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MONSTER UNITED 〜モンスター・ユナイテッド〜  作者: 土竜児
第五章 それぞれの思い
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戦いの傷

「陽太君、しっかりして!」


 ミスズはそう言いながらヨウタの近くに寄り、体を仰向けにする。

 すると、ヨウタは意識を失っていた。


「おかしいです……さっき肩と腹を剣で刺されたはずに何処にも跡が無いです」


 ユウセイはヨウタの体を見ながらそう言った。

 確かにヨウタの体はあの侵略者(サイバー)に刺されたはずだ。

 その証拠に俺の体にはその傷がきっちりと残っている。


「融合していたお陰だ。モンスターの方には傷が残るが人間の方には傷が残らない」


 そう言いながら謎の人物がヨウタの元へたどり着く。

 なるほど……そう言う仕様になっているのか。

 だから、俺の体に傷が残っているのか。


「だが、もし刺された状態で融合が解けていたら刺された所から血が噴き出して傷になっていただろうな」


 謎の人物はそう言いながらヨウタの体をじっくりと見ていた。


「この様子だと一ヶ月くらいは意識不明だな。疲労の方はモンスターも人間も残るのは知っているだろ」

「一ヶ月!?」

「そんなに目覚めないんですか!?」


 ヨウタの容態を見ながら謎の人物がそう言うとミスズたちは驚いていた。

 一ヶ月……そんなにヨウタは目覚めないのか。


「あんな無茶な融合をした影響だ。しかし、それは僕としても困る。だから……」


 謎の人物がそう言うと体が光に包まれていく。

 そして……。


『UNITE CHANGE! IMMUNO SLIME!』


 スマホの電子音声ともに謎の人物が露になっていく。

 謎の人物の体は全体的に水色のゲル状になっていた。上半身は人の姿をなんとか保っているが下半身はもうゲル状で足が何処にあるか分からない。頭や肩には宝石のようなもので覆われていた。

 融合した後、謎の人物は右手から自分と同じ色のゲルを出す。


「何をするの!?」


 謎の人物が不審な行動をしていると、ミスズはそう言いながらヨウタを庇うように身構えていた。

 ユウセイもユウセイで警戒しながら謎の人物を見ていた。


「イムノ・スライムは免疫を作り出す事が出来る。そうして、毒の免疫を作ったりして自分の身を守るスライムだ」


 謎の人物は簡単にイムノ・スライムの生態系を話しながら、右手から出したゲルを投げては取る行動を繰り返す。

 すると、段々と右手のゲルが大きくなっていく。

 そして、手で持てる限界まで大きくなると謎の人物はゲルをヨウタの方へと投げる。


「きゃ!」「わぁ!」


 そのゲルはヨウタだけじゃなくミスズたちにも掛かる。

 すると、ゲルはヨウタたちの体に吸い込まれていく。


「僕たちの体に吸い込まれていく……?」

「何……? ちょっと気持ち悪い……」


 ミスズたちはゲルが体に吸い込まれていくのを見ながら愚痴をこぼす。


「その免疫は疲労回復を助けてくれる効果がある。このスライムはこうゆう風にいい作用を起こす免疫も作り出す事が出来る」


 謎の人物が説明している内にゲルはヨウタたちの体に全部、吸い込まれていった。


「これで少しは早く目覚めるだろ。後は病院に行け」

「……うん、分かった。色々とありがとうね」

「お礼を言われる事を僕はしてない」

「あの……一つ、お伺いしたいのですがよろしいですか?」


 謎の人物とミスズが話しているとユウセイが割り込んでくる。


「……何だ?」

「あなたが僕たちにこのアプリを渡した人なんですか?」

「……」


 ユウセイの質問に対して謎の人物は何も答えなかった。

 何も答えないという事はこいつがヨウタたちにアプリを渡した奴なのか?

 すると、黙っていた謎の人物がため息をついた。


「出来ればもう少し隠したかったがこんな状況じゃ仕方ない。そうだ。僕が君たちにこのアプリを渡した」


 謎の人物はため息をついた後、自分がヨウタたちにアプリを渡した奴だと認めた。

 こいつがヨウタたちに力を与えた奴……。

 じゃあ、こいつがいつも俺たちのサポートしてくれていたのか……。


「なんで、僕たちに渡したんですか? それに——」

「おっと。君はさっき、質問は一つだけと言ったはずだ。これ以上は答えない」


 謎の人物は右手を前に出しながらそう言った。

 ユウセイは謎の人物にそう言われると黙ってしまう。


『だったら、俺の質問に答えてくれ……』


 俺は必死に声を上げながら謎の人物にそう言った。

 俺はユウセイと違った点で気になる事がある。


「何だ? バースト・ドラゴン?」


 どうやら謎の人物は俺の質問に答えてくれそうだ。

 じゃあ、遠慮なく……。


『お前、ヨウタの体を気遣いながら戦っていただろ……?』

「えっ……」「うそっ……」


 俺の質問にミスズたちは少し声を上げる。

 どうやらミスズたちには分からなかったようだ。


『ヨウタと戦闘中、お前は高速で攻撃した時があったな。あの時、お前はヨウタが膝をついた瞬間に辞めた。あのまま辞めなければヨウタを倒せた筈だ。どうしてだ?』

「……」


 まだ、白を切るつもりでいるな。

 だったら、こっちもまだ行くぞ。


『他にもある。ヨウタがティラノと融合した時だ。お前は剣の衝撃波で岩を真っ二つにして、その後に尻尾で粉々に切り裂いた。だけど、これっておかしいよね? 尻尾で岩が切れるのにわざわざ衝撃波で岩を真っ二つにして、威力を弱めながらヨウタに攻撃を当てた。これはどういう事だ?』

