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1章 - 05

四天王の会合が終わり、私はすぐに作戦の準備を始めた。

私の移動速度についてこれる者を招集し、隠密行動用と捕縛用の魔道具を揃える。


「今回の作戦は我ら部隊の最速が求められる。故に少しのミスも許されない。作戦・魔道具を互いに確認し合い、万全を期すのだ」


四天王入り初の任務、王族の拉致、勇者の存在。すべてが今までと違う。

それは私だけでなく、部下達も同じであった。士気は高く緊張感があるが、どこか地に足がついていない空気が漂っている。

日付が変わると同時に出動するつもりだったが、私は一時間遅らせた。

準備に時間をかけさせ、今までの自分達を取り戻させる。私は、その間、何を話して鼓舞しようかと考えていた。


「さすがに冷静だな」

「ファーストリア様!」


考え事をしていたとはいえ、近づく気配にまったく気が付けなかった。

気付けない事の方が多いが、今日は等身大の影を踏まれる距離まで来ている。

冷静だと言ってもらえたが、思っている以上に私も気が張っていたようだ。


「お前の部隊はいつも迅速で被害も少ない。私も見習わなくてはな」


ファーストリアはわずかにいたずらっぽく笑った。

その笑顔につられて私の口角が上がっていく。

どうやら個人的にここへ来て下さったようだ。


普段はほとんど感情を出さず淡々と事を成していくが、四天王としてではなく一人の魔族として接してこられることがある。

その時は、やわらかい雰囲気があり、堅苦しい口調も心地よく聞こえる。


「そんな、すべてファーストリア様の教えです」

「それに研鑽を重ねるのがお前の一番の強みだ」


そして、こうしてお褒めの言葉をいただける。

後にも先にも、私より立場が上の者で、私を認めてくれるのはファーストリアだけだろう。


「情報によると、クアドラと勇者の一件で警備が強化されているようだ。だが、多すぎる警備は安心を与え、油断に繋がる。つけ入る隙は多い」

「ましてや人間。勇者が到着する頃にはシロエは私の手の中でしょう」

「それは余裕か?」

「紙一重で入れ違いくらいにしておきます」

「結構だ」


部下の一人が近付いてきて、片膝をついた。


「フォース様、全員配置につきました」

「わかった。では行こう」


緩んだ空気が一気に引き締まる。


「任せたぞ」


ファーストリアに見送られ、私は部下達の元へ向かった。

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