001
「うわぁ……凄いね。」
「あかりもそう思う?」
私、星空あかり。高校の一年生。今はなんと、校外学習の真っ最中です。
「前半はこれで終わりでーす。あっちの公園で昼休み。1時までなー。」
学年主任の先生の言葉で時計を見る。今の時間、12時。
「あ、あと一時間もあるよ。」
「そうなの?じゃあゆっくり出来るね。」
友達に連れられ早速公園にくる。
「どこ座るー?シート引く?」
「あそこのベンチが良いんじゃない?」
友達に勧められたベンチは、目の前に木々がそびえる所にあった。私達はそこのベンチに腰掛ける。虫が沢山飛んでたけれど、景色は良い。
「「いただきまーす!」」
ベンチに座るなりいきなりお弁当を広げる。おやつも大量にある。
「あかり~。その卵焼きちょーだい!」
「じゃあウインナー欲しいなぁ~。」
「えー!これは駄目っ!」
「ケチだなぁ~。」
こんな会話をしつつゆっくり食べていた。周りがわいわい騒いでる中、二人で静かな一時を過ごす。
「あ、あと20分で休憩終わっちゃうよ。」
友達の一言で時計を見る。今の時間、12時40分。
「本当だ、早いね……。」
「ねー。んじゃちょっと遊ぼっ!」
二人で一斉にベンチから立ち上がった。何しようかな~。
そんな事を考えていた時、前方から視線を感じた。多分、前方右上。
目の前には樹が生い茂っている。なのに、前方。しかも右上……?
私は咄嗟に視線を感じた所を見る。そこには大きな樹が立っていた。
「どうしたの?何かあったの?」
「う~ん。」
上の空で返事をし、目を凝らして見る。すると、その大きな樹の枝に人影が見えた。
遠くてよく見えないけれど、視線の主はこの人な気がする。きっと、枝に腰掛けているんだろう。
5秒ほど睨み合っただろうか。相手に動きがあった。突然樹から降りて、走りだしたのだ。
「あ、待って!」
私も咄嗟に追いかけた。呆然と立ち尽くしている友達を置いて。