予想外の出来事 後編
「えっ? 何で?」
「て、天道寺君!?」
元に戻った俺の姿を見て小西は驚きすぎて声が裏返ってしまった。
しまった……見られた!
「いたっ!」
「えっ!?」
突然、監視カメラの方が光りだして声が聞こえてきた。
鎧の隙間から俺は監視カメラの方を覗く。
すると、エメラと融合した姿が解けた神崎が尻もちをついていた。
「いたたた……何なの?」
「神崎さん!?」
「えっ? 陽太君に勇正君!? えっ、何で!? 陽太君、融合が解けているの!?」
神崎もこの状況を理解できずに混乱しているようだ。
「神崎、お前も解けているぞ!」
「えっ……? えええええぇぇぇ!?」
神崎は自分の手足を見た後、顔を片手で触りながら叫ぶ。
「しかし、どうなってるんだ!?」
『ヨウタ、大変だ!』
俺たちが混乱していると手に持っていたスマホからグレンの慌てた声が聞こえてきた。
おれはすぐにスマホを見る。
「どうしたんだ!?」
『アプリが使えない状態になってる!』
「えっ!?」
グレンがそう言った後、俺はすぐにあのアプリを見る。
するとグレンの言う通り、アプリが少し黒く染まっていて押しても使えない状態になっていた。
「もう何なんだよ!?」
「天道寺君、前!」
「えっ?」
小西がそう叫んだ後、俺は前を向く。
すると、鎧が両手で俺の体を掴もうとしていた。
「ぐっ!?」
「陽太君!」「天道寺君!」『ヨウタ』『陽太様!』
俺は鎧に掴まれて持ち上げられた。
その時に俺はスマホを下に落としてしまった。
「くっ、離せ!」
俺は必死に鎧の手から逃れようとする。
けれど、どうあがいても逃がれられなかった。
「やめてください!」
俺が必死にあがいていると小西が鎧の足を掴んできた。
「小西、やめろ! 早く逃げろ!」
「勇正君、逃げて!」
俺や神崎が逃げるように叫ぶが小西は逃げようとしなかった。
「僕には……」
「えっ?」
「……僕には天道寺君や神崎さんのような力はありません。けれど、友達が助けを求めているなら僕は逃げすに助けにいきたいです!」
「小西……」「勇正君……」
小西は鎧の足を掴みながら自分の気持ちを俺たちに伝えた。
「それにこの子も救いたいです! 僕はその為にここに来たんです! この子を仲間の所に連れていってあげたいです!」
『貴殿の考えは分かった』
「「「『『えっ!?』』」」」
小西がそう叫ぶと何処からか声が聞こえてきた。
その声が聞こえてきた事に俺たちは驚きを隠せなかった。
『我も我が友を救いたい。だが、どうしても我の力だけじゃ救えない』
「何処だ!? 何処に居るんだ!?」
俺たちは何処から声が聞こえてきたのか探す。
すると神崎の後ろの監視カメラがピカピカと光っていた。
『貴殿が望むなら我が力を貸そう。さぁ、どうする?』
監視カメラから小西に問いかけてくる声が聞こえてくる。
「……いたい」
『聞こえない! もっと大きな声で叫べ!』
「僕は皆を救いたい! だから僕もその力が欲しい!」
監視カメラの問いかけに対して小西はそう叫んだ。
『そうか。ならば一緒に救おう。我が友を!』
監視カメラの方から光が出てきて、小西のバッグへと飛んでいった。
「えっ? 何ですか?」
小西はそう言いながら鎧の足を離して鞄の中を見る。
すると、スマホの画面が光っていた。
小西は恐る恐る光っているスマホを取り出し、画面を見る。
『我が名はアルジャ。クロス・ナイトのアルジャ。さぁ、我が友を救おうぞ!』
小西が画面を見た瞬間、スマホからアルジャと名乗る声が周りに響いたのであった。




