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MONSTER UNITED 〜モンスター・ユナイテッド〜  作者: 土竜児
第三章 仲間を追い求める者
21/66

アップデート

「貴方がさっきの声の持ち主……」


 小西は自分のスマホを見ながら、驚きを隠せないみたいだ。


『貴殿、名前は?』

「あっえっと、小西 勇正と申します」


 名前を聞かれた小西はスマホの中に居る奴に自己紹介をする。

 普通に日本語が話せる辺り、何処かに書かれている言語データを解読して習得したんだと思う。

 解読しないでデータを食べていたら暴走して普通に話せなかっただろう。


『勇正か……いい名前だ! それではともに救おう!』

「あのどうやってですか?」

『分からん!』

「えっ?」


 小西のスマホからアルジャがそう言った後、俺たちは理解できずに黙ってしまった。

 何か策があって小西のスマホに飛び込んできたんじゃないのか……?


「あの失礼ですが何か考えがあって僕に力を貸すって言ったんじゃないですか?」

『そこの人間たちが我が仲間とともに融合していたのを見て、我も人間と一緒になれば融合できると思ったのだが違うのか?』

「僕たち、人間にそんな力はありません!」


 俺は小西とアルジャのやり取りを見て呆れていく。

 なるほど……。

 俺たちの事を見て、自分も人間と一緒になれば融合できると思ったのか……。



『アルジャ! 聞こえるか?』


 下に落とした俺のスマホからグレンの声が聞こえてきて、アルジャを呼ぶ。


『その声はグレン殿! 懐かしいな!』

『確かにな……ってそうじゃない! アルジャ、確かに彼の力は必要だがMONSTER UNITEDっていうアプリが必要なんだ!』

『なんとぉ! そうだったのか!』


 アルジャの驚きの声が小西のスマホから聞こえてくる。


「どうするんですか!? このままだとどちらも救えないですよ!?」

『うむ、どうするか……ん? 勇正のスマホに何かダウンロードされてるぞ?』

「えっ?」


 小西はアルジャの声を聞き、再びスマホをよく見る。


「このアプリは!? 天道寺君、これで行けますか!」

「えっ?」


 驚きを隠せない小西が自分のスマホを俺の方へ見せてくる。

 すると、スマホの中に銀色の騎士が居るのとあのアプリがダウンロードされているのが見えた。


「嘘だろ!? なんで!?」

「どうやらこのアプリみたいですね。アルジャさん、行きますよ」

『アルジャでいい! 行くぞ!』


 小西は俺にあのアプリを見せた後、鞄を下に置いてスマホを操作する。

 そして……。


『UNITE ON! CROSS KNIGHT!』


 スマホの電子音声とともに小西の体が光に覆われていく。

 そして、段々と光が消えていくと小西の体が露になる。

 右手には剣。左手には赤い十字架のマークがある盾。全身は銀色の鎧に包まれていた。


「これがアルジャの力……」

『これだったら我が友も我の事が分かるはずだ』

「えっ!? なんでアルジャの声も聞こえてくるの?」


 小西とアルジャが感激していると、神崎がそう言いながら驚いていた。

 確かに神崎の言う通り前までは自分と融合したもしくは自分のスマホ内のモンスターの声は周りには聞こえなかったはずだ。


「どうなってるんだ……?」

『ヨウタ! どうやらアプリがアップデートされたみたいだ!』

「アップデート!?」

『どうやらさっき融合が解けたのはアップデートによる影響らしい。そして、幾つか調べてみたら機能が追加されていた。その機能の一つが融合した姿になっても周りの奴に俺たちの声を聞こえるようにする機能だ』


 俺が疑問に思っている事をグレンが簡単に説明してくれた。


「なるほどな。だから、アルジャの声が聞こえてきたのか……ん?」


 俺がそう言っていると鎧がゆっくりと降ろしてくれた。

 そして、鎧は小西の方を見る。


「陽太君! 怪我はない?」


 俺が床に降ろされると神崎が心配してやってきた。


「神崎、俺は大丈夫だ。何故だがこいつに掴まれてもそんなに痛くなかった」

「そう。良かった」


 俺の大丈夫そうな声を聞いた後、神崎はほっとしていた。


『ヨウタ、早く俺を拾ってくれ!』

「あぁ、分かったよ」


 俺は下に落としたスマホを取った後、鎧の方を見る。


「あいつ、なんで俺を捕まえたんだ?」

『恐らくですが陽太様とグレンの融合した姿を見て騎士団の仲間だと勘違いしたのでしょう』

「騎士団?」


 俺の疑問にエメラがそう答えると、神崎が知らない言葉に反応する。


『騎士団は私たちの星で弱き者を助け悪しき者を成敗する団体でした。アルジャもこの子も騎士団の一員だったんです』

『我が友よ、我だ! アルジャだ!』


 エメラが騎士団の説明をした後、アルジャが自分の名前を叫んだ。

 しかし、何故か日本語で話している。

 焦って言語を間違えたか……?


