿を助けたくないのか!?』


 僕が驚いているとアルジャがそう質問してくる。

 助けたくないかって……。

 そんなの決まってます。


「助けたいです。けど……」

『貴殿は変わりたいんだろ!? だったら、ここで失敗を恐れていたら何も変われないぞ!』

「……!」


 僕がぐずっているとアルジャがそう一喝された。

 その言葉に僕の心は揺れ始めた。


『勇正……貴殿は一人で背負いすぎだ。もっと周りを頼れ』

「アルジャ……」

『もし失敗した時は我と仲間たちがフォローする! だから、勇正……貴殿は貴殿の思うままに突き進め!』


 アルジャは僕の中でそう呼びかけてきた。

 フォローするから自分の思うままに突き進めか……。

 全くこの騎士は気楽に言ってくれますね……。

 それが一番、難しい事なのに……。

 けれど……。


「そうですね……アルジャの言う通りです」

『勇正……』


 もう考えるのはやめです。

 確かにアルジャの言う通り、ここで変わらなかったら何も変われないと思います。

 だから……。


「さぁ、陽太君を助けましょう! アルジャ、みんな……力を貸してください!」


 僕はここから変わっていきます。

 絶対に!


『……御意!』


 決意を新たにした僕は改めて陽太君の方を見る。

 自分の代わりに捕まった彼はさっきより苦しそうにしていた。


『さて、どうする? あまり時間は無いぞ』


 確かにアルジャの言う通り、あまり時間は無さそうです……。

 さて、本格的にどうしますか……。

 恐らくこのまま彼を助けたらまた触手は何処かに行ってしまう可能性はあります。

 そしたら、何処に居るのか分からない相手と戦う自分たちが圧倒的に不利です。

 しかも、彼方はまだダメージを受けてない状態。

 対して此方はさっきの戦闘訓練や相手の触手でダメージを受けています。

 幸い先ほどの攻撃や行動を見る限り敵は一体と推測出来ます。

 もし他にも居たら先ほどのチャンスを逃すような事はしないでしょう。

 けれど、短期決戦で行かないと自分たちがやられてしまいます。

 彼を助けながら相手を引きずり出し短時間で倒す方法……。

 だったら、あれしかありません!


