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MONSTER UNITED 〜モンスター・ユナイテッド〜  作者: 土竜児
第三章 仲間を追い求める者
18/66

侵入

「とは言ったもののどうするか?」


 俺と神崎は小西と別れた後、博物館の近くであの巨大な鎧をどうするか考えていた。

 あの博物館には監視カメラがある。

 つまり俺たちの姿が映像を撮られる可能性がある。

 しかもあの鎧が飾られている部屋は今日見た限り数か所監視カメラがあって全体的に映している。

 あの館長さんだったら俺たちの姿を見ても何も言わずに居てくれそうだが他の職員とかは噂を流す可能性もある。


「本当、どうしようね……」


 神崎もどうするか考えていると……。


『方法ならある』


 スマホの中のグレンはそう言う。


「本当か? グレン」

『俺に任せて。とりあえず人が居なくなるまで時間を潰してくれ』


 俺たちは博物館に人が居なくなるまで時間を潰していた。

 潰している時間は家族に遅くなるって電話したりファミレスで飯を食べたりしていた。

 そして、時間が経過した。


『よし、いいな』

「グレン、どうするんだ?」

『ヨウタ、ミスズ。融合だ』

「えっ、何で?」

『いいから』


 俺と神崎は近くの茂みに隠れながら鞄を置き、アプリを開きUNITE ONを押す。

 そして、融合した姿になる。


「んで、これからどうするんだ?」

『電線を使って博物館に侵入する』

「電線を使って博物館に侵入する?」

『忘れたか? 俺とエメラは電子機器類を移動できる。それは電線も例外じゃない。電線は道になっていて機械類に繋がっていればそこから出られる。つまり電線から博物館に侵入するぞ』


 なるほど。

 その能力を使って博物館に侵入していくのか。

 それなら誰にもバレずに済みそうだ。


「グレン、何て?」


 神崎が俺とグレンの会話を聞いてきた。

 融合している間はグレンの声は俺にしか聞こえない。

 ちなみに今、神崎と融合しているエメラの声は俺には聞こえない。


「グレンとエメラの能力で電線や電子機器類を移動できるからその能力を使って博物館に侵入するって」

「なるほどね……ん? ちょっと待って?」

「ん? 神崎どうした?」

「その能力を使えば今までの交通費とか浮いたんじゃないの?」

「あっ……」


 神崎の言った一言で俺たちのテンションが下がった。

 確かに移動手段に空を飛ぶというのは俺も神崎も考えていた。

 だが、空を飛ぶと誰かに見られてしまうリスクがあるので戦闘以外で極力使わない事にした。

 しかし、この能力を使えば誰にも見つからないで移動できる。

 俺たちにとってもっと早く知るべき能力だったのは確実だ。


「とりあえず神崎、行こう……」

「えぇ、そうね……」


 俺たちはテンションが下がりながら博物館に侵入する事にした。

 これからはこの能力を使って移動しよう……。


「じゃあ早速行くか……。グレン、サポート頼む」

『分かった』


 俺は茂みに鞄を隠した後、近くの電線に狙い定めて光の塊になっていく。

 そして、俺はそのまま電線に突っ込んでいった。


『ヨウタここが電線の中だ』


 光の塊からグレンと融合した体に徐々に戻っていくと果てしない真っ直ぐな明るい道が見えた。


「ここが……って俺の体、浮いている!?」

『大丈夫だ。落ちたりはしない。この空間は無重力になっているんだ』


 俺の体が浮いている事にグレンが簡単に説明してくれる。


「ここが電線の中なの……って浮いてる!?」


 少し遅れて神崎も俺と同じ反応をしながら電線の中に入ってきた。


『ミスズも来た事だしヨウタ行くか。俺がサポートするから泳ぐように移動してくれ』

「あぁ、分かった。神崎、泳ぐように行くぞ」

「あぁうん。分かった」


 俺たちは果てしない道を泳ぐように進んでいく。

 そして、進んでいくと広い空間に出る。


「ここは妙に広い空間だな……」

『ここはもう博物館の中だ』

「博物館の中!?」

「えっ、もう博物館の中なの!?」


 俺たちは自覚がないまま博物館に侵入していた。

 まさかこんなにあっさりと侵入できるなんて思ってもみなかった。


『正確に言うと博物館の配電盤の電脳空間(サイバー・スペース)だ』

「電脳空間? なんだそれ?」


 グレンの話に聞きなれない言葉があったので俺は尋ねる。


『電脳空間っていうのはネットワーク上で構築された情報の空間の事だ。そこには様々な情報が管理されていて何処かの場所と繋がっていればそこから繋がっている場所へと行ける。例えばこの配電盤だったら電力の供給などのデータが管理されている。そして、電線と繋がっていたからここに入れたんだ。分かったか?』

