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4章 - 03

「法律の樹にですか?」

「隠密行動が得意なお前の部隊なら、私とサードナーが人間たちを引き付けている間に辿り着けると考えている」


サードナーとファーストリアが戦場に出るのであれば、もうそれ以外に意識を向けている余裕は無いだろう。

ただ、人間たちも後が無い、そうやすやすといくとは思えなかった。

さらに預言者もいる。私の行動は筒抜けではないのか。


それよりも、直前になって作戦を変えてきたのは理由はなんなのだろうか?


「突然の作戦変更に戸惑うのは無理もない。こいつが完成したのが、つい先ほどだったのだ」


ファーストリアが箱を開けると、中には植木のような奇妙な植物が入っていた。


「こいつは、セカンドムの研究、魔王様の魔力、さらに、私の魔法をもって生まれた寄生樹。法律の樹の根に寄生して、朽ちさせるためだけのモノ」


箱は再び閉ざされ、私の手に渡った。


「法壊機とは別に進めていた代物で奥の手のつもりだったが、この機会を逃すまいと間に合わせた。こいつを寄生させてしまえば、もう法律の樹は終わりだ。その時点で撤退する。不必要に同士が倒れずにすむ」


ファーストリアは人間に勝つだけでなく、末端の部下のことまでも考えていらっしゃった。

私はそのお心に感動すら覚えた。やはりこのお方はものが違う。


「隠密行動とはいえ、今回は戦場を抜けるだけでも困難だろう。さらに、法律の樹に関する情報は少ない。戦闘は避けられないと考える」

「お任せください、命がけなのは皆も同じこと。ましてや戦闘をいち早く終わらせるための任務。かならず完遂させてみせます」


お前は私の見込んだ通りだと、ファーストリアはほほ笑んだ。

正直なところ無茶な内容であるが、この期待に、なんとしてでも応えなくてはならない。

今までの恩に報いる時が来たと私は思った。


「潜入は我々の得意とするところ、しかし、正確で詳細な情報無しでは困難を極めます。可能な限り情報をいただけないでしょうか」

「あぁ、私の持っている情報をすべて開示しよう」

「ありがとうございます。それと、ファーストリア様もおっしゃられた通り、今回は戦闘を避けられないと考えます。人間たちがどの程度戦力を配置するか、ファーストリア様のお考えを聞かせていただけますか」


私の力だけで実行したいところだが急を要する。かっこをつけずに私は意見を求めた。


「私の予想は最小限の人数だろう。ただし、四天王一人となら渡り合える人間がかならずいるはずだ」


私とファーストリアの考えを合わせる。

私が法律の樹に向かうことが預言者によってバレているのなら、無理に戦場で食い止めようとせず、法律の樹で迎え撃つだろう。

そしてその相手は、私に勝算のある人間…。


いるのか?勇者達が束になって来られたら私でもどうなるかわからないが、単体で四天王クラス。

それはもう勇者以上ではないのか?そんな人間がいるとしたら、あきらかに準備不足だ。

しかし、それはファーストリアも承知の上で私にこの任務を授けているはず。臆するわけにはいかない。


「それならば、その人間さえ対処できれば後は問題ありませんね」

「魔界の未来。お前に託したぞ」


会合は終わり、私は隊長たちを招集して緊急会議を行った。

私たちが眠れるのは、法律の樹が枯れてからだ。

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