「行きます!」


 僕はそう叫んだ後、体が光に包まれていく。

 そして……。


『UNITE CHANGE! REFRESH CRICKET!』


 スマホの電子音声が聞こえてきたともに僕の姿は男性の時と大差が無い吟遊詩人になる。


「陽太君! 今、助けます!」


 融合を終えた僕はそう言いながら両手に持っているシタールを鳴らしていく。

 すると、自分の周りから五線譜のような線が何十本と出てくる。

 そして、地面から出た線は二手に分かれる。


『勇正、どうするつもりなんだ!?』

「今に分かります!」


 アルジャと話した後、僕はシタールを大きく鳴らす。

 すると、二手に分かれた線が触手の方へと向かっていく。

 触手に近づくと一方は触手の中に入り陽太君の方へ一方は外で待機していた。

 そして、彼の方へと伸びていた線はそのまま身体を掴む。


「いっけえぇぇぇえ!」


 僕がそう叫ぶと陽太君を掴んでいた線がそれに比例するように触手の外へと投げる。

 投げ飛ばされた事を確認した僕はまたシタールを鳴らし、彼が落ちる場所に線をいっぱい出す。

 そして、そのまま彼をキャッチする。


『よし、何とか陽太殿を助け出した!』

「陽太君!」


 僕はゆっくりと地面に降ろされていく陽太君の方へと駆け寄っていく。

 地面に降ろされた彼はまるで何かを吐き出すように咳き込んでいた。


「大丈夫ですか?」


 僕がそう尋ねると陽太君はやっと咳が止まったのか口元を右手で拭いた。

 そして、


「……あぁ、何とかな。勇正、ありがとうな」


 僕の方を見ながら陽太君はお礼を言ってきた。

 そのお礼を聞いた自分はちょっとだけ恥ずかしくなった。


『ヨウタ、触手が!』


 グレンがそう叫んだ後、僕らは触手の方を見る。

 すると、陽太君を取り込んでいた触手は素早く深い霧の中へと戻っていく。


「まずい!」


 それを見た陽太君はすぐに立ち上がり、追いかけようとする。

 けれど、


「大丈夫です」


 僕はそう言いながら陽太君を止める。

 そして……。


「もう僕が捕まえましたから!」


 僕はそう叫びながらシタールを大きく鳴らす。

 すると、外で待機していた線と中に入っていた線が一斉に動き出す。

 外の線は逃げる触手に螺旋状に絡まり、中の線はその強度を高める為にサポートを行っていく。

 そして、ちゃんと触手に絡んだ所で……。


「いっけえぇぇぇえ!」


 僕はそう叫びながらシタールを更に鳴らしていく。

 すると、自分が出した線が触手を此方へと引っ張り始める。

 触手はそのまま何の抵抗も出来ずに引っ張られていく。

 そして、深い霧の中から本体らしきものが段々と見えてきた。


「凄い……」

『ヨウタ、なんか体が光っているぞ!?』

「えっ……? 何だこれ!?」


 グレンがそう叫んだ後、陽太君は自分の体を見る。

 そして、彼は自分の体が輝いている事に気付き驚いていた。

 よし、どうやら僕の音楽が効き始めているみたいですね。


「陽太君、聞いてください!」

「えっ、はい!?」

「今からあのクラゲを空中に投げます! その間に決めてください! 僕がその為に力を与え続けますから!」

「えっ? じゃあ、この体の輝きは勇正が……」

「お願いします! 陽太君! あいつを倒してください!」


 僕がそうお願いすると陽太君は少し驚きつつ此方を見ていた。

 けれど、彼はすぐに真剣な表情に変わり、


「……分かった。勇正、俺に任せろ!」


 僕にそうはっきりと伝えた。

 その後、陽太君はクラゲの方を向きながら、


「グレン……行くぞ!」

『あぁ!』


 陽太君はグレンと一緒に気合を入れ始める。

 その姿を見た僕はシタールを大きく鳴らす。

 すると、触手を掴んでいた線が勢いを付けながら空中へとクラゲを投げた。


「今です! 陽太君!」

「あぁ!」


 僕の呼びかけで陽太君は翼を広げる。

 そして、彼は翼を羽ばたかせながら空へと飛び始める。


『「はあああああぁあぁぁ!」』


 陽太君とグレンは声を合わせながら僕が投げたクラゲの方へと飛んでいく。

 そして、次第に彼の体が赤い竜へと変わっていく。

 それと同時に炎を口元に貯めていき……。


『「喰らいやがれ!」』


 グレンと一緒にそう叫びながら陽太君はクラゲに向かって炎弾を放った。

 それと同時に彼は上下に二回転ぐらい回ったがすぐに体制を取り戻す。

 放った炎弾はそのまま目標に当たり、爆発が起きる。

 爆発の中、目標は何も出来ずに段々と光の塊へと変化していった。


「やった! やりました!」


 クラゲが光の塊へと変化していくのを見て僕がそう喜んでいると……。


『勇正、霧が!』

「えっ?」


 アルジャがそう叫ぶと僕は周りを見始める。

 すると、周りを覆っていた深い霧が徐々に晴れていった。

 それと同時に自分の周りにいたクラゲの幻影たちも徐々に消えていった。


『どうやら敵はあやつだけだったみたいだな』

「そのようですね……ん?」


 僕がアルジャと話していると自分の体から水蒸気みたいなものが静かに抜けていった。

 そして、段々と勢いが無くなっていくともに自分の体は女性から男性に戻っていた。


「良かった……やっと元に戻りました……」

「勇正!」


 僕が元に戻った体を見ながら安心していると空中を飛んでいた陽太君が自分の方へ近づいてきた。

 そして、翼を閉じて地面に着地した瞬間……。


「ごめん!」


 陽太君はお辞儀をしながら僕に謝ってきた。

 その行動に自分は驚きを隠せなかった。


「えっ……陽太君?」

「俺はお前の気持ちに気付いたのに何も出来なかった……! それ処か見て見ぬふりをしていた……!」


 驚きを隠せないまま、僕は陽太君の名前を呼ぶと彼は顔を上げずにそう淡々と語っていた。


「俺は……俺は最低だ! お前が辛い時に何一つ力になれなかった……!」

「陽太君……」


 そう語った後、陽太君は顔を上げて僕の方を真っ直ぐ見る。

 そして……。


「こんな事を言える立場じゃないのは分かっている……だけど、俺はお前とこれからも一緒に居たいんだ! これからも一緒に笑いたいし、一緒に強くなりたい! だから勇正……俺はお前と仲直りしたいんだ!」


