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魔法少女おばあちゃん 〜78歳のおばあちゃん、16歳の侯爵令嬢に転生?!〜  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍化進行中
第四章 スタンピート

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53、毛糸玉とかぎ針が宙を舞う?!

 キラキラと光る大きな毛糸玉と金色のかぎ針――私の十数倍もの大きさのそれが、頭上に浮かんでいる。どこからか「え?」という気の抜けた声が聞こえたような気がしたけれど、きっと気のせいだ。

 魔物は目視できる位置にいる。私は掲げていた杖を振り下ろした。

 

「魔物たちを捉えなさい!」


 その瞬間大きな毛糸玉から、手のひらより少し大きいサイズの毛糸玉とかぎ針が数十個以上現れ……魔物を目掛けて飛んでいく。飛び出したかぎ針は、風を切って速度を上げ、正確に魔物の額を撃ち抜いた。

 「……ひいっ」と悲鳴が聞こえたような気がしたけれど、気のせいだろう。

 

 そして次々と降り注ぐ毛糸玉が、群れを色とりどりの繭に変えていく。動けなくなった魔物たちは、ユウくんやマチルダちゃんの手によって屠られていった。


 二人の活躍を尻目に、私は毛糸玉とかぎ針を飛ばしていく。

 これは良い。地上の魔物たちだけでなく、空を飛ぶ魔物にも対応できるのだ。


 えっと……カル、カルバード……いや、アルバードだったかしら?

 とにかく翼のある魔物も、毛糸玉が翼に巻き付くことによって地上へと落ちていく。

 

 やはり馴染みのあるモノだからだろうか、私の思うように動いてくれる。特に毛糸玉はとても良い動きをしてくれているように思う。


「まだまだ私の魔力は充分あるわ! かかってきなさい! おほほほほ!」


 アビゲイルさんの杖のお陰で、まだまだ魔力は十分にある。どんどんかかってきなさい?

 


 私が毛糸玉無双をしていた頃。

 余裕ができた私は、少しだけ後ろへと振り向いた。そこには顔を引き攣らせたコニーくんがいる。


「……す、凄い魔法ですね……」


 コニーくんの言葉に続く声はなかったけれど、同意しているような空気が流れているような気がする。しばらく無言の時間が続いたけれど、コニーくんの隣にいた司令官さんの一人が呟いた。


「クリスティナ様は規格外ですね……我が軍団全ての魔法使いが束になったたしても、あれはできないでしょう」


 え、そんな事ないでしょう? なんて思ったけれど、私も確かにアビゲイルさんの杖がなければ、ここまで効率よく魔力を使う事はできなかったはずだ。

 私が規格外なのではなく、この杖が素晴らしいのでは?


 今ここにはいないアビゲイルさんに、私は心から感謝した。


 

 しばらくして。

 空中を羽ばたいている魔物……アルバードたちが私の毛糸玉とかぎ針を避け始めた。現状、私の攻撃は真っ直ぐにしか飛んでいない。そのためか、アルバードたちは私の魔法に当たらないように逃げれば良いと考えたのだろう。

 当たらなかった毛糸玉とかぎ針は、そのまま空中に消えていく。まだ私に魔力は残っているから良いものの、なんか勿体無いような気がしてならなかった。


「うーん、どうしようかしら……」


 悩んでいた私の目の前で、先代賢者様の本がひとりでに動く。そう、IPだ。

 周囲から見たらIPは見えないので、勝手に本のページがめくられているように見えるだろうなぁ、と思いながら、私はその様子を見守る。そして開いたところに書かれていた内容に、私の目は釘付けになった。


「なるほど、これだったら良さそうね!」


 再度杖に魔力を込めた私は、杖を振り下ろしてから魔力を放出した。その魔力はアルバードたちに飛んでいく。そして――。


「行きなさい、毛玉たち!」


 私の号令によって、毛玉たちは飛んでいく。先程と同様に一直線に突き進む毛玉たちを、アルバードは軽々と避けていくのだが……。


「GYAGYA?」 

 

 毛玉たちから逃げたアルバードだったが、後ろから何かに拘束される。そう、毛糸玉だ。追尾型の魔法に切り替えたのだ。


「これなら討伐漏れが無いでしょう!」


 毛糸玉に捕まった魔物は、他の魔法使いの攻撃や地上にいる騎士たちの攻撃を受け、叫び声を上げて力尽きる。目の前には倒された魔物の山が増えていったのだった。

明けましておめでとうございます!

昨年は魔法少女おばあちゃんを読んでいただき、ありがとうございます٩( 'ω' )و

本年も更新を進めていきますので、よろしくお願いします。

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