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MONSTER UNITED 〜モンスター・ユナイテッド〜  作者: 土竜児
第五章 それぞれの思い
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混じり合う夢 中編

 グレンが自分の出来事を語った後、俺は下を向きながら拳を握りしめる。

 なんだよ……。

 グレンたちは普通に暮らしていただけじゃないか……。

 それだけなのにあの侵略者のせいで仲間も故郷も無くした。

 こんなのって……こんなのって……。


「ヨウタ……?」

「こんなのってあんまりだろ!」


 俺は泣きながらそう叫んだ。

 俺の叫び声は段々と闇へと消えていく。


「グレンたちは何もしてないだろ! ただ故郷で暮らしていただけだろ!」

「ヨウタ……」


 俺が叫んでも何も現実が変わらない事は知っている。


「それなのに侵略者は何もかも奪った! 仲間も星も! 全て奪った!」


 それでも俺は叫び続ける。


「こんなのって……こんなのって……」

「ヨウタ……」

「こんなのってあんまりすぎるだろ……!」


 今、心に思っている事を叫び続けた。

 俺が叫び終わると段々と声は闇へと消えていく。

 それを聞きながら俺は息を切らしていた。

 結局、俺は悲しさのあまりただ叫びたかったのかもしれない。

 そう思うと心が痛む。


「ヨウタ、ありがとう」

「えっ……」

「俺たちの事で悲しんでくれて本当にありがとう」


 グレンがお礼を言った後、俺は涙を拭きながらそちらを向く。

 するとそこには俺たちが集めた仲間たちがグレンの周りに集まっていた。


「確かに俺たちの星は無くなった。仲間もバラバラに散らばった」


 真ん中に居るグレンが代表して語っていく。

 俺も集めた仲間たちもそれを静かに聞いていた。


「けれど、俺たちはまたこうして出会えた。これは奇跡だと思う」

「奇跡……」

「そして、その奇跡を起こしたのはヨウタ……お前だ」


 俺がそう尋ねるとグレンは真剣な眼差しでそう言った。

 俺が奇跡を起こした……?


「お前と出会えなかったら、俺はあのパソコンの中で死んでいたし仲間たちも集められなかったと思う」

「グレン……」

「ヨウタと出会えてからは毎日が楽しかった。ヨウタたちと仲間探しに行ったり、街の風景を見ながらくだらない事を話したり……そのどれもが俺の楽しい思い出だ」


 グレンは自分の記憶を思い出しながら楽しそうに語っていった。

 グレン……それは俺だって同じだ。

 友人と呼べる相手は居なくて毎日、不良扱いをされながら俺は過ごしてきた。

 その事で嫌気がさした時はいつも夜に星を見て、一人で悲しんできた。

 だけど、グレン……お前が来てから俺の人生が変わった。

 神崎や小西という友人が出来て、エメラやアルジャという仲間も出来た。

 そのお陰でどんなにくだらない事でも楽しかった。

 不良扱いはまだされているがそんな事もあまり気にせずに過ごせるようになった。

 苦い思い出でも結構あるがそれもひっくるめて楽しい思い出と言い切れる。


「俺はヨウタたちが居るこの星が大好きだ」

「えっ……」

「俺だけじゃない。エメラやアルジャ、ここに居る仲間たちもこの星が好きだ」


 グレンがそう言うと周りに居た仲間たちも同じ意見なのか頷き始める。


「だからこそ守りたい」

「守りたい……?」


 俺がそう尋ねるとグレンは少し顔を歪める。

 守りたいとはどういう事だ……?


「ヨウタ、侵略者もこの星に居るのは知っているな」

「あぁ……」

「あいつらはもしかしたらこの星を侵略するかもしれない」

「えっ……」


 俺はグレンが言った言葉の意味が分からなかった。

 けれど、段々と理解していくと俺は体から冷や汗が出始める。


「あのロボット共が地球を侵略しようとしているのか……!?」

「その可能性もある。だけど、俺たちがそんな事をさせない!」


 俺が恐る恐る尋ねるとグレンはそう叫ぶ。


「俺はこれからも仲間を探し続ける! そして、今度こそ仲間たちと共にこの星を守る!」

「グレン……」


 そこまで地球……いや、俺たちの事を守ろうとしてくれているのか。


「ヨウタ……君はどうする?」

「えっ……」


 グレンの質問に俺は戸惑う。


「何で今更、そんな事を聞くんだ……?」

「正直、今の君には手伝ってほしくない」


 俺は恐る恐る尋ねるとグレンはそう答えた。

 何でそんな事を言うんだ……。


「ヨウタ、理由が分からないみたいだな。じゃあ、その理由を教えてあげるよ」


 グレンがそう言うと俺は息を吞んだ。

 俺は何かしたのか……。

 俺がそう考えているとグレンの口が開く。


「ヨウタ……君は暴走してミスズたちを殺そうとした」

「えっ……」


 グレンの口から言われた言葉は正直、俺の理解を超えていた。


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