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魔法少女おばあちゃん 〜78歳のおばあちゃん、16歳の侯爵令嬢に転生?!〜  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第四章 スタンピート

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58、出発進行!

「あの、クリスさん! 最後の水は何だったのですか?!」


 目を輝かせて訊ねてくるコニーくんと、辺境伯軍の皆さんに私はタジタジだ。遠くでは、「賢者様が新たな討伐法を編み出したのだ!」と声を上げて期待を現す者もいた。しかし私から言わせれば……元からある日本の儀式を参考にしているので、テストでカンニングしてしまった時のようなバツの悪さを感じていた。


「最後の水は塩水です」


 塩はよく邪気を払うときに使うのだ。だから、もしかしたらアンデットドラゴンにも効果があるのではないか、と思って試してみたのだ。もしかしたらただの水でも倒せたかもしれないけれど……。

 そう話していると、コニーくんは一生懸命本のようなものに記している。何を書いているのか訊ねてみると、「勇者様一行のご活躍を記しています」と言われてしまった。つまり日本で言う伝記みたいなものかしら……。

 私の活躍を書かれるのは、少々気恥ずかしいところがあるのだけれど、楽しそうに笑うコニーくんに「止めてほしい」と言うことはできなかった。



 雑談後、ユウくんとマチルダちゃんがいないとの報告を辺境伯様から受けた私は、探索魔法で二人を探す。

 すると、少し遠くで歩いている二人を発見した。そのことを辺境伯様に伝えると、彼は胸を撫で下ろす。だが、二人が帰ってきて報告を受けると、辺境伯様の表情が一変した。


「アークヘイン教団……だと?」

「ご存じですか?」


 ユウくんの問いに、辺境伯様は同意する。


「ああ。魔族領から行商に来る商人が言っていた。『最近、アークヘイン教団という反王国集団が動き出している』と。本当はその商人に勇者殿の仲間となって道案内を依頼をする予定だったのだが……ここ半年ほど領を訪れていなくてな」

「どうやらきな臭くなってきましたね……」


 マチルダちゃんの言葉に、空気が張り詰める。

 

「ですが、あのオルド? という教団の男は……物理的にはあまり強そうに見えませんでしたけどね」

「……マチルダ……」


 あっけらかんと告げる彼女に、ユウくんは頭を抱えている。


「それはお前が事前に攻撃を仕掛けていたからだろ?」

「あら、そんなことございませんよ? 勇者様も素晴らしい攻撃をなさっていたではありませんか」


 わざとらしくほほほ、と笑うマチルダちゃん。ユウくんは「あれは素で間違えただけだ!」と呆れながら話す。

 どうやら、相当な攻防だったようだ……まあ、二人なら負けないと思うけどね。コニーくんもニコニコと二人の言葉を本に書きつけていた。


 その後コニーくんの書いている内容に驚いて、「これは消してくれ……」と呟いていたユウくんがいたとかいないとか。




「今までお世話になりました」


 スタンピート鎮圧から数日後。

 身体を休め、準備を終えた私たちは門前に立っていた。目の前には辺境伯様やアビゲイルさん……門の上にはお世話になった街の人が私たちの様子を見にきている。


「こちらこそ、大変世話になった。スタンピートを食い止められたのは、君たちのお陰だ」

「いえ、私たちだけではあれだけ多くの魔物を倒すことはできなかったでしょう。全員が力を合わせた結果です」

「……ありがとう」


 辺境伯様の目尻には涙が光る。ちなみに隣で話を聞いていたアビゲイルさんも、涙を堪えているようだ。私は満面の笑みで告げる。


「パンドラを封印したら、またこの街に戻ってきますね!」

「クリス、パンドゥーラーだ……」

「あ、そうだった!」


 頭を掻くユウくんに、楽しそうに笑うコニーくん。そして微笑ましい表情で私を見ているマチルダちゃん。


「締まらないお別れだな……まあ、それが俺たちらしい……か……?」

「そうですよ、勇者様。あまり深く考えると毛がなくなりますよ?」

「いや、マチルダ。お前が一番自重してくれ」


 皆に見送られながら、私たちは魔境の森へ入っていく。ハルちゃんの願いを叶えないとね!


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