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ひと夏の恋  作者: 環流 虹向
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22:00

明日から秋休みに入るというマサキさんが仕事終わりに会いたいと電話をくれたので、俺はそのままマサキさんのBARで少し酒を呑みに向かおうと賑やかな瑠愛くんの家から1度外に出ようとすると、玄関近くにあった扉が開き、トイレから一くんが出てきた。


一「…うんこじゃないから。」


と、鉢合わせしてしまった俺に気まずそうにする一くん。


夏「気にしないよ。」


俺はそのまま玄関に向かい、下駄箱に入れていた靴を取る。


一「帰んの?」


この賑やかな場からいなくなろうとしている俺が不思議だったのか、一くんはそう聞いてきた。


夏「ううん。デート。」


一「リリって子?」


夏「ううん。さきさん。」


俺は自分をマサキさんと一くんの間に置くことでマサキさんの悲しみを少しでも軽くしようと、少し嫌味な言葉を使うと一くんは靴を履こうとする俺の肩を強めに掴んできた。


一「なんで?」


夏「電話で呼ばれたから。」


一「仕事?」


夏「デートだよ。仕事上がりにしようって言われた。」


一くんといる自分は本当に嫌な言葉しか吐けない。


それは多分、永海のことに対しての嫉妬や沙樹やマサキさん、瑠愛くんを泣かせたことが原因だ。


こんなことしちゃダメだって思うけど、この口はどうにも収まらない。


一「…俺、なんかした?」


俺はそのイラつく一言で振り向き、一くんの胸ぐらを掴む。


あんなに人を泣かせといて自覚無しのまま、放っているがどうしても俺は許せない。


夏「…たくさんの人を好きになるのはいいけどさ、俺の大切な人を泣かせないでよ。」


俺は気持ちだけで動いた手にまた後悔したけど、こうしてないとまた一くんのことを殴ってしまいそうで怖い。


一「な…、なんの話?」


またとぼける一くんに腹立つけれど目を合わせるのは怖くて、言葉を胸に落とすだけ落とすことにした。


夏「さきさん好きだったんじゃないの?なんでそんなすぐに別の人に切り替えられるの?」


俺はそんな簡単に好きを諦められない。


だから永海の隣にいた一くんに嫉妬した。


一「俺、ずっと姐さんのこと好きだけど…。」


…は?


意味が分からない。


夏「じゃあなんで会うのやめようとするんだよ。」


一「だって…、姐さんが俺のこと避けてんじゃん。」


夏「理由は聞いた?」


一「…男だからじゃないの?俺はそれでもいいのに姐さんが俺を避けてんだ。これ以上どうすればいいんだよ。」


口を開けば男、男って…。


一くんは俺の知らないマサキさんを知ってても、女性の一面しか見ずに人としての一面は見てこなかったのかよ。


夏「自分で考えろよ。俺に聞くな。マサキさんに聞け。」


俺は怒り任せに明日の旅行でマサキさんに聞けと言うと、一くんの怒りが頂点に達したのか俺の胸ぐらを掴んできた。


一「お前、俺の何にイラついてんの?」


夏「…なんで、永海に近づくの。やめてよ。」


俺はこの怒りの根本を一くんにぶつけるために、目を見て言葉を放つ。


喧嘩は嫌いだけど、もう沙樹に傷ついてほしくないからあれ以上のことはやめてもらいたい。


一「お前もだ。姐さんに近づくなよ。」


夏「俺は呼ばれたから行くんだよ。」


一「俺も電話もらったから遊んでただけ。」


夏「手繋ぐ必要あった?」


一「キスする必要あったか?」


…一くんはマサキさんに気づいてたのに、あの女性とキスしたのか?


