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10章 - 03

魔族すら根絶やし?あのファーストリアが?何を言っているのだ?

私は耳を疑った。


「なんだそれは?どういう意味だ?」


私は不気味な苛立ちを持って、カルミドにくってかかった。

カルミドは目が合うと、言葉を選んでいるのか、少し沈黙した。


「言った通りだよ。あの黒い影はファーストリアの魔法。魔族を飲み込み、肉体ごと魔力を貪り食っている」


だめだ。信じられない。

けれど、カルミドの表情にはあの黒い影への畏怖が見える。

先ほどの光景もあり、少しずつ真実味が増してくる。


「まさか…本当に…」


再び地鳴り聞こえてくると、黒い影でできた大樹が地面から城を貫いた。

そして、その大樹のいたる所から枝が伸び始め、その一部が枝分かれしながらこちらに向かってくる。


「逃げるよ!」


カルミドは城とは反対方向に飛んだ。


私は引っ張られるままで、追ってくる黒い影を見ていた。

あれは、私を追っている?


一瞬だが、カルミドの握力が緩んだ。

あぁ、本当に私を狙っているのだな。私を離せば、お前らは逃げられるのだな。

それでも離さないのだな。


カルミドが悲鳴を上げて急停止した。

目の前に巨大な黒い影の壁が立ちはだかる。

上へ逃げようとしたが、上も後ろも左右も黒い影に囲まれてしまった。


「カルミド…」

「ちくしょう、まずいな」


心配そうなシロエの呼びかけに、カルミドは苦笑いで答える。


すると、壁からヒト型の上半身の影が出てきた。


「人間などと手を繋いで、どういうつもりだ?フォース」


その影はファーストリアを形作り、こちらに語りかけてきた。


「ファーストリア様!?これは、いったい…」


形といい声といい、ファーストリアのものだったので、反射的に答えてしまった。


「これか?これは私が魔王様にお会いしてからずっと計画していた究極の魔法だ。私が魔王様と同格になり、魔王様をお救いするため、私以外の魔族を糧にする」


「そんな、では…本当に…」


「そんなに怖がらなくていい、すべての魔族が一つになるだけだ。そしてその力が魔王様をお救いして、共にこの世界を総べる。光栄なことではないか」


そう言いながら、ファーストリアの影が私に向かって手を伸ばす。

私はもう絶望していた。その手をただ眺めることしかできない。


「さぁ、魔界にいる魔族はお前で最後だ。こっちへこい」


「だめです!」


影の手が私の顔に触れる直前に、魔法で強化されたシロエの蹴りが、影の手を蹴り上げた。


「なんでですか!?人間を憎んでいるのはわかります。魔王を救いたい気持ちもわかります。でも、それでなんで他の魔族が犠牲にならないといけないんのですか!」


「魔族とか人間とか、私にはもうどうでもいいのだ。ただ、今の魔王様が統治するには数が多すぎるから一度リセットする。魔王様をお支えするにはすべての魔族の力がいる。そういうことだ」


「なんだよ、こいつ…」

「そんな…」


カルミドとシエルが言葉を詰まらす。


「だからフォース。こっちへ来るのだ」


足に紐を巻かれたような感触があった。

驚いて見てみると、いつの間にか地面から黒い影が伸びて、私の足にへばり付いている。


「なっ!?」


そして、強い力で引っ張られた。

カルミドが私を引っ張り返してしているが、少しずつ高度が下がっていく。


「邪魔な人間め」


ファーストリアの背後から黒い影が伸び、カルミドを突き飛ばした。

その衝撃で、カルミドはシロエと私を手放してしまう。

が、離された手、今度は宙に放り出されたシエルが掴んだ。


そして、影に引き寄せられる私を抱え込む。


何かを叫んでいる。


何か温かいものを感じた。


そんな気がした。


そんなことを思った時にはもう…。


私は暗黒の中にいた。


どこかへ流されているような気がする。


私はこのまま、この闇に溶けてなくなっていくのだろうか?


すでに自分の体を感じられない。


このまま消えてしまう。


私は、何ができたのだろうか?


私は、どうなれたのだろうか?


私は、なんだったのか?


これが私の最後なら、私の今までは、なんだったのか?


もう私には…。


なにもない。

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