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10章 - 02

「それがこの決闘か?」

「間違ってはいないです。けれど、決闘に勝ったから停戦しろと言いに来たわけではないです」


シロエは私に近づくと、手を差し出してきた。


「貴女達が命がけで成し遂げた事に便乗する形になってしまいますけれど、法律の樹がなくなった今、私達なら魔王を助けることができるかもしれません」


「…あ?」


魔王様を現状からお救いする。それは人間界を支配することと同じくらいの悲願である。

ファーストリアはもちろんのこと、事実を知った私もそれは同じである。

あのセカンドムやサードナーでさえ、魔王様には忠誠を誓い、解放されることを願っている。


人間界の魔素がなくなり、ようやく結界を維持する必要がなくなったのだが、何百年も酷使し続けたお体は生命を維持する魔道具無しでは生きていられなくなっていた。

魔王様なら解決策をご存じなのかもしれないが、私達では難しいのか、このままでよいと言うばかり。


それをこいつは軽々と…。

魔王軍幹部でも困難なことを、人間のお前らが…。

その軽率な発言に、怒りが込み上げてくる。


「ふざけるな!簡単に言ってくれる。できるものならもうやっている。それを…。お前ら人間なんかが集まったところで、セカンドムやファーストリア様、ましてや魔王様以上の魔法や知識があるなど!」


私はシロエを睨み付け、声を荒げた。

だが、シロエは表情を変えずに手を差し出したままだった。


その決意と覚悟に満ちた目に、私の怒りが沈められていく。

本当に手があるのか?

そう考えた時、はっとした。


「お前、まさか」


シロエは何も答えない。


本当に、そのために、リスクを冒してまで魔力を温存したのか?


「シフォンで魔王様と同格になれると、本気で考えているのか?」


その問いに、シエルは軽く笑って答えた。


「何分シフォンを維持できるのか、そもそもシフォンが可能なのかもわかりません。でも、私達ならできると信じています」

「私相手ですらあの消耗だったのに、仮にシフォンが成功しても、お前の魔力でも補い切れずに破裂してしまうんじゃないか?それは死ぬということだと思うぞ」

「わかっています」

「魔王様でも、不可能かもしれないんだぞ」


「心配してくれているのですか?」


シロエはそう言って笑った。

この状況でよく冗談を言えたものだ。私は面食らって何も言えなかった。


「大丈夫です。というか、いいんです。私の体は、この戦いでもう…」


その時、不穏な空気があたりを包んだ。

瓦礫からいくつか破片が転げ落ち、音を立てる。

微弱だが、地鳴りを感じるようになってきた。


「なに?」


シエルは差し出した手を引っ込め、あたりを見渡す。


すると、轟音と共に地面が大きく揺れた。

地面が無くなったと錯覚させる程大きな揺れが、ボロボロになった城を襲う。


まずい。ここから逃げないと。

そう思ったが、ダメージと揺れで体を動かせない。

壁や地面に次々大きなヒビが入り、割れていく。


そして、城が私達を押しつぶそうと崩れてきた。


ここまでか。

私はそう覚悟したが、魔法で引っ張られ、城の外へ間一髪脱出した。


「シロエ!大丈夫!?」


私とシロエを救出したのは、シロエとは異なる魔道服を来た人間の女であった。


「カルミド!」


シロエにそう呼ばれた女は、私達の手を取ると、上空に飛んだ。

崩れゆく城を眺めていると、瓦礫の隙間から細長い影のような何かが顔を出した。

数は次第に増えていき、見渡すと街や森にも大量に発生して、まだ増殖を続けていく。


「な…なにこれ?」


シロエの問いが聞こえたタイミングで、城から辛うじて逃げ出した兵が走っているのが見えた。

あの黒い影から逃げている。

しかし、すぐに追いつかれてしまい、まるで蛇が卵を飲み込むように食われて消えてしまった。


「これは?」


私もあまりの事態に何も飲み込めずにいる。いったい何が起きている?

魔王様は、ファーストリアは、セブンは部下達は、無事なのだろうか?


カルミドが私をちらりと見ると、悔しそうにこう言った。


「最悪だよシロエ。ファーストリアは、人間はおろか魔族すら、根絶やしにするつもりだよ」

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