それだったら本当に酷すぎる。


夏「それは一くんが他の女性と一緒にいたからバレないようにだよ。俺にはちゃんと理由がある。」


一「俺も永海が寂しいって言ってたから手を繋いだ。てか、お前リリって彼女いるんだから他の女のことでいちいち口出すのはおかしいだろ。」


夏「俺はどっちも大切に思ってるから。」


一「俺もどっちも大切な人だけど。」


俺たちは手を出さないよう気持ちを抑えるために胸ぐら掴む手に怒りを溜め込んでいると、急に横の扉が開き仕事休憩しに来た瑠愛くんが飛び出してきた。


瑠愛「…え?ちょちょちょーいっ!なんで2人して胸ぐら掴んでるの?喧嘩はだめだめ!」


と言って、瑠愛くんは俺たちの腕に飛び込み、強制的に一くんと俺の手を離してくれた。


夏「…俺、さきさんに呼ばれてるから行くね。」


一「おい、話終わってない。」


俺は一くんを無視してかかとをつぶすように靴を履き、もみ合いで落とした財布を手早く拾う。


瑠愛「夏くん。さきちゃんよろしくね。」


夏「うん。」


俺は自分の思いをぶつけ過ぎた一くんを視界に入れることは出来ず、そのまま足早にマサキさんのBARに行き、カシスオレンジを呑んで心を落ち着ける。


マサキ「あと少しで終わりだからね。」


夏「うん。この後、どこ行きたい?」


マサキ「んー…」


俺を呼んでくれたマサキさんはどこかへ出掛けたいという考えはなかったらしい。


夏「マサキさんがいいならマサキさんの家でいいよ。」


マサキ「…いいの?」


夏「うん。明日旅行なんでしょ?」


マサキ「そうだけど…。」


だけど、の後が気になったけれどマサキさんの表情が曇り始めたので、俺はこれ以上聞かないようにすることにした。


夏「楽しむために家でゆっくりしよう。久しぶりにマッサージするよ。」


そう言うとマサキさんは若干恥ずかしがりながら頷いてくれた。


俺はいつも通りのマサキさんに戻ってくれて一安心し、仕事を終えたマサキさんと家に行きコンビニで買ったオレンジジュースとハイボールを飲みながら久しぶりにマッサージをしていく。


けれど久しぶりの割にはマサキさんの体は凝ってなくて、他の店で施術を受けているみたいだった。


夏「…もっとする?」


俺はいつも通り、仰向けの施術に入り首筋に唇を這わせながらタオル1枚のマサキさんの脇を押し、老廃物を流す。


マサキ「し、しないよ…。優治のこと買ってない。」


夏「俺は夏だって言ってるじゃん。」


マサキ「なおさらダメだよ…。」


夏「…でも、タオルのテント出来てるよ?」


俺はマサキさんの間に入れていた自分の脚で、屋根を作った支柱を撫でる。


マサキ「…っな、夏くん。触らないで。」


夏「当たっちゃうの。マサキさんが動くから俺も動いちゃうの。」


俺は脇から横腹にかけて小さく跳ねるマサキさんの体を撫でて、血行をよくしていく。


すると、マサキさんは抵抗するように間にある俺の脚を自分の脚で挟み、快楽の自制をした。


夏「脚、開いて。リラックスしないとマッサージの効力半減だよ。」


俺はマサキさんの体全身にキスしながら、小さくて可愛い蕾の蜜を吸うために唇を吸い付ける。


マサキ「なつくん…、今日、いつもよりっ…いじわる…。」


夏「マサキさんがいつもみたいに素直じゃないからだよ。けど、こっちはいっぱい俺に触ってほしいって何回もお腹ノックしてくるよ。」


俺は蜜が溢れてお腹に垂れてしまう口先をタオル越しに触れて親指で練り飴を作る。


するとマサキさんは俺に絡めていた脚をゆっくりと広げて、いつもみたいに素直になってくれた。


夏「手と口、どっちがいい?」


そのまま俺は、マサキさんの老廃物をどこに出すか尋ねる。


マサキ「…くち。」


夏「溜まってんだね。」


俺は蜜で塗りたくられた茎を口に含み、老廃物に出口を教えるため舌先で誘導する。


今日のマサキさんは久しぶりなこともあってか、体を起こすと俺の頭を掴み、自分の意識と欲求が入り乱れていて少し腰の振りが激しめ。


俺はそんなマサキさんが可愛くて手で腰を押さえ付け、1度口を離す。


マサキ「…あっ、…なんで。」


夏「ベロ出しておくから、自分でしこって。」


俺はマサキさんの蜜が溢れ出る口先に舌を置き、自分の手をマサキさんの茎に添える。


手を添えられたマサキさんは若干切なそうな顔をして俺の手を強めに押さえて振っていく。


俺はその茎の成長具合を見守り、種まき直前で咥え直して喉奥まで入れると、マサキさんは俺の頭を押さえながら止まらない腰と震える手で俺の中に最大限に自分を入れ込み、老廃物を出してくれた。