『我は貴殿の近くに居たのに何も出来なかった。その事は済まなかった。これからは貴殿と一緒に他の騎士団の連中を探そう。だから、一緒に来てくれないか?』


 鎧はアルジャの話をじっと聞いていた。

 しかし、日本語で話しているので通じているのかは怪しい。

 すると、アルジャと融合した小西の体が動き出して剣を盾に収める。


「僕に何ができるかは未だに分かりません。ですがこれだけは分かります。僕も貴方を救いたい。だから、一緒に来ませんか?」


 小西はそう言った後、鎧に手を差し伸べる。

 鎧はその差し伸べた手をじっと見た後……。


『□〇×+……』

「えっ?」


 小西に何かを言って、光の塊になっていった。


「何もしてないのに光の塊になった?」

『どうやら実体化(リアライズ)できるだけのエネルギーを使い果たしたようだ。それと同時にあいつはユウセイとアルジャについて行く事を決めたようだな』


 俺の疑問にグレンが説明してくれた。

 そして、小西が光の塊に触れると光が段々と体に吸収されていく。


『あいつが本当に求めていたのは近くで戦い笑いあっていた騎士団の奴らだったのかもしれないな』


 グレンがそう言った後、鎧のデータがダウンロード完了したのか小西は下に置いてあった鞄を持ってこちらへ近づいていく。


「天道寺君、神崎さん。聞きたい事があります。いいですか?」


 小西の顔は兜に覆われて見えなかったが真剣な顔して俺と神崎に問いかけてきているのは分かった。


「……仕方ないか。ちゃんと話すよ」

「ありがとうございます」

「そこに誰か居るんかの?」

「「「『『『!?』』』」」」


 確かに俺たちがそう話していると、誰かがライトを照らしながらこちらへ向かってくる。


「まずい! 早く隠れないと!」

「隠れるって何処に隠れればいいの?」


 神崎の言う通りこの部屋には何処にも無い。

 どうするか……。


『ヨウタ、監視カメラだ! 融合して監視カメラに飛び込むんだ!』

「その手があったか!」


 俺と神崎は急いでアプリを開き、UNITE ONの文字を押す。

 そして、融合した姿になっていく。


『じゃあ、先に私たちが行きます。美鈴、行きますよ』

「うん」


 神崎は監視カメラに狙い定めながら光の塊になっていき、監視カメラに飛び込んだ。


「えっ? えっ? 何が起きてるんですか?」


 小西は神崎の行動を見て混乱していた。


「小西、状況が分からないかもしれない今は逃げるのが最優先だ」

『アルジャ、ユウセイのサポートをしてやってくれ』

『御意』


 アルジャがサポートしてくれたのか小西の体が段々と光の塊になっていく。


「えええええぇぇぇ!? 僕の体が!?」

『勇正よ。今は分からないかもしれないが今は監視カメラに飛び込め!』

「分かりました!」

『切り替えはやっ!』


 アルジャに切り替えの速さを突っ込まれながら小西は監視カメラに飛び込んでいく。

 その様子を見た後、俺も光の塊になって監視カメラに飛び込んでいった。


『なんとか見つからずに済みそうだな』

「誰もおらんのぅ……」


 俺が光の塊から段々と融合した姿に戻っていくと誰かの声が聞こえてきた。

 俺たちがモニターを見ると映っていたのは館長さんだった。


「おや、鎧が……」


 館長さんは鎧が飾られていない事に気付くと置いてあった場所へと歩いていく。


「そうか……仲間の所に行ってしまったか。良かったな……」


 モニターに映っていた館長さんは満足げにそう言った。

 その様子を見ていた俺はやって良かったと心から思えた。

 そして、俺たちはそのまま博物館の外に出ていた。


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