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32、魔法少女おばあちゃん、初めての冒険!

 あの後コニーくんが頑張ってくれて、私も賢者様の記録をいくつか読んでおいた。

 その中には夢見の記録もあったけれど、役に立つかと言えば……まあ、そこは察してください。その後読み終えたコニーくんと私はユウくんたちと合流して、探索の準備をしたの。


 翌日。

 空は快晴! 冒険日和!

 

 私たちは辺境伯様とアビゲイルさんに見送られ、魔境の森へと向かう。ある程度街から離れたところで、ユウくんは立ち止まった。


「さて、これから一週間、俺たちが魔境の森で行う事を再確認する。まず、『森に慣れる事』。特に、コニーとクリス、頼んだぞ」


 コニーくんが少しだけ背筋を伸ばした。私も拳を握りしめ、気合を入れる。


「次に、辺境伯様からの依頼――『森の調査』だ。 最初の二日間は魔境の森の入り口周辺を確認していく予定だ。まだ浅い範囲だが、魔物が出る可能性もある。気を抜かないように。そして最後。前回の賢者が暮らしていたとされる小屋……これも調査と並行して探す。クリスの戦力を上げるために、是非見つけておきたい」


 ユウくんの言葉に私は大きく頷いた。

 記憶にある魔法少女アニメの必殺技を利用して魔法を使っているのは、魔法をイメージしやすいからだ。映像として記憶している分、頭の中でも思い出しやすい。ただ……正直な話をすると……記憶が薄れ始めているというのも事実。

 あの挿絵は薄れていく記憶の底から引っ張り出してくれたのだ。


「昨日マチルダに協力してもらい、準備は整っている。中身は……大丈夫だよな?」


 昨日確認したから大丈夫よ! と自信満々に胸を張ると、ユウくんが「一番心配なのはクリスなんだが……」と額に手を置いていた。失礼ね? 私だってやる時はやるのよ!


「まあ、クリスはマチルダがいるから……問題ないか……」

「お任せください」


 綺麗なお辞儀でユウくんに応えるマチルダちゃん。やっぱりできるメイドよ。


「万が一何かあって散り散りになった場合は、街まで戻ってくる事を念頭に置いてくれ」

「……分かりました!」

「よし、まずは調査に向かうぞ!」


 全員の高らかな声が空に響く。気合充分、さて行くわよ!



 調査は意外と順調に進んだ。

 森と聞いてもっと密集したジャングルのような景色を思い浮かべていたが、足首ほどの雑草が広がるだけで意外と歩きやすい。意外とクリスちゃん、体力があるようで安心する。


 途中、薄い水色で水まんじゅうのようにぷるぷると揺れている「スライム」という魔物だったり、アルミラージよりも小さくて凶暴な「ミニマラージ」と呼ばれるウサギ型の魔物が何匹か現れた。

 けれども、私が思った以上の連携でサクサクと倒していく……ユウくんとマチルダちゃんの二人のね。なんとなくわんこ蕎麦のようだ。


「勇者様、私はあちらを」

「任せた!」


 数が少ないのもあり、マチルダちゃんとユウくんの二人でも倒せてしまう。私は二人の攻撃にどう参加したらいいのか分からずオロオロとするだけだ。

 ちなみにコニーくんはじっと二人の攻撃の様子を見ている。そしてたまに回復魔法と呼ばれるものをかけているようだ。どうやら怪我を回復できる魔法らしい。

 

 途中からは私も吹っ切れて、コニーくんに習って二人の動きを見ることにしたの。

 コニーくんに聞いたら、ユウくんとマチルダちゃんの動きを見て、どう自分が動いたらいいか考えていたんですって。


「成程ね! 流石! コニーくん!」


 思わず頭を撫でて褒めたら、コニーくんは頬を真っ赤にして……その様子をユウくんは微笑んで見ていたの。ユウくんも完全におじいちゃん目線でコニーくんを見ている気がするわね。

 ……あら、マチルダちゃんは口元を拭っているわ。何故かしら?

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