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ウミガメの救出

「所でグレン……どうやってウミガメを助けるんだ?」


 俺は空を飛びながらグレンにウミガメの救出方法を尋ねる。


『あのトータスをダウンロードする! そうすればブラストカノンも手を出せない!』

「なるほどな」

「陽太君! じゃあ、私たちはドラゴンの気を引いてくる!」


 グレンに救出方法を聞いた後、隣で飛んでいる神崎がそう叫ぶ。


「あぁ、気をつけてな!」

「うん! 陽太君も気をつけて!」


 神崎はそう言った後、ドラゴンの方へと飛んでいく。

 神崎を見送った俺は急いでウミガメの所に向かった。


「大丈夫か?」


 ウミガメの所にたどり着いた俺は翼を閉じて地面に降りる。

 傷だらけのウミガメは俺の姿を見て少し怯える。

 どうやらこいつは暴走していないみたいだ。


「大丈夫だ。怖がらないでくれ。俺はお前の敵じゃない」


 俺はそう言いながらウミガメに手を伸ばす。

 ウミガメは俺の様子を見て分かってくれたのか俺の手に頭を摺り寄せる。

 こんな状況なのにその仕草が俺は嬉しく思えた。


『ヨウタ! 早くダウンロードしないとあいつが襲ってくるぞ!』

「分かった……って具体的にどうすればいいんだ? いつもだったら光の塊になればダウンロードできるんだが……」


 俺がそう悩んでいると……。


「陽太君、逃げて!」


 神崎の叫び声が聞こえてきた。

 その声に思わず俺は後ろを向く。

 するとドラゴンが俺の目の前まで来ていた。


「やばっ!」


 俺がウミガメを庇おうとしたその時——。


『UNITE CHANGE! IRON GOLEM!』


 スマホの電子音声が周りに響く。

 電子音声が聞こえた方を見てみると、そこには小さな銀色の鎧がドラゴンを抑え込んでいた。


「天道寺君、大丈夫ですか?」

「その声は小西!? まさかその姿って?」

「そうです! ゴーレムと融合した姿です!」


 小西の姿は相変わらず小さいがもはやあの鎧がそこに居ると思うぐらい姿は一緒だった。

 違う所といえば口元が覆われてない所だ。

 鎧系統のモンスターは融合しても同じような姿になるのか……?


「ここは僕が押さえています! 早くウミガメをお願いします!」

「あっ、あぁ、分かった」


 小西にそう言われた後、俺は急いでウミガメをダウンロードをしようとする。

 だが、どうやってもダウンロードは出来なかった。


「くそっ! どうしたら……」

『ヨウタ! トータスが何かを伝えようとしているぞ!』

「えっ?」


 俺が焦っているとグレンがそう言った。

 俺がすぐにウミガメの方を見ると、確かにグレンの言う通り何かを伝えようとしていた。


「何を伝えようとしているんだ?」

『お前……まさかブラストカノンを救いたいのか?』

「えっ……?」


 グレンがそう言った後、俺は改めてウミガメを見る。


「お前、あのドラゴンを救いたいのか?」


 俺もグレンと同じ事を尋ねるとウミガメは何も言わなかった。

 けれど、こいつの目はそう訴えてるようだった。


「……分かった。だけど、その役は俺が引き受ける。だから、安心してくれ」


 俺がそう言った後、ウミガメは理解したのか目を閉じる。

 そして、いきなりウミガメの体が光りだす。


「な、なんだ!?」


 俺が驚いているとウミガメの体は段々と光の塊になっていった。


「何もしてないのに光の塊になった……」

『これはゴーレムの時と似ているな。あの時は願いを叶えたら光の塊になったからな』

「だけど、今回は何も叶えていないぞ」

『恐らく俺の仲間がヨウタたちを信用しても光の塊になるんじゃないか? そうじゃないと説明がつかない』


 グレンが説明した後、俺は改めて光の塊を見る。

 この光の塊が俺たちを信用してくれた証だと思うとちょっとだけ嬉しい気持ちになる。


『それよりヨウタ! 早くトータスをダウンロードするんだ!』

「あぁ、分かった」


 俺は光の塊に手を差し伸べる。

 光の塊に触れると俺の体に光が吸収されていく。


『バブル・トータスのデータをDOWNLOAD中、バブル・トータスをDOWNLOAD中……』


 俺の頭の中でスマホの電子音声が聞こえてくる。

 そして、またゲームで宝を手に入れたような音楽が聞こえてきた。


『バブル・トータスのデータがDOWNLOADされました』

「よし! 小西、終わったぞ!」


 頭の中でスマホの電子音声が聞こえてきた後、俺は小西の方を向きながらそう叫んだ。


「分かりました! じゃあ、そろそろ反撃しますね!」

「えっ?」

「よっと!」


 小西があの重そうなドラゴンを軽々と持ち上げた。

 そして、


「それ!」


 そう言いながら小西はドラゴンを前へと投げ飛ばした。


「す……凄い……」


 小西がドラゴンを投げた光景を俺は後ろで呆然と見ていたその時だった。


「————!」


 投げ飛ばされたドラゴンが叫び始める。

 そして、キャタピラから炎を噴射させながら上手く体制を整えて地面を降り立つ。


「あいつ、あんな事も出来るのか……」

「意外に厄介ですね」

「二人とも、大丈夫?」


 空から神崎が俺と小西の元へ降りてくる。


「俺たちは大丈夫だ。神崎、お前は大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ」

「天道寺君! 神崎さん! ドラゴンが!」


 小西が叫びながらドラゴンを指差す。

 俺と神崎はすぐに指差した方を見る。

 するとドラゴンが左手で右手のカノン砲を押さえながらこちらへと向けている。


『まずい! 皆、逃げろ!』


 グレンがそう叫ぶとドラゴンが一気に力を貯めてカノン砲から弾丸を発射する。

 その反動でドラゴンは少し後ろに下がる。


「やばっ!」


 俺たちはドラゴンの弾丸をそれぞれ避ける。

 放った弾丸は何とか避けられたが俺たちから少し離れた地面に着弾し爆発が起きる。

 それと同時に爆風が周りに吹き抜ける。


 「「うわあああああぁぁぁ!」」「きゃあああああぁぁぁ!」


 俺たちは爆風に巻き込まれてそれぞれ散り散りになった。

 そして、俺は地面に転がっていく。


「いっつつつ……皆、大丈夫か?」


 俺は頭を押さえながら地面を転がった体を起こす。

 そして、土埃が舞う中から仲間を探していると神崎が俺の近くで倒れていた。


「神崎!」


 俺はすぐに神崎の元へ走っていく。

 すると、神崎も気が付いたのか体を起こそうとする。


「大丈夫か?」

「うん。だいじょう——」


 俺の質問に答えようとしていた神崎が口ごもる。


「どうしたんだよ?」

「なにあれ……」


 神崎は一心不乱に何かを見つめていた。

 俺も神崎が見ている方を見る。

 最初は土埃であまり見えなかったが段々と晴れていく。


「おいおい嘘だろ……」


 土埃が晴れて見えたのはさっきまで見ていた何もない広い荒野ではなく、隕石か何かが降ってきたかのような大きなクレーターの穴だった。


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