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前世からの使命  作者: ろっく
第1章「一滴の非日常」
2/9

002

相手は樹を上手くかわして走る。ってかこの公園、以外と広い……。


さっきから胸騒ぎが収まらない。何故か分からないけれど、視線の主が誰なのか、気になる。


しばらくはしっていると、ただ追いかけるだけじゃ追い付けないことに気づいた。相手はかなり走るのが速い。


諦めきれない。色々近道をしてみたりと追い付くように頑張ってみたけれど、逆に距離はどんどん離れていく。私は元々運動が得意な方ではない。


そしてとうとう見失ってしまった。しかも自分が何処にいるのか分からない。完全に迷子だ。


「うそ……。どうしよう。」


取り合えず出口を探すためにまた走り出す。既にかなり疲れていたが、休憩時間が終わってしまう。


少し走った後、やはり疲れてしまったので歩きに変える。しばらく樹と樹の間を縫うように歩いていく。


ある大きな樹の横を通った時、その樹にもたれている男の人を発見した。


「あっ!!」


思わず叫んでしまった。自分が追いかけていた人かもしれないという理由もあったがもう1つ。彼に見覚えがあるのだ。


「……小林君?」



この言葉で、ぎょっとして彼が振り向く。さっきの私の叫びには何の反応もしなかったのに。


ダッ……。


彼はまた逃げてしまった。今度は追いかけない。そんなことをして、集合時間に遅れてしまっては困ると思った。


小林かなた。それが彼の名前だった。私の隣のクラスで、噂はよく耳に入ってきた。


実は、私の好きな人でもある。話したことは一度もない。挨拶程度ならあるけれど……。


小林君のことを考えながら走り続ける。出口はまだ見つからない。


時間を確認すると、あと5分で集合時間。遅れるのは確実だ。


時計をから目を離して前を見たその時、誰かが目の前に立ちはだかった。


ドンッ……。


「……!?」


その誰かが寄りかかる様に迫ってきて、自然と、樹を背にして立たされている状態になった。顔の右に、人の腕が見える。え、壁ドン……!?


パッと顔を上げると、私の好きな顔があった。小林君だ。


その顔と重なる様に黒い物体が見える。それは、テレビではよく見ても、現実味のないもの。


━━銃。


「……!」


驚きと恐怖で目を見開く。銃口は私を向いていた。


「星空さん……。」


話しかけられたのは今日が初めてだ。でも、ちっとも嬉しくない。


「僕の前で、君は無力だ。」


「え……?」


「君は僕のこんな姿を見た。これから君が僕に対してどんな行動をするか分からない。けれど、君は僕を止められない。」


言っていることが頭に入ってこない。緊張と恐怖で内心パニック状態だからだろう。


「……あれ?」


気づいたら彼は消えていた。集合場所に戻ったのかな?と、至って普通の解答が思い浮かぶ。



現実離れした今日の出来事。変な胸騒ぎは収まらない。


彼は消えて何故銃を持っているのか、何をしようとしていたのか。


……分からない。



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