依頼
東京。秋葉原。電気街の中に場違いの事務所がある。
動物探偵事務所。一見どんな事務所なのか不明だが、そこは特殊な人間が営む探偵事務所だ。知る人とぞ知る事務所だが、そこに頼むと必ず解決してくれると人気の事務所だったが、場所が場所のため客は少ない。そんな事務所の前に一人の青年がドアをノックした。
「どうぞ、お入りください。」室内から、優しい女性の声が聞こえ、青年は事務所に入る。
事務所に入った、青年は、猫背でどこか自信がなさそうな顔をしており、たどたどしく口を開いた。
「あの、依頼をしたいのですが」青年の態度とは裏腹に先ほどの声の主であろう女性は、微笑みながら応接室に青年を案内した。「こちらでお待ちください。すぐに担当のものをお呼びしますので」女性は、お茶を出し、そういうと応接室から出て行った。しばらくすると、今度は20代くらいの男が入ってきた。
「どうも、お待たせしてしまい申し訳ありません。今回はどのような依頼でしょうか? 」男は笑顔でそういうと青年の向かいの椅子に座った。
「いえ、あの、その、つまらないことなんですが」青年は、親指と人差し指の腹をしきりすり合わせる。青年の癖である。手だけでなく足もそわそわしている。
「探して、ほしい人がいるんです。」先ほど同様たどたどしく青年は話した。
「人探しですか? その方とはどのようなご関係でしょうか。えーと、失礼まだお名前をうかがっておりませんでしたね。」向かいに座っている男は飄々とした態度で終始笑顔のまま相手の名前を聞いた。
「田所、学、です。」
「田所さん、改めて聞きますが、その探してほしい人ですが、どのようなご関係でしょうか? 」
男は名前を聞くと優しい口調で言った。
「私の父です。名前は田所 信玄」
「お父様ですか、それはそれは、情報はそれだけでしょうか? 」男は事情までは聞かずとも情報が足らないのは事実であり、