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MONSTER UNITED 〜モンスター・ユナイテッド〜  作者: 土竜児
第七章 合宿、開始!
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シンクロ率

 日差しが一番きつくなってきた頃。

 休憩を貰った俺たちは海辺の険しい岩場を歩いていた。

 ちなみに上だけ着替えている。

 着替えたと言っても海の家のTシャツから半袖のパーカーに変えただけだが……。

 俺は電車の時に着てきた赤のパーカー。美鈴は白。勇正は黄色。

 そのパーカーのポケットにスマホだけ持ってきている状態だ。


「ねぇ、陽太君。私たち、何処に向かっているの?」

「あぁ、この先は人が滅多に来ない穴場があってな。そこに向かってるんだ」


 ごつごつした岩場を歩きながら俺は美鈴の質問に答えていく。


「じゃあ、そこで修行するんですか?」


 美鈴の質問に答えた後、今度は勇正が俺に質問してくる。

 けれど、その声はさっきの出来事を気にしているのか少し暗めだった。


「それもあるけど他にも目的もあるんだ」

「「?」」


 俺がそう答えると美鈴たちは分からない顔をしながら自分について行く。


「おっ、着いたぞ」


 やっと岩場を抜けると俺は指を指しながらそう言った。

 その指差した方を美鈴たちは見る。


「「わぁ……」」


 そこに広がっていた風景は岩場の影で隠れている小さな海岸だった。

 それを見ていた美鈴たちは感激の声を上げていた。


「どうだ? なかなかいい所だろ?」

「うん!」

「僕たちだけって言うのもなかなかいいですね!」


 どうやら美鈴もこの場所に気に入ってくれたらしく海岸を駆けまわっていた。

 さっきまで暗かった勇正も元気を取り戻したのか隣で興奮していた。


『ヨウタ、そろそろ出てきていいか?』


 美鈴たちがはしゃいでいる中、俺のポケットからグレンの声が聞こえてくる。


「あぁ、いいぞ」

『よし!』


 俺が現実世界に出る許可を出すとグレンがすぐにホログラムを使いながら出て来る。


『おぉ、ほんとにいい所だな!』

「だろ?」


 グレンもグレンで気に入ったらしく景色を見ながら飛び回る。

 それを追いかけるように俺は見ていた。


『あぁ、そうだ。ヨウタ』

「ん? どうした?」

『ヨウタたちがバイト中にまたアプリがアップデートしたぞ』

「えっ? またか?」


 グレンが俺の方を向きながらそう重要な事を言ってきた。

 その事に自分は驚きを隠せずにいた。


『あぁ。けど……』

「けど?」

『この機能は融合してみないと分からないんだ』

「えっ?」


 グレンがそう語った後、俺の頭の中は疑問で埋め尽くされた。

 どういう事だ……?

 融合しないと使えない機能って事は戦闘で使えるものなのか?


『まぁ、実際に融合すれば分かる。ヨウタ、融合だ』

「あっ、あぁ」

『ミスズたちもはしゃいでないで融合してくれ!』

「あっ、うん」

「分かりました」


 俺たちはグレンの指示通りにスマホを操作して融合していく。

 そして、皆融合した姿へと変わっていった。

 けれど……。


「何処も変わってないように見えるのは気のせいか?」


 融合が終わった後、俺は自分の体を見始めるが特に変わった所が無かった。

 一体、何が変わったんだ?


『ヨウタ、右下を見てみろ』

「えっ?」


 俺はグレンの指示通りに右下を見る。

 すると、そこには何かの数値が小さく表示されていた。


「何だこれ? 数値?」

『それが新しい機能のシンクロ率だ』

「シンクロ率?」

『あぁ。その数値で人間とモンスターがどのくらい融合出来ているのかを確認出来るんだ』

「へぇ~」

『ちなみに数値が高ければ高いほどより力を引き出せるらしい。後、数値の表示も邪魔だったらオフにできるらしい』

「なるほどな」


 グレンの簡単な説明を受けた後、俺は右下の数値をよく見る。

 すると、そこに書かれていた数値は……。


「三十一%……これが俺とグレンの数値か」

『みたいだな』

「これだけじゃ低いのか分からないな」

『確かにな』


 俺はグレンとのシンクロ率を見た後、美鈴たちの方を見始める。

 すると、美鈴たちの頭上に数値が表示されていた。


「ん? あれってまさか……」

『シンクロ率だな……なるほど。他人の奴も見れるのか』


 グレンが疑問に答えた後、俺は美鈴たちの数値を見始める。

 えっと、美鈴とエメラが二十七%で勇正とアルジャが二十三%か……。

 どうやら俺とグレンが一番高いみたいだな。


『しかし、これで強くなる方法が分かったな』

「あぁ。けど、これってどうやって上げればいいんだ?」

『そうだな……』


 この数値を高めれば俺たちはもっと強くなる。

 それは確かな事だ。

 けれど、それを上げる方法が全くっていいほど分からない。

 今までの特訓はモンスターたちの特徴を生かした戦い方を模索する事だった。

 その特訓を続けていくのが正解なんだろうか……?


『まぁ、とりあえず考えてもしょうがない。今まで通りの特訓をしていくぞ』

「あぁ」

「じゃあ、まずはおのおの成果を見せましょう!」


 俺とグレンが会話していると勇正が横から割り込んでくる。


「見せるってどうやって……?」

「決まっています。お互いに戦って見せるのです。そうすればどんな状況でも発揮出来るのか分かりますし」

「なるほどな。じゃあ、勇正。俺と……」

「じゃあ、勇正君。私と戦おうよ」

「「えっ?」」


 俺が勇正に戦う事を申し込もうとした瞬間、いつの間にか近くに居た美鈴が割り込んできた。

 そして、自分が戦うと言い出しそれを聞いた俺たちは何を言っているのか理解出来ずにいたのであった。


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