俺はまだ体が跳ねるマサキさんを見ながら、掃除をした後の口に残ったサプリをマサキさんの口に移す。


夏「…いつもより多いし、甘い気がするけど、仕事でお酒呑みすぎなんじゃない?」


俺は意識が虚ろのマサキさんにそう聞くと、サプリを飲み込んだマサキさんは俺に抱きつきベッドに押し倒した。


夏「疲れた…?」


マサキ「…夕暮れたくさん見たくてカシオレたくさん呑んでた。」


と、マサキさんはいつも以上に甘い蜜になった理由を教えてくれた。


夏「マサキさんの夕暮れ綺麗だもん。今日見れてよかった。」


俺はマサキさんを抱きつき、隣にあった頬にキスをする。


マサキ「その夕暮れ、…一の彼女候補にも呑んでもらったの。」


夏「えっ…?」


俺はその発言に驚き、顎の疲れを無視してマサキさん見る。

けれど、マサキさんは腕で自分の目を押さえいて、感情が全く分からない。


マサキ「その子、金髪で今の一と一緒の髪色してて、これが学生カップルかって思っちゃった。」


と、少し毒を吐いたマサキさんは腕を顔から離して、俺のことを見てくれる。


マサキ「手繋いで私のBARに来て、その子の恋愛相談乗ってたけど、その子『好きだけど違う』って言っててたの。多分、一のこと好きだけど、振り向かせようとわざと恋愛相談してるのかなって思っちゃった。」


マサキさんはため息をつき、あの日見た2人が何をしていたのかを教えてくれた。


夏「…その子が好きだったらマサキさんは身を引くの?」


俺はその子のことを想いながらマサキさんに聞く。


マサキ「したくないけど、そうしないと一は私以外の女の子に目を向けてくれない。」


夏「それでもいいじゃん…。」


マサキ「ダメだよ…。私はダメなの。」


夏「なんで?」


マサキ「ダメだからダメ。」


俺はさっき喧嘩した時に一くんが言っていたことを思い出し、自分の気持ちだけであんな風に先走ってしまったことを後悔する。


夏「じゃあ、一くんとの旅行で3つ、秘密打ち明けて来て。」


俺はマサキさんと小指同士を繋げて驚く目を見つめる。


マサキ「なんの秘密…?」


夏「なんでもいいよ。俺と口えっちしたのを言ってもいいし、シャンプー変えたとかでもなんでもいいから3つ一くんに伝えて。」


マサキ「…なんで?」


と、マサキさんが少し顔を赤らめながら聞いてきた。


夏「なんでもいいからもっと2人で話してほしいんだ。話さないと分からないこといっぱいあるの、瑠愛くんと悠の喧嘩で分かったでしょ?多分、マサキさんと一くんの間でもあると思うからそうして。」


俺も莉李とちゃんと話して、秘密を打ち明けたら気持ちが軽くなってあの子ともちゃんと向き合おうっていう気持ちになれたから、マサキさんにもそうしてほしい。


マサキ「…3つちゃんと言って、帰ってきたらデートしてくれる?」


マサキさんは少し目を潤ませて俺に頼んできた。


夏「うん。学校始まるから夜になっちゃうけど。」


マサキ「夜がいい。再来週の火曜日は?」


夏「分かった。ちゃんと空けとくね。」


マサキ「ありがとう。」


俺はそのままマサキさんの家で一晩過ごし、明日の秘密の候補をたくさんあげながら、深夜のニュースを子守り歌にして一緒に眠りについた。





→ 砂に紛れて


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