「「あっ……」」


 俺の意見にミスズたちもおかしい点に気づいたようで相槌を打つ。


「だけど、グレン。最後の爆発はどう見ても陽太君の体を気遣ってした事には思えないんだけど……」

『いや、あれもヨウタの体を気遣ってした行動だ』

「えっ……どう言う事?」

『あの行動はヨウタの融合を解くためにやったんだ。さっき俺が言っていた行動はヨウタの体を気遣って攻撃をしたのと同時にどのくらいダメージを与えれば融合を解けるのか探っていたんだ』


 俺はさっきの戦闘をミスズに簡単に説明する。

 そして、俺は話を続ける。


『結果、大ダメージを与えるしか方法は無いと考えたんだろ。違うか?』

「……さぁね。それは想像に任せるよ」


 謎の人物は顔を背けながらそう言った。

 こいつ、前々から思っていたけど素直じゃないな……。


「質問はそれだけか? なら、今度はこちらから言いたい事がある」


 謎の人物は改めて俺たちの方を見ながらそう言った。

 急にどうしたんだ?


『何だ?』

「バースト・ドラゴン……君は天道寺 陽太と融合している本来の力を出せてないだろ」

『えっ?』


 謎の人物は俺にそう言い放った。

 確かに融合している時は基本、ヨウタに合わしている。


「バースト・ドラゴンだけじゃない。ウィンド・フェニックスにクロス・ナイト。君たちも本来の力を出し切れていないだろ」

『それは……』

『……』


 謎の人物は俺だけじゃなくエメラやアルジャにも尋ねる。

 謎の人物の言う通り、エメラたちもミスズたちに合わしている。


『それがどうかしたんだ?』

「君にだって分かっているだろ。これからの戦いはこれ以上に厳しくなる。もしそんな戦い方をしていたら……」


 俺がそう尋ねると、謎の人物はそう答えながら右手にまたゲルを作り出していた。

 そして……。


「確実に死ぬ」


 謎の人物はそう言いながら右手のゲルを握りつぶした。

 その行動はまるで俺たちの未来を予知しているようだった。

 それを見ていたミスズたちは息をのんだ。


「そして、神崎 美鈴並びに小西 勇正」

「「はっ、はい!」」


 謎の人物はミスズたちを呼ぶ。

 ミスズたちは突然、名前を呼ばれた事に驚く。


「君たちは仲間が大変な事になっているのにただ見ていた。それだけ言えば君たちなら分かるはずだ」

「「……」」


 謎の人物がそう言った後、ミスズたちは黙ってしまった。

 黙ったのはミスズたちも自分たちがしてしまった事に自覚があるからだと思う。


「まぁ、侵略者を殺そうとした時に止めに入ったのは上出来だ。ただ今のような事態に体が動けないんだったら……」


 謎の人物はそう言いながら背を向ける。

 そして……。


「二度とこの件には関わらない事だな」


 謎の人物はミスズたちに無情にもそう言い放った。


『ちょっと待ってください! それは言い過ぎでは——』

「エメラ、いいの! 本当の事なんだから……」

「美鈴……」


 エメラの話に割り込んできた美鈴はヨウタの体を見ながら耐えていた。

 小西も小西で上を向きながら耐えていた。


「バースト・ドラゴン、俺の代わりに言ってくれ。こんな無茶な戦いをやるんだったら、二度とこの件には関わるなって」

『……あぁ、分かった』

「じゃあ、僕は行く。今度会う時はもう少しマシになっている事を祈るよ」


 謎の人物はそう言った後、体が光に覆われる。

 そして、


『UNITE CHANGE! SAVIOR LIGER!』


 スマホの電子音声とともに白い鎧に戻っていく。

 白い鎧に戻った後、謎の人物は爆発で出来た穴に飛び込む。

 けれど、何かを抱えながらすぐに地上に戻ってくる。

 何を抱えていたのかはよく見えなかったが恐らくヨウタが倒した侵略者だと思う。

 あの穴の中にはそれ以外無いのは分かり切っている。

 あの侵略者で何をするかは分からないが謎の人物が俺たちの敵じゃないという事は今日の戦闘ではっきりと分かった。

 だから、あの侵略者で俺たちに危害を加える事は恐らく無いだろう。

 侵略者を抱えながら穴から出てきた謎の人物はそのまま森へと消えていった。

 こうして長い戦いの幕は静かに閉じていった。

 皆、なんとか生き残れたがそれぞれが違う傷を残した。

 しかし、あんな事があったのに空には一番星が輝いているのも皮肉なもんだな。

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