1章 - 01
「あのフォース様がついに四天王か」
「女の幹部なんて、時代も変わったものだな」
魔王軍四天王の一人が勇者に敗れ、その席に私が収まることが決まってから三日、城の空気は少し浮き足だっている。
「あっ、フォース様。本日はおめでとうございます」
甲冑を身に纏った大男二人が、後ろから近付いてくる私に気が付くと、壁に避けて腰の位置まで頭を下げた。
私はそれに一瞥すると、一人の男と目が合った。
私に対する恐れが半分と、珍しいものを見る興味心が半分、そんな目だった。
私が通り過ぎ、声が届かなくなったと判断した二人が、頭を上げてひそひそ話始めた姿を想像した。
直接そんな様子を見聞きしたことは無い。
だが、この城に来て時から腫物のように扱われてきた私には、自意識過剰とも思えるくらいにひしひしと感じる。
「フォース、参りました」
冷たい大理石で覆われ、青白い光を放つ宝石に照らされた大広間に立った私は、命令通り四天王の一人として、幹部会合にやってきたことを告げた。
すると、あたりを照らしていた宝石は光を失い、暗闇に包まれる。
そして、大広間の中心から四方向に赤い光が走る。その一方は私の足の下まで伸びてきた。