「要するにデータが管理されている場所か」


 グレンの説明はちょっと分からなかった俺は自己解釈しながら理解していく。


「陽太君、この空間上も下も穴だらけだよ」

「えっ?」


 俺は空間の周りを見る。

 すると、神崎の言う通り上も下も穴だらけだ。


「なんでこの空間、こんな穴だらけなんだ……?」

『あれが配電盤と繋がっている事を示している穴だ。この開いている穴全て俺たちの通れる道だ』

「この空間の穴全てが通れる道……」


 改めて俺は周りを見る。

 配電盤だけでこれだけ様々な所と繋がっている。

 そう考えてみると凄いと思う。


「けど、この先どうするの?」

「グレン、これからどうするんだ?」


 侵入したのはいいがこれから先の事はまだ決めていなかった。


『まずは管理室のモニターに行く。そこで映像に関するデータを壊してからあの部屋に行くぞ』

「映像に関するデータを壊すって随分と大雑把な作戦だな……」

『そこは認める』

「それで管理室のモニターに繋がる道ってどれだ?」

『それは分からないから探してくれ』

(本当に大雑把な作戦だな……)


 俺はグレンの話を聞きながらそう心の中で俺はそう思った。

 だけど、本当にどの穴が監視室のモニターに繋がっているか分からない。

 ここは地道に探すしか方法が無いか……。


「陽太君、あの穴じゃない?」


 俺がどの道に行くか悩んでいると神崎は左の穴を指差す。


「えっ? 何で分かるんだ?」

「穴の上にそう書いてあるよ」


 俺は神崎が指した穴の上を見る。

 確かに穴の上に「監視室のモニター」と書かれている。

 だけど、これは……。


「罠じゃないか……?」


 俺は思っている事を口に出してしまった。

 RPGとかで道が分かれている時に片方の道に「こちらが本当の道です」と書かれたあからさまな看板があったら誰だって罠だって思うはずだ。


「だけど、他の穴の上にも場所書いてあるよ」

「えっ?」


 俺は神崎にそう言われた後、他の穴も見る。

 すると神崎の言う通り、他の穴にも場所が書いてある。


「親切すぎるだろ……」


 若干、この仕様に俺は呆れてしまった。


『そうか? ネットとかでもこんな風に書かれているぞ』

「とりあえず行こうよ。陽太君」

「あぁ、分かったよ……」


 俺は呆れながら「監視室のモニター」と書かれた穴に飛び込もうとしたその時だった。


『ん……?』


 グレンが何かに気付く。


「ん……? グレン、どうした……?」

『いや、誰かに見られていたような気がするんだ』

「えっ?」


 俺はグレンの言葉が気になり周りを見る。

 だけど、周りには俺たち以外誰も居なかった。


「誰も居ないぞ」

『ユウセイと博物館に来た時も誰かに見られているような感じがしたんだが気のせいか……?』

「ちょっと陽太君! そんな所で早く行くよ!」

「えっ? ちょっ……」


 俺は神崎に腕を引っ張れながら「監視室のモニター」と書かれた穴に入っていく。

 すると段々と光が見えてきた。


『あの光は抜ければ監視室のモニターの電脳空間だ!』


 グレンの言葉を聞きながら俺たちは光を抜けた。

 光が抜けるとそこは周りが大きなモニターだらけの空間だった。


「ここが監視室のモニターの電脳空間なのか……?」

「博物館の至る所を映しているモニターがあるから多分、そうだと思うよ」


 神崎の言う通り大きなモニターが博物館の至る所を映している。

 という事は本当にここが監視室のモニターの中なのか……。


「しかし、見回りの人がいないな……」


 博物館の中を映しているモニターを見て俺はそう思った。

 いくら閉館したからって普通なら警備員が居てもおかしくない。


「多分だけどあの鎧の噂が流れたせいなんじゃないかな? あの鎧が動いている映像も残っていたから警備員の人達が気味悪がって誰もやりたくないって館長さんに抗議したとか」

「確かにその可能性はあるな」


 俺たちはそういう会話をしながら博物館の中を映しているモニターを見ていた。


「陽太君! あ、あれ!」


いきなり神崎が叫びながらあるモニターを指す。


「ん? どうした?」


 俺は神崎が指差しているモニターを見る。


「えっ……!?」


 神崎が指差しているモニターを見て驚きを隠せなかった。

 何せそこに映っていたのはさっき別れたはずの小西だった。


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