 陽太君は僕に向かってそう叫んだ。

 その叫びは彼の真っ直ぐな目を見ても嘘を言っているようには見えなかった。

 ……あぁ、僕は本当に馬鹿です。

 こんなにも近くに自分の事を見てくれて一緒に居たいって人が居るのに……。

 それなのに僕は自分の事ばかり考えて……。


『ユウセイ』


 陽太君の叫びを聞いた後、アルジャが僕の名前を呼ぶ。

 そして……。


『貴殿の答えはもう出ているのだろう?』


 僕にそう優しい声で囁いた。

 その声はまるで自分の心を見透かしているかのように言うのだから意地悪だと思います。


「陽太君……」


 アルジャの言葉を聞いた後、僕は勇気を出して陽太君の名前を呼ぶ。

 そして……。


「僕の方こそごめんなさい」


 僕はお辞儀をしながら陽太君に謝った。


「えっ……勇正?」

「……僕は昔、周りから役立たずって言われ続けました」


 陽太君は僕の行動に驚いていましたがそれを気にせずに自分は顔を上げて昔の事を彼に伝えていく。


「何百……いえ、何千と言われ続けて僕自身も役立たずだと自覚するようになりました」

「……」

「そんな自分を変えたかったんです。何も出来ない自分を何でも出来る自分に……」


 僕は昔の事を淡々と語っていく。

 そんな話を陽太君は空気を読んでか黙って聞き続けた。


「そんな時です。陽太君たちと出会ったのは……」

「えっ?」


 僕がそう語ると陽太君は驚きを隠せずに居た。


「陽太君たちと出会ったから毎日が楽しかったです。こんな僕でもここに居てもいいだって思うくらいに……」

「勇正……」

「それと同時にここでなら僕は変われるような気がしたんです。昔から思い描いていた自分に……」


 僕は陽太君と出会ったからの自分の気持ちを淡々と語っていく。

 その話を彼は驚きつつも真剣に聞いていた。


「その気持ちは今でも変わりません。けれど、もう二度と誰かに相談しないで突っ走る事はしません。だから……!」


 僕はそう言った後、シタールを左手だけで持ち始める。

 そして、


「また僕と友達になってください……お願いします……」


 そう言いながら僕はもう一方の右手を陽太君の方へと出した。

 正直、こんな事を言える立場では無いと自分でも理解しています。

 それでも彼にはちゃんと伝えないといけないと思いました。

 自分が変わりたい事を自分の口で。

 それがいい事なのか僕には分かりません。

 けれど、これが今の僕の素直な気持ちなんです。


『ヨウタ、お前も答えは決まっているだろ?』

「……あぁ、そうだな」


 しばらく沈黙が続いた後、グレンが陽太君にそう尋ねる。

 そして、彼は小さく返事をした後……。


「こちらこそまたよろしくな! 勇正!」


 そう言いながら左手で僕の右手を掴んできて握手をしてきた。

 その事に自分は驚きを隠せなかった。

 けれど、彼の手から伝わってくる温もりが自分の気持ちを段々と驚きから安心へと変わっていくのが感じられた。


「二人とも、大丈夫!?」


 僕たちが仲直りしていると空から聞き慣れた声が聞こえてきた。

 すぐにお互い、握手を辞めて声が聞こえた方を見るとエメラと融合した美鈴さんが此方へと向かってきた。


「美鈴!」「美鈴さん!」


 僕たちが呼ぶと美鈴さんは翼を閉じて自分たちの近くに降り立つ。


「良かった! 勇正君、見つかったんだね!」

「あぁ」

「勇正君も大丈夫? 怪我はない?」


 陽太君と話した後、美鈴さんは僕にそう尋ねてくる。

 そうだ。彼女にも先ほどの事を謝らないと……。


「はい、大丈夫です。それより美鈴さん……」

「ん?」

「先ほどはすみません。僕……」

「いいよ。私の方こそごめんね。なんか悪い事しちゃって……」

