未知の生物との出会い
家の中へと入ると辺りは薄暗く埃まれだった。
何とか右手に持っているスマホのライトの光で辺りの様子は見えるが光が無かったら何も見えなかっただろう。
「しかし、何処を探せばいいんだ……」
俺の直感でこの家に居るような気がしたがはてさて何処から探してたらいいものか……。
『……だれか……いるのか……』
俺が迷っているとまたあの掠れた声が聞こえてきた。
俺は耳を澄まし、掠れた声を聞こうとする。
『お……は……ここ……よぉ……』
「あっちか……」
俺は掠れた声が聞こえてきた方へと進んでいった。
『はやくぅ……こ……にいるよ……』
掠れた声は段々と近づいているのか鮮明に聞こえるようになっていた。
そして、俺はある部屋のドアまで来た。
「この先か……」
俺は深呼吸をした後、スマホを持っていない手でドアノブを持ち回す。
ここも鍵が掛かっていなかったらしく、すんなりドアは開いた。
部屋の中に入ってみると俺の目の前に古いパソコンが一台、机の上に置いてあった。
だが、パソコンは動いてなかった。
『……み……けてくれた……』
またあの掠れた声が聞こえきたと同時にパソコンの画面がピカピカと光りだした。
俺はその光景に驚いていた。
『……お……れは……』
掠れた声がするたびにパソコンの画面がピカピカと光を放つ。
その光は眩しくなかったが俺は驚きを隠せずにパソコンを見続ける。
『ここに居る!』
声が大きくなるともにパソコンの画面は一段と光りだした。
それと同時にパソコンの画面からドラゴンみたいな影が飛び出した。
だが、俺は手で光を遮る事で精一杯だった。
光が段々と消えていくとそこにドラゴンの影は無かった。
俺の方に来たはずなのに何かに当たった感触ですら無かった。
「いったい何が起きたんだ?」
俺が不思議そうにしていると、
『助かった! ここなら回復ができそうだ!』
と俺のスマホから声がした。
俺は恐る恐るスマホの画面を覗くと傷ついた赤いドラゴンが俺のスマホに映し出されていた。
「な……何がどうなっているんだ?」
俺は頭を混乱させながらスマホの画面を見ていた。
すると、俺が見ている事に気付いたのかドラゴンがこちらを見た。
『君が俺を見つけてくれたのか。ありがとう』
スマホの画面に映っているドラゴンが手を挙げながら俺にお礼を言った。
それを見ていた俺はさらに疑問が生み出されてしまった。
なぜこのドラゴンは日本語で話しているのかとか俺に向かって喋りかけているとかそもそもこのドラゴンはなぜ俺のスマホの中に居るんだとかもう訳が分からない。
俺の頭がパンクしそうになってるとドラゴンは不思議そうにこちらを見ている。
『あれ、おかしいな……ちゃんとこの星の日本語という言語を使っているはずなのに通じてないのかな? だったら今度は英語という言語で話してみよう』
「あ、えっと通じているから大丈夫だ」
『そう? 良かった!』
スマホの画面に居るドラゴンは嬉しそうにしている。
とりあえず考えてもしょうがないので、俺は一つ一つ質問していく事に決めた。
「とりあえずお前の名前は?」
『俺の名前はバースト・ドラゴンのグレンだ』
「バースト……えっとなんだって?」
『グレンだよ。バースト・ドラゴンっていうのは俺の種族だ』
「じゃあ、グレン。お前が助けをよんでいたのか?」
『そうだ』
「お前はなんで日本語を使えるんだ?」
『そこの古いパソコンからこの星の言葉が書いてある言語データを解読して話せるようになった』
なるほど。このドラゴンは言語データを解読して日本語を話せるようになったのか。
そんな事が出来るのかはにわかに信じがたいが今はそれを前提にして話そう。
「じゃあ、次の質問。お前は何処から来た?」
『君たちでいう所の宇宙だ』
「宇宙……」
やばい。スケールがデカ過ぎて話についていけるか分からない。
「じゃあ、グレン。宇宙に居たお前が何で地球が居るんだ?」
『それは……』
さっきまで俺の質問に軽快に答えていたグレンが口ごもった。
その様子を見た俺は何か触れてはいけない所を聞いてしまったと思い、気まずくなった。
「グレン、別に答えてたくなかったら答えなくていいぞ……」
グレンには話したくない事があると察した俺はそう言ってこの場の空気を流そうとした。
俺の言葉を聞いたグレンはすこし考えた後、口を開いた。
『俺はある理由で傷ついた体がデータになり、宇宙を彷徨っていた。俺は宇宙を彷徨いながら仲間たちを探していたんだ。だが、俺の体力は段々と無くなっていき俺は消えかかっていた。その時、たまたま君たちの星である地球が見えた。それと同時に俺の体力が限界を迎え俺はそのまま地球に落ちていった。そして、気が付くとそこの古いパソコンの中に居たんだ』
グレンの話は嘘を言ってるように聞こえなかったがまだ何か隠しているように聞こえた。
けれど、俺はそれ以上聞かなかった。
そして、グレンの話は続いた。
『そこの古いパソコンのお陰で今の俺にデータを解読する力がある事が分かり、この星の言語とかは分かるようになった。けど、この中だと俺の体力は回復せず困っていたんだ。そこで俺は誰かに助けを呼ぶことにしたんだ』
「なるほど。それで助けを呼んでいる声を聞いた俺がここまで来て、そこの古いパソコンから俺のスマホの中へと移動したと」
『そういう事だ。そこで君に一つお願いがあるんだ』
「何だ?」
グレンはまた言いにくそうにしていたが決心したのか声を出して俺にこう言った。
『しばらく俺をこの中に居させてくれないか?』




