第5話
96艦戦に乗ってまずは飛行特性を把握する、最大速度の確認、旋回性能、急降下、バランスを失った状態での機位の回復。結果は実に素晴らしいの一言だった、さすが日本の名機の一機に数えられることはある。ただ一つだけ文句があるとすれば密閉式風防ではないことか、凄く寒い!赤トンボならばそんなに速度は出ないかったからそこまで寒くは無かったけど、ここまで速度が違うと体感温度の差が半端じゃない。高度3000メートルから上に上がるときは厚着しよう。
ピー、ピー
燃料計に赤ランプが点いていた、かつての96艦戦にはそんなものはないが装備ガチャで出てくるものにはどうも付いているらしい。無線機も付いていた、使ってみたいがどこに送れば良いのか分からないため保留とするとしよう。
「列機が欲しいな、基地に戻れば生産出来るかも知れないし調べてみよう。」
気持ちが焦っても燃料を無駄に使うことは出来ないので、巡航速度で基地に帰った。
96艦戦(飛行時間2時間)
燃料100・弾薬0・修理0
消費魔力100
あっという間に燃料の補給が終わる、頭に浮かんでくるから違和感半端でないな。今日はイタリア軍のパスタを食べている、味付け?普通のミートソースだと思う。パスタのソースなんかは知らん、美味ければ別に大した問題ではない。お茶を飲んで再び飛行には入るが今回は狩りもする予定なので飛行弁当を出す。
飛行弁当(アメリカ製、コンビーフサンドイッチ、魔法瓶入りのコーヒー)
昼食(イタリア製、ミートソースとおぼしきパスタ、紅茶)
消費魔力20
食事は一回魔力10のようだ、寝れば回復するから実にありがたい。96艦戦で上空に上がると伸びた航続距離一杯まで飛行して町を探しにかかる。狩りはあくまでもついでだ。
「しかし一人だとすることが多いな、目で見るのは少しだけ五感を頼れと言うが正にその通りだな。」
首を左右に回しながら飛行する、かれこれ二時間は飛行しただろう。後一時間で折り返し地点だ。飛行弁当を開いてサンドイッチを頬張る、中々にイケる味だ。コーヒーを飲んでいると近くの大地に何かが転がっているのが見えた、何かは分からないため近寄って確認しようと高度を落とす。すると
「うん、鳥かな?純白の羽根と血まみれになっている死骸かな?うーむ、近くにある人の形は死体になるのか・・・見つけた以上放置するわけにはいかないか。ここらの大地は着陸には支障が無さそうだし、一旦着陸してから調べるか。」
96艦戦を静かにその物体の近くに下ろす、ぬかるんでいるところも無かったのでスムーズに下りられた。
「よいしょっと。」
一応救急セットを持って近寄ってみる、鳥だと思ったものはペガサスであった、しかし既に息絶えていた。美しかったであろう羽根は真っ赤に染まり内蔵が所々はみ出している。
「これでは手のうちようが無いな、他には鎧があった筈だが・・・、あった。あそこだな。」
鎧は割と直ぐに見つかった、ペガサスからはそう離れていないところにあったからだ。こちらも血にまみれている、生きているかの確認のために鎧を脱がすと、それは綺麗な美女であった。
「そう言えば神獣は大抵美女に弱いよな。まあ、ペガサスにおっさんが乗っていても可愛らしくはないな。」
美女の脈を計ると生きてはいるようだ、左腕は骨折しているようだがそれ以外は軽傷だ、治療をして痛み止めにモルヒネを打っておく、すると呼吸が落ち着いて眠りだした。これで安全だろう、その後火を起こして毛布を掛けて側に寝かせておく。ペガサスは尾を切り取って遺品としておく、彼女が起きたときに文句を言われたくはないからだ。後は死骸にガソリンを撒いて燃やす、そのまま放置していても動物が処分するだろうが今日は彼女が目覚めるまでは動けない。夜営になりそうだな、96艦戦のエンジンを切っておく。早く基地に帰りたいな、96艦戦の下で武器ガチャを引いて38式歩兵銃を出し(五回目で出た)警戒する。あー眠い。




