35、いや、これ……思ったよりエグいぞ? (By 勇者)
コニーくんに『良い睡眠を取れる魔法』を掛けてもらった二人と別れ、私は先にテントで休んだ。ユウくんとマチルダちゃんが話し合って、先にマチルダちゃんが見張りを行う事になったみたいね。二人の声を聞きながら、私はいつの間にか寝ていたようだった。
翌朝。
元気いっぱいになった私は、空の布団を横目にテントから外へと出た。
もう既に三人は燃え尽きた焚き火の近くで、座っている。起きるのが遅かったかしら? と思った私は、慌ててみんなの元へ向かった。
「おはよう。ごめんなさい、起きるの遅かったかし……ら……?」
三人の顔色を見ると、どことなく表情が暗い。
ユウくんも、マチルダちゃんも、コニーくんも……もしかしてよく眠れなかったのかしら?! 大変大変! そう思って声をかけたら――。
「いや、あっちを見て欲しいんだけど……」
指差された方を見る。するとそこには、大量の死骸が。地面には血も飛び散っている。
「この防御壁……エグいぞ……」
マチルダちゃんも心なしか顔色が悪い。コニーくんはきっと、あの残骸を見たからのようね。
ユウくん曰く、ぶつかった魔物は全て防御壁から現れた風によって切り刻まれたのですって。ああ、そう言えば昨日「守るだけじゃなくて、攻撃もできるように」って考えいたっけ。だからかしらね。
私は防御壁の外へ出ると、積み重なっている残骸に手を伸ばした。
「防護壁にぶつかってしまった魔物さんたち、御愁傷様でした……」
そう言いながら、私の鞄の中へ魔物さんたちをどんどん入れる。
ああ、この鞄? マジックバックって言うらしくて、魔法がかかっているからたくさん入るの。しかも重くならないのよ。前世でも欲しかったわね〜。
全てを入れ終えたあと、『水の牙』を使って、虎さんに周囲を流してもらう。よし、これで大丈夫ね!
私は防御壁の中へと入る。私は魔法を発動したから、自由に出入りができそうね。今度『護りの嵐』を使う時は、ユウくんたちも出られるようにしておきましょう。
私は自分の魔法の出来が良かった事に満足していた。
「お嬢様……意外と神経図太いのでしょうか……?」
「最初俺が前世で出会った時も今みたいに儚い外見だったけれど……心臓には毛が生えているのかもしれないくらい図太いぞ」
「僕もあれくらいに……」
「「いや(いえ)、コニー(くん)は、このままでいてくれ(いてください)」」