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魔法少女おばあちゃん 〜78歳のおばあちゃん、16歳の侯爵令嬢に転生?!〜  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第四章 スタンピート

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54、スタンピートの終わり?

 私の魔法に感化されたのか、辺境伯様たちも気合十分だった。

 特に私の目の前では、ユウくんとマチルダちゃんが敵をバッサバッサと薙ぎ倒している。頑張っている二人を横目で見ながら、私は引き続き毛糸の拘束と、かぎ針の攻撃に集中していく。

 

 ふと気がつくと、アルバードと呼ばれる魔物は居なくなっていた。地上も狼のような魔物が森を埋め尽くしていたが、いつの間にかダチョウのような魔物が集団でこちらに向かっている。

 そして空からは日本にいる蜂の何倍も大きい、キラービィ? と呼ばれる魔物が現れた。


 引き続きキラービィも拘束しようと毛糸を仕掛けるが、薄い羽であるにもかかわらず、羽自体が固いのようだ。毛糸で捕縛しても、すぐに羽によって毛糸が切れてしまっていた。

 それを見た辺境伯軍の魔法使いさんたちは、一斉に魔法を放ち始める。一人では倒せなくとも、集団で魔法を放てば複数のキラービィを倒せるのだ。


「キラービーは私たちで倒すのよ!」

「そうだ! クリスティナ様ばかりに負担をかけるな!」


 誰かの声で士気が上がったのか、気合十分の魔法使いさんたちは次々と魔法をキラービィに当てていく。私も魔力の節約のためにかぎ針だけを生成しながら、キラービィに対峙した。

 

 キラービィが終わったと思えば、次は地上からオーガと呼ばれる魔物が、空からはガルーダと呼ばれる鷲のような魔物が現れる。その魔物たちを倒したと思ったら、次はアンデットが現れた。地上はゾンビの大群。空はデスレイヴンと呼ばれる骨だけのカラスが周辺を埋め尽くしている。

 

 ガルーダやデスレイヴンには幸い毛糸の束縛も有効だったので、引き続きかぎ針と毛糸を出し続けた。そんなこんなで気がつけば太陽は頭上にあり、私の魔力も既に半分を切っている。

 一応使った側から魔力は回復しているようだ。私は魔力回復も比較的早い。特にこの森には漂っている魔力も多い。魔法使いさんたちが言うには、私はこの森に漂っている魔力を吸収して、自分の魔力として利用しているらしい。

 けれども魔力を大量に使うため、回復が追いついていない状況なのだ。


 そして魔法を使う際は体力も必要になってくるらしい。長時間魔法を保っていられる私は、賢者と呼ぶに相応しい実力を持っていると後ろで言われているのを聞いた。私の魔法が役に立ったという事実が私は嬉しかった。

 

 しかし、体力も無限であるわけではない。流石に長時間の魔法の展開は大変だった。最初に比べて毛糸やかぎ針の数が少なくなってくる。

 そして最後の一体……黒い狼が倒されるのと同時に、私は力尽きる。頭の上で爛々と輝いていた毛糸玉が消えたと思えば、身体を脱力感が襲う。地面にへたり込みそうになった私を助けてくれたのは、コニーくんだった。


「大丈夫ですか?! クリスさん!」

「ええ、大丈夫。初めてこんな長い時間魔法を展開していたから、疲れたみたい」


 正直、魔法を再度使おうと思えば使える。あれだけ使っても、まだ大気中には魔力が残っているから、魔力の点では問題ない。けれども、身体がついていかないのだ。身体は動かしているので、以前よりも体力はついたはず。私は甘くみていたのだ。休憩なしに魔法を展開するのが、こんなに大変な事だと思っていなかったの。

 最初は身体をコニーくんに預けていたが、すぐに力が入ってくる。支えてくれた彼にお礼を告げた後、魔法使いさんの一人から飲み物をもらった。そんな一息入れていた私の耳に入ってきたのは、下で戦っていた兵士さんたちの声だ。

 

「終わった!」

「スタンピートから街を守ったんだ!」


 怒涛の攻撃から街を守ったと喜ぶ兵士さんたち。怪我人はいたけれど死者がいないと聞いて、自分の役割を果たせた事を嬉しく思う。その矢先……ふと森の先に異様な空気を感じ取った。


 私はその方向をじっと見つめる。不穏な気配がこちらへと近づいているように思った私は、歓喜を上げる兵士さんたちの声を遮るかのように叫んだ。

 

「まだです! 遠くから……何かが来ます!」


 その気配が近づくにつれ、空気も重く感じる。先程とは比べ物にならないほどの禍々しい雰囲気が辺りに充満する。


 しばらくすると空から何かが近づいてきた。最初は胡麻粒のような小ささだったが、スピードが早いからか、どんどんそれは大きくなっていく。そしてそれの姿が少しずつ見え始めてきた頃、魔法使いさんは「嘘……」と呟いた。


 それは異様な光景だった。

 私は最初、てっきり白い生き物だと思っていたのだけれど……近づいてくると、それが骨だと言う事に気が付く。

 なんとなく恐竜の骨に似ているような……そう思っていたところ、後ろでぼそりと洩らしたコニーくんの言葉が聞こえた。


「ドラゴン……?」


 それは悠々と空を飛び回り、段々と私たちの元へと近づいてきたのだった。

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