「いえ、お気になさらずに」

「それより……」


 お互いに謝った後、美鈴さんは周りを見始める。


「ここ、どうしたの? 何かあったの?」

「あぁ、それは……」


 周りを見ながら美鈴さんがそう言うと陽太君がここで起きた事を彼女に説明し始める。


「アルジャ」

『ん? どうした?』


 そんな中、僕はアルジャの名前を呼ぶ。

 今、自分がここに居られるのはこの騎士のお陰です。

 だからこそ言わなければならない。

 もう一度、自分の決意を……。


「僕はもっとここに居たいです。そして、みんなと一緒に変わっていきたいです」

『……我は見守っていく。貴殿が変われるまでずっとな』

「ありがとう……」

「勇正、そろそろあのクラゲを回収しようぜ!」


 僕とアルジャが小さな声で話し合った後、陽太君も美鈴さんに説明が終わったのかそう提案してくる。


『ユウセイ、どうする?』


 陽太君が提案した後、アルジャがそう尋ねてくる。

 けれど、僕の中ではもうその答えは決まっていた。


「はい、行きましょう!」


 僕はその提案を受けて入れた後、ゆっくりと陽太君たちと共にクラゲのデータを回収に行く。

 これからも自分の事で悩む事はいっぱいあると思います。

 けれど、これからは一人では悩まないようにしよう。

 だって、僕には……。


 「勇正!」「勇正君!」


 自分の全てを受け入れてくれる友が居るのだから。


※※※


 陽太たちが合宿で出かけている頃。

 冷房で肌寒い部屋で一人、机の上に置いてあるパソコンを操作していた。


『また新しい機能の追加か?』


 パソコンの操作をしていると隣に置いてあるスマホから誰かの声が聞こえてくる。


「あぁ、そうだ」

『そんなに機能を増やして使いこなせるのか?』

「大丈夫だ。この機能は一般的な機能だ。すぐに使いこなせる筈だ」

『なら、いいが……それより何時まであいつを閉じ込めているつもりだ?』


 誰かがそう尋ねるとピタリとパソコンの操作を辞める。


『何時までもあのスマホの中に閉じ込めている訳にもいかないだろ』

「……心配するな。あいつから充分なデータを取ったらすぐに消去(デリート)する」

『そうか……』


 誰かとそう話した後、スマホがかすかに動き始める。

 それに気づき、スマホの方を見始める。


「何だ?」

『どうやらメールのようだな』

「メール?」


 誰かとそう話した後、すぐにスマホを取りメールを開く。

 そして、メールの内容をじっくりと読んでいく。


「何だと……!?」


※※※


 辺りにガラスなどの破片が散らばった路地裏。

 人の声とかで賑わう町とは対照的に静かで何処か不気味な感じが漂っていた。

 そんな中……。


「あぁ……退屈だ」


 一人、地面に無造作に座りながら独り言を呟いていた。

 その真正面には誰かに捨てられたテレビが埃をかぶりながら置いてあった。


「何か面白い事は無いかな……」


 そう気怠げに呟いていると突然、空から光の塊がテレビの方へと落ちてくる。

 そして、光の塊と衝突したテレビはまるで何かに取り憑かれたように画面が光り出す。


「やっと何か見つけたか……それで、どうした?」


 先ほどの出来事に全く動じず、誰かがテレビを見ながらそう言い放つ。

 すると、テレビは何かを伝えるかのように光り始める。


「……なるほどな。今は違う場所で反応があるのか。なら……」


 何かを理解した誰かはそう言った後、立ち上がる。

 そして……。


「行くしかないよな! その場所に!」


 何かを期待した表情を見せながらその場を去っていった。


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