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8章 - 03

シロエは先ほどと同じ詠唱を始める。

シロエから発せられる膨大な魔力の流れが唸り声を上げた。

食堂のテーブルや椅子は壁に追い込まれ、壁もその重圧に耐えられずにヒビが入る。

そして再び、魔法の名前を口にする。


「『シフォン』」


2回目の衝撃波は倍以上の威力でまわりの物を吹き飛ばした。

天井は崩れ、床は抜け落ちる。

私は衝撃に身を任せながら、飛んでくる障害物を躱す。


食堂が崩れ終わると、城の一部分がきれいにくり抜かれたように何もなくなっていた。

その中心には、バームに守られたシロエが一人浮いている。


今度は赤いリング状の魔方陣が現れ、青い魔方陣と交差していた。


シロエはゆっくりと私のいる地面まで下りてきた。

足が地に着くと、バームは割れるようにして消え去った。

それと同時にとてつもない魔力を私は感じ取った。


「無茶苦茶するじゃないか…」


私は思わず悪態をついてしまった。


シロエが行ったのは、ハイネと私を対象にした二重シフォン。

今のシロエは、私とハイネが束になってかかっていって、ようやく五分の存在。

間違いなく私以上の最強クラス。


見た目は変わらず小娘のまま。

だが、発せられる魔力は大嵐を思わせる荒々しく巨大なものであった。

シロエ相手に引けるかと前に出たいが、本能が相手の強さを警戒して、体が後ろに下がろうとする。


シフォンの二重発動は相当な負担になっているのだろう。シロエの目にはまだ戦ってもいないのに危機感が見える。表情も険しい。


こんなことをして、いったいどれだけ戦えるのだ?

仮に私に勝てたとして、その後いったいどれだけの魔力が残っている?


「これでお前…」


私は少しでも時間をかけてやろうと会話を始めようとしたが、シロエは躊躇なく私に電撃を放ち、また私の言葉を遮った。

私はそれを弾いた。電撃が帯びている魔力はハイネかと思わせるほど似ていた。


「お話は、私が勝ってからでお願いします」

「言ってくれる」


あからさまではあったが、完全に私の意図は読まれているようであった。

こうなってはもう腹をくくるしかない。

私が今のシロエを攻略するか、シフォンの時間切れが来るか、または、シロエが私を押し切るか。

真剣勝負だ。


感じる魔力から、魔法勝負ではシロエに分があるのは明らか。私に分があるとすれば接近戦、シロエも動ける方だが、訓練と経験の差がある。


ならば、まずは近づくスキを作る。

私は、速攻で放てる火球と、詠唱の邪魔をする妨害魔法の魔方陣を描こうとした。


が、最初の一節を描いたところで魔方陣は突如消え去った。


「なっ…」


いつの間にか、シロエの両手には魔方陣が描かれている。

私の魔法は、あの一瞬で相殺されていたのだ。


「今の私は、ハイネ様であると同時に、あなたでもあります。予備動作だけで、何の魔法なのかすぐにわります」


そう言った後シロエは、相殺に使った真空魔法で私を引き寄せ、身動きが取れなくなった私に水流魔法をぶつけた。

私は激流に飲まれて、城の外へ放り出される。

そして、すかさず重力魔法が私を押し潰そうとする。


この展開はハイネ戦で経験している。少し遅れたが重力魔法を解除して自分を解放する。

しかし、地面から大きなツタが生えて来て私の足にからみつく。

城の方に身構えるが、そこにシロエの姿がなかった。

視界が陰り始める。

上を見上げると、頭上には浮遊しているシロエが、氷山を作り上げていた。

その氷山が、私を目がけて落下してくる。


「くそ」


ツタに構っている暇が無い。

私は灼熱魔法で私に当たる所から溶かしていき、ダメージを避ける。

だが、これでは氷の中に閉じ込められる形になってしまう。


「しまった」


私がハッとした瞬間、氷山は宙に浮かぶ巨大な水玉に姿を変え、私はそこに沈んだ。

そして、高圧の電撃が私に襲いかかる。


体中の筋肉が痙攣するのを感じる。

動けなくなる寸前で、地層魔法が間に合い、土の手が私をすくって地中に逃げた。


かなり離れた距離まで移動して地表に戻る。

だが、その場所すらシロエに読まれていた。

今度は木々に体ごとからめ捕られてしまう。


「言ったはずです。今の私はあなたでもあると、シフォンは魔法だけでなく、その人の経験や知識も自分のモノにしてしまいます」


シロエはそう言いながら、今まで見たこともない巨大な魔方陣を構築する。


「だから、あなたの戦術や対処法が手に取るようにわかります」


シロエが発動した魔法は、私の火炎魔法と岩石魔法を融合させた溶岩魔法、それをハイネの水流魔法の応用で操作している。


「あなたに手加減はできません。だから、死なないでくださいね」


シロエは溶岩を多方面に分けて、私に向けて放った。


私は邪魔な木を燃やすと、最高度の障壁魔法で身を守る。


あっという間にまわりは赤く染まり、あまりの眩しさに目を開けられなかった。

すさまじい高温で、肌がジリジリと音を立てているような気がする。


「こんなので…、こんなとこで負けるかー…」


私は全精力を障壁に注ぐ。

このまま押しつぶされるわけにはいかないんだよ。

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