5.ギルド
〜レーザンの街・冒険者ギルド〜
「こんにちは〜、ギルド登録お願いします」
「こんにちは、お嬢さん、身分証として欲しいの?それとも冒険者として活動するの?」
綺麗なお姉さんが対応してくれた、すごくホッとする
「両方です!」
「え〜っと、この紙に名前、年齢、種族、出身地、職業を書いて」
言われた通り書いていくが出身地で止まる
「出身地がわからない場合はどうすればいいですか?」
「わかんなかったらここでいいわよ、そういう人結構いるし」
実は私みたいなの結構いるのかな
「あと、使い魔がいる場合はどうすればいいですか?」
「なに?その年でもう使い魔いるの?」
興味津々にお姉さんが聞いてくる
「ブルースライムのスラすけです」
袖からスラすけが出てくる
「この後空いてる?お姉さんとお風呂行かない!?」
お姉さんがカウンターに乗り出して興奮気味に聞いてくる、ていうか顔近い!
こっちの世界にもお風呂があったのは嬉しいが身体中についている傷はできるだけ見られたくない
ガンッ!!
「ピィッ!?」
隣に来た男がいきなりカウンターを叩いた、考え事をしていたせいで凄くびっくりした
「ここはいつからモンスターが出入りするようになったんだ?なぁ、ローラ」
ドスの効いた低い声で凄んでくる
怖い、足が竦んで動けなくなる、体が震える、嫌だ怖い
「ほんのついさっきよ、いいかげん初心者虐めるのやめてくれる?」
「別に虐めてるわけじゃ無いんだぜ?弱いくせに魔物に挑んで死なないように注告してやってんだ…よ!」
そう言ってスラすけを叩くが…
ドンッ!
ヒョイ
華麗に避けて床に降りる、そしてミョーンとのびて挑発している
ある程度の感情が流れるからそれを読み取って私の方に危害が及ばないようにしてくれた
ダンッ!ダンッ!
ヒョイ、ヒョイ
男が踏んづけようとしているが全然あたる気配がない
「キョウカ・ハルカゼちゃん、11歳、若いねぇ、種族は人?普人の事かな、出身はここで、職業は魔法使いね、ちょっとまってね」
そう言ってローラさんが紙に手をかざし、何か呟くと紙からカードが出てきた
「はいこれ、再発行にはお金かかるから失くさないようにね」
男を気にせずローラさんは話を進める
「あの!そんな事より今大ピンチなんでけど」
「ん?いいのよそんな奴ほっといて、どうせ初心者虐めしかできない三流冒険者なんだから」
「誰が三流だ!」
そう言いながらもスラすけを踏もうと躍起になっている
「ブルースライムの特性、物理無効、水魔法吸収、まさか知らないわけでもないわよね?」
「う、うるせぇ!」
知っていたら最初からスラすけと踊っていないだろう
「それとブルースライムからは石鹸水の成分が出てくるのよ、桶の中に水と一緒に入れて軽く泡立てるの、普通の石鹸は高いけど髪にはブルースライムの石鹸水の方がいいのよね」
なるほど、だからお風呂に誘われたのか、つまりこれで一儲けできる?
「俺を無視すんじゃねぇ!」
男がそう言って胸ぐらを掴んでくる
掴まれたせいで服が捲れ上がる
「なんだその傷?」
見えただけでも、火傷、切傷がいくつもある
やめて、見ないで
「そんな目で私を見ないで!!」
「お前、奴隷上がりか?なんだったら今夜可愛がってやろうか?」
ガスッ!
「ゴフッ」
「いつまで幼女の体を見ているつもりだ?」
女性剣士が剣の鞘で男の脇腹を突ついている
その拍子に私を掴んでいた手が離れた
「誰だこの野郎!」
「うるさい黙れ、このロリコン」
ガスッ、ガスッ
「このっ、やめろ、誰がロリコンだ!」
「10歳前後の少女の体を眺め夜遊びに誘っといてなにを言ってるんだこの変態は?」
「アリサそんな奴ほっときな、それよりこの子ブルースライム持ってるよ」
「それは本当か!?ならばさっそく風呂へ行こう、いやそれだと私たちにしか得がない、少女よ今日の宿はどうする?飯は?そもそも金はあるか?ないなら今日はローラの家だな、飯は私が用意しよう」
話が勝手に進んでいく、どうしよう凄く断り辛い
「俺を無視すんじゃねー!」
男がまたも叫ぶ…が
「うるさい黙ってろ!」
ガンッ!
「グフッ」
アリサさんが思いきり殴って男を気絶させた、この男の事は見なかったことにしよう
「あの、アリサさんの腕どうしたんですか?」
アリサさんの腕にはいくつか傷があった
「ん?あぁこれな、切られたり噛まれたりしただけだよ、冒険者なんてやってたらこんなのすぐ付くぞ、ただ…えっと」
「キョウカです、キョウカ・ハルカゼ」
「アリサだ、ただキョウカみたいな傷のつき方は冒険者だとありえないが、この国には結構いると思うぞ、奴隷の扱いが酷い奴とかいるからな」
考えすぎだったのかもしれない、この人たちなら私の傷を気にしないかもしれない
ここは勇気を出して味方を増やすべきだろう
「今さっきこの街に来たのでこの街のことなにもわからないんです、よろしければ今晩泊めて貰えますか?」
「いいわよ、もう少し日が暮れたら私の仕事も終わるからそれまでアリサと待っててくれる?」
「だったら今のうちに街を案内してくる、一回りしたら戻ってくるよ」
「了解、楽しんできてね」