表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/52

8章 - 05

すると、地表に巨大な白い魔方陣が浮かび上がり、そして光の粒となって消えた。


「お前、いったい何をしたんだ?」


突然の出来事に、私は考えるよりも先にシロエに問う。


「この魔法は、あなたを倒すために作り上げた、私だけの魔法です」


シロエは先ほどとはうってかわり落ち着きを取り戻している。

それは、シロエの作戦が成功したことを意味しているのだろう。


「私があなたに拉致された理由、ハイネ様があなたに負けた理由、その二つをヒントに編み出しました」


そこまで聞いて、私はこの魔法の効果がわかった。


「そうか、法律の樹と同じ。魔族の魔力を吸い出す魔法」

「そうです。私の魔力は人間界の魔素によく似ていると聞きました。だから、同じようなことができる魔法を、私ならできるのではないかと考えたのです。そして、魔力を失った魔導師なら私でも戦えるのではないかと…」


「なめるなよ。私が魔法だけで幹部にまで登りつめたと思っているのか」

「いいえ、そんなことはないです」


その言葉とは裏腹に、シロエは残り一つのシフォンを解いた。


「何の真似だ?」

「先ほども言った通り、あなたをなめてなどいないです。でも、私にはまだやるべきことがあります。ここで魔力を使い切るわけにはいかないのです」

「それで、どうするっていうのだ?殴り合いでもするのか?」

「…はい」


シロエは躊躇いがちにそう答えると、強化魔法を唱えた。

血液のように全身に魔力が行きわたり、筋肉や関節に付加され、肉体の精度を高めていく。

そして、杖を棒変わりに、杖術のような構えを取った。


「シフォンやさっきの魔法は、ここまでの布石です。ここから先は、あなたを倒すために一番時間をかけた技です」


シロエの言葉通り、強化魔法にも構えにもかなりの練度が窺えた。

どうやら本気で、私に白兵戦で勝つつもりのようだ。


私とシロエの間には少し距離があるので、これからの戦闘に備えて、私はここまでの流れを振り返った。


簡単に言ってしまえば、私はシロエの作戦にまんまとはまっているのかもしれない。

シフォンは伝説の魔法だ。おそらく誰でもそれが切り札だと考えるだろう。

だが、いくら魔力に恵まれている者とはいえ、相手を倒せるまで2つのシフォンを継続できる可能性はどのくらいある?

時間稼ぎをされることを前提にすれば、時間切れが来る可能性の方が高いのではないか。


だから、私から魔力を奪い、白兵戦を挑んだ方が勝率が高いと踏んだ。

そのためには、あの白い魔法を成功させる必要がある。

だから、大規模な溶岩魔法で一時的に私を閉じ込め、気付かれぬように魔法を唱える。

そして、攻撃によるダメージや溶岩の熱気で感覚をにぶらせ、二重シフォンを維持できなくなったと見せかけて、わざと攻撃に集中させる。

気付いた時には魔力切れか。


「くくく」


格下相手に追い込まれているというのに、その滑稽さに少し笑ってしまった。

本当にシロエの作戦通りなのかはわからない。あくまで私の想像だ。

もしかしたら、二重シフォンで倒すつもりだったが、間に合わなかったので接近戦に切り替えただけかもしれない。白兵戦はハッタリかもしれない。


だが、そんなことは些細な事。

あいつは…シロエは、本当に戦うかもわからない私を倒すために力を尽くし、現に、私を窮地に立たせている。

それはもう、才能とか人間とか関係なしに、大したモノだと思っていいのではないか。


無論、私がここでシロエに勝たなければならないし、シロエを認めたわけでもない。

それでも、目の前の女に凛々しさを感じ、それを悪いとは思えなかった。


しかし、私は魔族で、シロエは人間で、魔族と人間は戦争中だ。

私はこの感情を仕舞い込む。


「ならば、その技を見せてみろ。もう頭突きすらさせないがな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