予想外の出来事 前編
「小西……!? なんでここに居るんだ……!?」
「それもそうだけど陽太君、ここの部屋ってあの鎧が飾られている部屋だよ!」
「えっ!?」
神崎がそう言った後、俺は慌ててモニターの映像を見る。
確かに神崎の言う通り、小西が居る場所はあの鎧が飾られている部屋で間違いないようだ。
「何でよりによってあの部屋に居るんだ!?」
『分からないがこのままだとユウセイが危ない!』
「分かってる! グレン、あの部屋まで行くぞ!」
『あぁ!』
「陽太君、ちょっと待って!」
俺が小西の所に行こうとすると神崎が止めに入った。
「神崎、何で止めるんだ!?」
「ここで映像に関するデータを壊してから行かないと私たちの姿が監視カメラで収められちゃう」
「あっ……」
確かにこのまま小西の所へ行ったら俺たちの姿が監視カメラに映されてしまう。
ここで映されてしまったら俺たちの今までの行動が水の泡になる。
『ヨウタ、ミスズの言う通りだ! 早く映像に関するデータを探してユウセイの所に行くぞ! データの塊みたいなものがこの空間にあるはずだ!』
「分かった!」
俺たちは映像に関するデータを探す。
この広い空間の中でデータを探すのは一苦労だ。
探している間にも時間は一刻一刻過ぎていく。
「くそッ! 見つからない!」
「陽太君、見つかったよ!」
「何!? 本当か!?」
俺は急いで神崎の所に向かう。
すると神崎の横にデータの塊みたいなものがあった。
「これが映像に関するデータか!」
「うん。でもパスワードが掛かっていて触れないの。どうしよう……」
神崎がそう言った後、俺はデータの塊の方を見る。
すると、データの塊の周りに薄い透明な壁が張られていた。
「なんだ? この透明な壁?」
『それはパスワードが掛かっている証拠だ。パスワードが掛けられているデータはこうゆう風に透明な壁が張られているんだ』
「なるほどな……こうして守っているのか」
俺はそう言いながら透明な壁に触る。
壁を触った感じ、何か衝撃を与えれば壊れそうだ。
すると、俺の目の前にパスワード入力画面が現れる。
けれど、これは困った。
このデータのパスワードなんて俺たちが知る訳がない。
この空間を探せばパスワードのヒントがあるかもしれないが今は一刻の猶予も無い。
だったら……。
「神崎、そこから少し離れてくれ」
「えっ?」
俺は少し後ろに下がった後、大きく息を吸い込み空気を貯める。
そして、神崎が少し離れた所に行った事を見計らって透明な壁に炎を吐き出した。
だがしかし、透明な壁は壊れる処か傷一つつかなかった。
『ヨウタ、それじゃ駄目だ! パスワードの掛かったデータはパスワードを解かないと駄目なんだ』
「畜生……急いでいるのに……」
俺が炎を吐き出すのを辞めたその時だった。
「うわあああああぁぁぁ!」
「「『『!?』』」」
小西が映っているモニターから叫び声が聞こえた。
叫び声を聞いた俺たちはすぐに小西が映っているモニターを見る。
すると鎧が動き出していて小西を襲おうとしていた。
「まずい! グレン、あの監視カメラの電脳空間に行く道を教えてくれ!」
『ユウセイが映っているモニターに突っ込めば監視カメラの空間に出られるはずだ!』
「よし! 行くぞ!」
「あっ、陽太君!」
俺は翼を広げて小西が映っているモニターに急いで突っ込む。
そして、俺はあっという間に監視カメラの空間に着いた。
「この後はどうすればいいんだ?」
『そのままモニターに突っ込め! 後は俺がサポートする!』
グレンがそう言った後俺の体が光の塊になっていく。
そして、そのままモニターに突っ込んでいった。
「よし、出られた!」
俺が監視カメラから出ると体が段々と光の塊からグレンと融合した姿に戻っていく。
そして、周りを見回すと奥の方で鎧が座り込んでいる小西に手を伸ばしていた。
「まずいッ!」
俺は急いで巨大な鎧の所へ飛んでいった。
そして、翼を閉じながら鎧の目の前に立つ。
「やめろ!」
俺はそう叫ぶと言葉が通じたのか巨大な鎧の動きが止まった。
動きが止まった事に俺は少しほっとした。
「あああなたはこの前のあああかいよよよろい!?」
そんな中、小西は俺を見て驚きを隠せなかったみたいだ。
「今すぐこの場から逃げろ!」
俺は小西の方を向きながら逃げるように言った。
「でででも……」
「でもじゃない! 早く逃げろ!」
俺が小西に逃げるように催促したその時だった。
『UNITE OFF』
「えっ?」『ん?』
突然、スマホの電子音声に聞こえてきてグレンと融合した姿が解除される。
俺はその状況を理解できずにいた。




